【競馬】今年から降級制度が廃止 条件戦のクラスの呼び名が変更へ

三木俊幸

競馬ⒸSPAIA

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降級制度の廃止に伴う変更

「夏競馬は降級馬を狙え!」という言葉は、もう使われることはない。なぜならば、JRAでは日本ダービーの翌週、6月から始まる夏競馬から、昨年まで行われていた降級制度を廃止するとともに、条件戦の呼称が変更される。

クラス変更後の呼び方の表ⒸSPAIA

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競馬ファンの間では当たり前のように使われていた500万下、1000万下、1600万下という呼び方は、それぞれ1勝クラス、2勝クラス、3勝クラスとなる。なお新馬、未勝利、リステッド、重賞競走については変更されない。

この背景には、競馬初心者にも分かりやすいシンプルな呼び方にすることで、より競馬を身近に感じてもらい、ファンの獲得につなげたいという狙いがあると推測する。実際にJRAのCMも競馬初心者をターゲットにしたものだと言える。

その一方でコアな競馬ファンにとってみれば、急に1勝クラスという言葉を使われてもピンとこない、またはついつい500万下と言ってしまうことも増えることが予想される。

実際に想像してみよう。これまで何気なく使っていた「まだ500万を勝ったばかりだから1000万では通用しないだろう」という言葉は、今後「まだ1勝クラスを勝ったばかりだから、2勝クラスでは通用しないだろう」に変わる。

声に出して読んでみると、慣れていないせいもあってか、どこか堅苦しく違和感を感じてしまう。そうしたこともあり、当面の間は現行の呼び方は併記されるので、徐々に慣れていくしかないだろう。

1勝馬=1勝クラスではない

しかし、この変更で全ての1勝馬が1勝クラスに在籍するかと言うと、そうではない。なぜなら、重賞競走では2着馬にもクラス編成の目安となる本賞金が加算されるため、必然的にクラスが上がるからである。

その代表的な例がエタリオウだ。同馬は2歳時に未勝利戦で初勝利を挙げているが、それ以降勝利はない。しかし青葉賞(GⅡ)、神戸新聞杯(GⅡ)、菊花賞(GⅠ)、日経賞(GⅡ)と重賞で2着が4回もあることから、本賞金は6350万円で立派なオープン馬である。

降級制度がなくなっても、このように重賞への格上挑戦で本賞金を加算するケースは今後もなくならないだけに、引き続き勝利数だけで安易にクラスを決めつけてしまわないように注意する必要がある。

これまでもJRAでは様々なルール変更が行われてきた。過去には400万下、900万下、1500万下と呼ばれていた時代があり、それが賞金の変更に伴って、現行の数字に変更されるということもあった。

筆者が競馬を初めて観たのは、クロフネが勝利した2001年のジャパンカップダートだった。そのため400万下と呼ばれていた当時のことはほとんど分からないが、おそらく多くの競馬ファンの間で、呼び方が変わることに抵抗を感じた人も多かったのではないだろうか。

しかし、現在では間違えて400万下と言ってしまう人は皆無に等しい。今回も気がついた頃には自然と受け入れ、1勝クラスと当たり前のように言う日がやってくるのだろう。

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