日本ダービーは皐月賞で「足を余した馬」を狙え

Ⓒ明石智子
皐月賞で負けるべくして負ける馬とは
5月26日(日)に東京競馬場で待ちに待った東京優駿(日本ダービー)が行われる。競馬に携わる者なら誰しもが取りたいタイトルであり、この日だけは東京競馬場に独特な空気が流れる。
今年、このレースにテーマを付けるなら、「サートゥルナーリアが無敗の2冠馬となれるのか」である。この件に関してはどこのメディアでも取り上げられているので、少し変わった観点から見ていきたい。
いつも予想が当たらないと頭を悩ませているのだが、ダービーだけはマシである。なぜマシなのかというと、SPAIAにも寄稿している門田氏に教えてもらった「皐月賞で足を余した馬を狙え」という観点がダービーでは意外に使えるからだ。
まず過去5年、ダービーで馬券に絡んだ馬の前走成績を見ていこう。下記の表を見て分かる通り、15頭中11頭が前走皐月賞組である。加えて勝ち馬は全て皐月賞から来た馬である。

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日本ダービーには前哨戦がいくつかあるのだが、やはりGⅠの皐月賞に出走している馬の方が力が上であり、重視すべきであるといえる。では、「皐月賞で負けるべくして負けた馬」とはどういった馬なのか。
これは皐月賞が行われる中山競馬場と日本ダービーが行われる東京競馬場で求められるものの違いから見えてくる。違いはいろいろあるが、端的に言うとミソは直線の長さだ。中山競馬場の直線が310mに対し、東京競馬場の直線は525.9m。中山競馬場では直線が短い分、一瞬の足が必要になるが、直線の長い東京競馬場では長くて持続力のある足が必要なのである。
そのため、皐月賞で東京競馬場に合う負け方をした馬を狙うのが得策なのだ。
前走不運だった馬に幸運が来るはず?
下記は過去5年のダービーの1-3着馬を表にしたものである。

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グレーで消した馬は皐月賞以外から来た馬なので除外すると、特徴的なのが皐月賞での上がり時計。黄色が最速、青が2位、ピンクが3位なのだが、皐月賞できっちり足を使った馬が、ダービーで上位に来ていることがよく分かる。昨年は皐月賞が雨馬場で行われたので、これを参考外とすると余計に特徴的である。
あとは4角を通った位置も特徴があり、ほとんどの馬が皐月賞で4コーナーをロスなく回ってきていない。これも中山競馬場の特徴で、直線が長い東京競馬場と違って馬群がバラけないのだ。GⅠということもあり、内をあけてくれるほどお人好しなジョッキーもなかなかおらず、後ろの馬は4角で多少ロスをしてでも、外に出さないと進路がない。
今年の皐月賞はヴェロックスが外から早めに進出し、それをサートゥルナーリアが追う形。結局、勝ったサートゥルナーリアが上がり1位、2着のヴェロックスが2位タイとこの2頭は負けるべくして負けず、勝ち負けしてしまったのだが、今回の観点で注目したいのは、後方にいて馬で足を余した馬である。今年の該当馬は、タガノディアマンテとアドマイヤジャスタ。ただ、タガノディアマンテは皐月賞後に京都新聞杯を使っての参戦となったので狙いづらい。
ならば狙うのはアドマイヤジャスタか。皐月賞の上がりは4位タイだが、肝心の勝負どころで前が壁になり追いだしが遅れた。最後はじりじりと足を伸ばしただけにこれは面白そう。中山競馬場で不利とされる大外となってしまったことも含め、皐月賞は運がなかった。
ダービーは3冠の中で、「最も幸運に恵まれた馬」と言われるレース。馬も人も不運あれば幸運が来るはず?この馬に幸運が来ることを信じてダービーを迎えたい。
