近2年はGⅠで逃げ馬の勝利はなし 過去のデータから見える東京競馬場の馬場推移

Ⓒ三木俊幸
GⅠでは高速決着が続く
鮮やかな新緑の東京競馬場では、今週末のNHKマイルCから安田記念まで、5週連続でGⅠが開催される。
この時期は晴天の日が多く、高速決着が多いというイメージを持っている方も多いかもしれない。そこで、実際5週間の間にどれくらいの馬場状態の変化があるのか、また脚質にも傾向が見られるのかについて調べてみた。
過去5年に東京競馬場で行われたNHKマイルC、ヴィクトリアマイル、オークス、日本ダービー、安田記念の5レースの成績は以下の通りだ。

ⒸSPAIA
全25レースの馬場状態の内訳を見てみると、良馬場が22レース、稍重が2レース、不良が1レースとなっており、この時期らしく晴天でのレースが多いことが見てとれる。
タイム面では、3歳限定のNHKマイルCでも2016年以降は1分32秒台の高速決着が続いている。そして4週間後の安田記念を見ても、近2年は1分31秒台のタイムが出ていることからも、開催後半に差しかかっても馬場状態は変わらず速いと結論づけることができるだろう。
差しが有利?
では勝ち馬の上がりタイムはどうだろうか。レース全体では33.9とやはり33秒台の上がりが求められる。しかし個人的には、東京のGⅠを勝利するにはもう少し速い上がりが必要なのかとも感じていたため、少し意外な数値でもあった。

ⒸSPAIA
レース別では安田記念の34.46が最も遅くヴィクトリアマイルが33.48と最も速い上がりを要求されるレースとなっている。しかし、安田記念については2014年の不良馬場でのレースも含まれての数字で、2014年を除くと33.80というデータが導き出されている。
その他3歳戦では、NHKマイルCが34.36、2400mのオークス、日本ダービーは33.80、33.86とほぼ同じ上がりタイムだった。クラシックディスタンスの2レースの方が上がりが速いということは、やはりレースレベルに差があることの表れではないだろうか。
最後に各レースの脚質についても見ておこう。NHKマイルCは2018年のケイアイノーテックをのぞいて、逃げ・先行馬が勝利。ヴィクトリアマイルは2014年ヴィルシーナが逃げ切りで勝利しているものの、近3年は差し決着が続いている。先述の上がりの数字を踏まえて推測すると、メンバーが拮抗している中でペースが流れ、牝馬特有のスパッと切れる足を使える馬に向く展開になっているのではないだろうか。
オークス、日本ダービーについては2017年のソウルスターリング、レイデオロはともに4コーナー通過時に2番手の通過となっているが、それ以外の年は早めに動くことなく、直線に向いた時にしっかりと足がたまっている馬が勝利しているという印象だ。
安田記念は、近2年は道中15番手でレースを進めたサトノアラジン、12番手を追走したモズアスコットが勝利しており、差し有利という展開のレースが続いている。
また、近2年は逃げ馬が1頭も勝利しておらず、極端な追い込み決着が増えていることが見てとれる。今年東京競馬場で行われるGⅠレースはどのような結果になるのか、毎週継続して馬場状態を確認しておくことが、馬券的中への近道になるかもしれない。
