【弥生賞】カントルは兄同様に将来を約束?穴は母の父がフレンチデピュティのあの馬

門田光生

カントル,ⒸSPAIA

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今回もディープインパクト

弥生賞の声を聞くと春、そしていよいよクラシックシーズン到来だと感じる。皐月賞につながるという意味では、最近は共同通信杯の方に軍配が上がっているが、弥生賞組もここ5年で3頭の2着馬を輩出。本番と同じコース、距離で行われるレースでもあり注目度は高い。

まずは、中山芝2000mに強い種牡馬を全条件およびオープン・重賞に分けてデータにしてみた。

中山2000の種牡馬成績,ⒸSPAIA

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オープンクラスの中山2000の種牡馬成績,ⒸSPAIA

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前回の中山記念で芝1800mの種牡馬データを出したが、顔ぶれはほぼ同じ。ただ、ディープインパクトの勝率、連対率がともに改善されている。ディープインパクト産駒の本質はマイラーだと思っていただけに、距離が延びて数字がよくなったのは意外であった。

ほかに目立つところでは、オープンでのハービンジャー産駒の勝率、ステイゴールドの連対率が急上昇している点だ。条件戦よりもオープンや重賞での底力勝負に強い種牡馬の証明といえるだろう。

弥生賞のキー配合は?

毎度のことながら、このレースでもディープインパクト産駒の活躍が目立つ。

,ディープ産駒の母の父,ⒸSPAIA

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3年連続で勝ち馬を出しており、昨年はワンツーフィニッシュも決めた。このレースで活躍したディープインパクト産駒を上記の表にまとめてみたのだが、7頭中3頭が母の父がフレンチデピュティ。血統の観点から見れば、この配合が弥生賞のキー配合といえる。

とはいえ、そう都合よく今年の出走メンバーにいないだろうと思ったのだが、これがいたのだ。メイショウテンゲンである。前走のきさらぎ賞では直前に降った雨の影響もあったのか5着に終わったが、大外を回りながらもじりじり伸びて悲観する内容ではなかった。

母は日経新春杯や京都大賞典を制したメイショウベルーガ。現役時代は夏より冬場の活躍が目立っていて、仔もそれを受け継いでいるならば、まだ涼しい今が走り頃。メイショウ軍団期待の良血が中山の芝2000mで開花する可能性は十分だ。

ほかのディープインパクト産駒ではサトノラディウス。前走の梅花賞では勝負どころで置かれた時はどうなることやらと思ったが、しぶとく盛り返して勝ち切った。ディープ産駒らしくない馬だと思った通り、母系にデインヒルダンサー、インザウイングス、エラマナムーと欧州の重い血統が重ねられて、それがもろに出ている。力の要る馬場が合いそうなので中山変わりはプラス。距離的にはもっと延びてもいいくらいだ。

カントルはサトノラディウスと違って母系に米国色が強く、スピードが求められる東京や京都向きか。しかし、注目は母の父キングカメハメハ。先ほどのデータにあるように中山芝2000mの成績がよく、ここ5年、弥生賞でも父、母の父の5頭が3着以内に入っているところに注目したい。現に、全兄が昨年の弥生賞で2着。ここからも適性は十分といえる。

あとは今回と同じ条件のホープフルSで好走したニシノデイジー。父ハービンジャーは中山芝2000mのオープン・重賞では勝率がトップ。重賞戦ではディープインパクトより頼りになる種牡馬といえる。

新馬-京成杯と連勝して注目されているラストドラフトは、母の父がディープインパクト。これはサンプルが少なすぎて何ともいえないのだが、父系が絶滅寸前危惧種といっていいブランドフォード系。ブランドフォード系はスピードより力の要る馬場を好む傾向で、冬場の連続開催で馬場が疲弊していた京成杯と違い、まだ良好な馬場状態が予想される今回は厳しい戦いになりそう。

実際に京成杯を使って弥生賞に挑んだ馬は、ここ10年で3着はあるものの連対はしていない。貴重な系統だから後継種牡馬となるぐらいの活躍を見せてほしいのだが、血統的なデータからは強く推せない。

兄に続くか、カントル

最後に、ここ5年の連対馬の前走着順を表にしてみた。

,弥生賞連対馬の前走着順,ⒸSPAIA

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10頭中、何と9頭が前走1着。9割というのはかなり信頼できるデータといえる。今回はこちらを軸にして予想してみたい。

今回の出走馬で前走1着馬を挙げると、カントル、サトノラディウス、シュヴァルツリーゼ、ラストドラフトの4頭。このうち、過去10年で1戦1勝の馬が3着以内に入っていないことからシュヴァルツリッツは消し。また、ラストドラフトも血統で強く推せないと書いたので押さえまで。

残るはカントルとサトノラディウス。ともにディープインパクト産駒で血統面でも合格。あとはどちらを軸に選ぶかだが、父、母ともに中山芝2000mに相性のいい血統を持ち、全兄が昨年2着しているカントルに期待したい。

相手は前走1着のサトノラディウスとラストドラフト、血統面から推奨のメイショウテンゲンとニシノデイジーの4頭で勝負。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬の記事を執筆中。

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