【大阪杯】ブラストワンピースに不安要素あり! 鍵を握るのは「サンデーサイレンスの血」

SPAIA編集部

競馬

Ⓒ明石智子

最後にサンデーの血を持たない馬が勝利したのは2010年

2017年からGⅠに昇格し、春の中距離戦線における重要な位置付けを確固たるものとした大阪杯。GⅠとしての第1回となった2017年は、1番人気のキタサンブラックが勝利、第2回の昨年は1番人気のスワーヴリチャードが勝利していて、それなりに順当な結果だったという印象がある。しかし2着には7番人気ステファノス、6番人気ペルシアンナイトと「中穴馬」も食い込んでいるように、人気どころだけに注目していると、なかなか的中出来ないレースでもある。

今回はそんな大阪杯を、血統的な観点から検証した。

好走のカギを握るのは、今もなお日本競馬界に多大なる影響を与え続けている「サンデーサイレンスの血」と判断する。まずは、2010年以降における上位3着馬の血統をみていただきたい。

2010年以降における上位3着馬の血統

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2代以内に「サンデーサイレンス」を持たない馬が勝利したのは、実に9年前の2010年まで遡る必要がある。

単勝1.9倍に支持されたエピファネイアが3着に敗れ、単勝76.3倍のトウカイパラダイスが約2年ぶりの重賞連対を果たした2014年大阪杯。活躍馬がダートに偏っているゴールドアリュール産駒を捉えきれなかったエピファネイアは、母父がスペシャルウィークであり、サンデーサイレンスの血は持っているものの、3代を経ていた。

前年のJRA最優秀4歳以上牡馬に選ばれたラブリーデイ(1番人気)も同じく、母父ダンスインザダークでサンデーサイレンスが3代離れた血統で、4着に敗れている。

近年でも、サトノクラウンやミッキースワロー、ミッキーロケットといった「サンデーサイレンス」を2代以内に持たない馬が敗北を喫しているように、サンデーサイレンスの血を濃く持つ馬が得意とする舞台であるようだ。

もちろん大種牡馬・サンデーサイレンスなだけあって、過去の出走馬の多くは彼の血を持っている。しかしそれを踏まえても、サンデーサイレンスの没後15年を超えた今、そうした傾向を大切にすることで危険な人気馬を炙り出すことができるはずだ。

危険な注目馬

・ブラストワンピース
昨年、ダービー馬や皐月賞馬・菊花賞馬を抑えて最優秀3歳牡馬に支持されたブラストワンピース。実力は折り紙つきであるものの、ここでは危険な人気馬と判断したい。

父ハービンジャー・母の父キングカメハメハと、今流行の血統を抑えてはいるが、母母父フジキセキで「サンデーサイレンスの濃さ」という視点では4世代もかけ離れている血統になる。掲示板を外さない堅実な走りから、今回も安定感を見せてはくれるはずではあるが、勝ちきれるかと言えば少し疑問符がつく。ここはあえて静観したいところ。

・キセキ
昨年の秋古馬三冠で皆勤賞の逃げ馬、キセキ。父はルーラーシップで母の父はディープインパクトという、これから増えていくであろう理想的な血統に加えて、ロンドンブリッジの牝系という奥深さも兼ね備えている。川田騎手とのコンビでは5戦して全て掲示板と、こちらも非常に安定感を誇る。

しかし、母の父ディープインパクトで「サンデーサイレンス」から3代離れているように、今回の視点では割引としたい。GⅠ昇格以降は逃げ馬が苦戦している大阪杯に参戦とあって、昨年の宝塚記念以来となる掲示板外まで想定しておきたい。

・ステルヴィオ
昨年は3歳馬ながらマイルCSで古馬を撃破した実力を兼ね備える素質馬。年明け初戦となった中山記念でも上り最速の3着と、試走としては上々とも言える結果ではあった。

そんな好走の条件が揃っているステルヴィオではあるが、やはりサンデーサイレンスは2代以内におらず、母の母の父。ロードカナロアの後継種牡馬としての評価も高い本馬ではあるが、ここではひとまず、今後に影響しない走りをしてほしいところ。

注目したい穴馬

・アルアイン
2017年の皐月賞以来、勝ち星から遠ざかっているアルアインを推奨したい。ディープインパクト産駒は2014年以降、必ず3着以内にきていることに加えて、昨年3着の本馬にとっては絶好の舞台と呼べるはず。

前走はダノンプレミアムについていけずに5着となったが、それでも素質ある4歳馬ギベオンに先着しているあたり、5歳になってもまだまだやってくれそうな雰囲気は濃厚だ。

母のドバイマジェスティは5歳シーズンがキャリアハイだった馬で、その5歳秋には人気薄ながら米GⅠのブリーダーズカップ・フィリー&メアスプリントを勝利している。3歳春に早くもGⅠを制覇したアルアインではあるが、その実力はまだ衰えず、今回でも3着以内は十分に狙える注目株と重要視したい。

・ダンビュライト
父ルーラーシップ、母の父サンデーサイレンスのダンビュライトは前走の京都記念では6番人気ながら勝利し、約1年ぶりの白星を掴み取っている。

宝塚記念馬マリアライトをはじめ、JDD馬クリソライト、JCD馬アロンダイトなどを輩出している大舞台に強い牝系であることも強調材料としたい。現在、松若騎手とのコンビでは3戦全勝だが、その勢いをGⅠの舞台でどこまで維持できるか。単なる好走ではなく、勝利までを視野に入れて考えておきたい1頭である。

そのほか、昨年の2着馬ペルシアンナイト(母の父サンデーサイレンス)や、ここ3戦を2000m戦に絞り結果を出してきたサングレーザー(父ディープインパクト)、エアスピネルの全弟であるエアウィンザー(母の父サンデーサイレンス)などに注目したい。

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