アーモンドアイは馬場適性を超越する ドバイワールドカップデーを徹底分析

SPAIA編集部 三木俊幸

ルメール,Ⓒ明石智子

Ⓒ明石智子

ダートは少し時計がかかる

3月30日、ドバイ・メイダン競馬場で開催されるドバイワールドカップデーに、今年は10頭の日本馬が出走する。それに伴い、日本馬が出走するGⅠ4レースで馬券発売が行われる。馬場適性を重視した予想から導き出した注目馬を紹介する。

発売レースと発走時間は以下のとおり。(発走時間は日本時間)

ドバイ発走時間,ⒸSPAIA

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それではメイダン競馬場の馬場について分析していこう。 3月4日に前哨戦として行われたスーパーサタデー当日のダートコースを見てみると、メイダン競馬場としては、時計はややかかっているのが特徴である。昨年のレースと比較すると、マハブアルシマールは1.5秒、アルマクトゥームチャレンジ、ラウンド3に至っては、3.4秒も遅いという結果となっている。

脚質については、4レース中3レースが逃げ・先行での勝利となっており、こちらは例年どおり先行馬が有利な馬場だということができるだろう。

スーパーサタデーの時計,ⒸSPAIA

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続いて芝コースは、昨年と今年のジェベルハッタのタイムを比較しても、0.6秒しか変わらなかったことからも、遜色ない馬場だと言える。ドバイシティーオブゴールドについては、今年はスローペースとなったことからもタイム的には参考外と言ってもいいだろう。

脚質はこちらも先行馬が有利だと言えるが、ペース次第では追い込みも届いている。いずれにせよ直線が長いだけに、ある程度の切れ味を持ち合わせた馬でないと厳しいかもしれない。

エックスワイジェットが昨年の雪辱を果たすか?

まずは、マテラスカイが出走するドバイゴールデンシャヒーンから見ていこう。過去4年で3回アメリカ調教馬が勝利しており、アメリカ勢が断然有利なレースとなっている。

ドバイゴールデンシャヒーン分布図,ⒸSPAIA

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中心視されるのは2017年と2018年のブリーダーズカップ・スプリントを連覇したロイエイチだったが、直前で出走を取り消した。先行力のあるロイエイチがいなくなったのであれば、去年の同レース2着のエックスワイジェットを本命に推したい。前走はアメリカで条件戦を使い、7 3/4馬身差で圧勝。勢いに乗ってドバイにやってきた。今年こそ悲願の勝利を掴みたい。

ドラフテッドは前哨戦のマハブアルシマールを優勝。後方からレースを進め、ゴール前は4頭横並びの接戦となったが、鋭い末脚で一気に差し切るレースぶりだった。今回もペースが速くなり、差しが届く展開になればチャンスはあるだろう。

ある程度好位からもレースが進められ、なおかつ差す展開にも対応できそうなインペリアルピントも押さえておきたい。ブリーダーズカップ・スプリントでは、ロイエイチと同じ脚色になってしまい3着だったが、能力は非凡なものがあるだろう。

マテラスカイは時計勝負の高速馬場を得意としている。昨年より時計がかかっている馬場だけに、厳しいレースとなるかもしれない。

アーモンドアイにとって馬場適性は関係なし

今年のドバイワールドカップデーで最大の注目を集めるドバイターフには、ジャパンカップで2:20.6の世界レコードを叩き出したアーモンドアイ、一昨年の覇者ヴィブロス、昨年の香港カップで2着となるなど、海外勢に全く引けを取らないディアドラの牝馬3頭が出走する。

ドバイターフ分布図,ⒸSPAIA

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ここは日本勢の独壇場だと見た。アーモンドアイは、これまでの戦績を見ても高速馬場で圧倒的な強さを見せている。それだけにメイダンの芝はベストの条件だとは言い難いが、能力では他を圧倒しており、同馬に関しては馬場適性では片付けられない強さがある。

ヴィブロスは同レースで1着、2着と安定して好走していることからもコース適性は文句なし。引退を撤回して挑む今回のレースだが、衰えは全く感じない。

ディアドラは昨年の3着馬。前走の中山記念では大敗しているが、明らかに叩き台だという雰囲気が感じられた。一度使われた強みを生かして、モレイラ騎手とのコンビでアーモンドアイに挑む。

外国馬では前哨戦のジェベルハッタを制したドリームキャッスルに注目。道中は後方2番手を追走するという展開だったが、抜け出す際に見せた脚はかなりのものだと感じた。はまれば怖い存在になるだろう。

強烈な末脚を見せたオールドペルシアン

レイデオロ、シュヴァルグラン、スワーヴリチャードとこちらも豪華メンバーが出走するドバイシーマクラシック。同レースも日本馬が上位の存在だとは考えるが、一頭どうしても狙って見たい馬がいる。

ドバイシーマクラシック分布図,ⒸSPAIA

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それは地元UAEのオールドペルシアンだ。前走のドバイシティーオブゴールドは、スローペースとなり、逃げたレーシングヒストリーが完全な勝ちパターンのレースだった。そこをねじ伏せたオールドペルシアンは、直線ではなかなか前が空かず、追いだしが遅れたが、そこからの末脚が見事だった。長くいい脚を使うタイプの日本馬3頭にとって最大のライバルになるだろう。

レイデオロは昨年4着に敗れており、今年こそ雪辱を果たしたいところ。メイダン競馬場への馬場適性はありそうだが、切れ味勝負に持ち込まれては分が悪いので、ある程度流れに乗り、早めに動くレースをするのがベストだろう。

シュヴァルグラン、スワーヴリチャードについても同様のことが言えるが、そこは世界の名手ボウマン、モレイラ両騎手がしっかりとプランを練っているに違いない。名手の手腕に期待したい。予想どおりオールドペルシアン対日本馬の争いとなるか、要注目だ。

サンダースノーは連覇なるか

最後にメインレースのドバイワールドカップ。総賞金額は1200万ドル(約13億2000万円)と世界最高峰のレースで、今年は日本からケイティブレイブが出走する。このレースを予想するうえで、鍵となるのはブリーダーズカップクラシックでの成績だろう。

ドバイワールドカップ分布図,ⒸSPAIA

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本命は連覇を狙うサンダースノーとした。昨秋はアメリカに遠征し、ジョッキークラブゴールドカップ2着、ブリーダーズカップクラシック3着と安定した成績を残している。前走のマクトゥームチャレンジ、ラウンド3は2着に敗れたものの、明らかにひと叩きという印象を受けた。先行力を武器に今年も好レースを見せてくれることを期待する。

ガンナヴェラはブリーダーズカップクラシックの2着馬。中団からレースを進め、内目をうまく立ち回るレースぶりだった。その器用さを生かし、今回も上位に食い込みたいところだ。

日本産として注目されているヨシダだが、実力も一級品。ブリーダーズカップクラシックでは、一瞬勝つかと思わせたほどの脚を見せた。先行有利のメイダン競馬場だが、ペースが速くなり、差しが届く場面があれば、日本産馬として2頭目の同レース制覇も夢ではない。

最後に前哨戦のマクトゥームチャレンジ、ラウンド3を逃げ切ったキャッペッザーノも押さえておく。決してメンバーレベルが高いとは言えないレースだったが、今回のレースでもスムーズに先行した場合に注意が必要な存在だ。

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