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【チューリップ賞】波乱が起きにくい桜花賞への王道路線

2019/02/26 15:00
SPAIA編集部
輪乗り,ⒸSPAIA

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桜花賞と同じ条件で行われるのがチューリップ賞

桜花賞トライアルの第1弾であるチューリップ賞は、桜花賞と同じ阪神コースにして同じマイルの距離設定。その勝ち馬の多くはここをステップにして桜花賞を制覇してきた。いわば王道トライアルとして、長く親しまれてきたのがこのレースである。

並んで翌週に行われるフィリーズレビューがGⅡであるのに対して、このチューリップ賞はGⅢの格付けとされてきたが、出走馬のレイティングは明らかにこちらの方が上だった。2018年からはGⅡへと格上げされたことで、ようやく均衡が取れてきたのではないだろうか。

レベルの高いメンバー構成で、人気馬の信頼度は高く、大きな波乱は起こりづらいレース。馬券的な妙味は乏しくとも、桜花賞での取捨を見極めるという意味では、必見の一戦との位置づけで間違いはないだろう。

ではなぜそのような傾向が生じるのか、もう少し掘り下げて考えてみたい。

なぜ大きな波乱が起きないのか?

まず注目すべき点は、チューリップ賞が桜花賞と全く同じ条件設定である上に、前年の12月に行われる2歳女王決定戦、阪神JFとも同コース、同距離であるということ。2つのGⅠに挟まれた同設定のトライアルであるということが、メンバーのレベルを引き上げる要因となっていることは確かだ。

チューリップ賞で上位人気を占めるのは、阪神JFで好走した馬たちが大半である。そしてチューリップ賞での結果が、桜花賞へと直結する。3つのレースは王道路線として、疑いようもなく連動しているのだ。

もちろん、それぞれのレースの性質には違いがある。2歳として最初のGⅠである阪神JFはキャリアの浅い馬、距離適性や脚質などが定かでない出走馬も多い。そのため、展開は読みづらく、枠順によっては大きな不利を被るリスクもある。だが、そこをセンスと完成度で乗り越えた上位入線馬にとってのチューリップ賞は、桜花賞の前哨戦としてそれほど厳しい流れとはならないため、対策の立てやすい一戦となるのではないだろうか。

だが、チューリップ賞の3着までに桜花賞の優先出走権が与えられるといっても、キャリアの浅い1勝馬が桜花賞への切符を取るには、敷居の高いレースと言わざるを得ない。昨年のレースで、阪神JFの1~3着馬が上位を独占したように、上位の力づけが示された馬ですでにいくつかの議席が押さえられてしまっているからだ。

当然、住み分けが始まり、賞金不足の素質馬たちは別路線へと回ることからも、チューリップ賞は王道の前哨戦として、平穏な決着をみるという構図となりがちなのであろう。

4年連続勝ち馬が桜花賞で勝てていない

結論として、チューリップ賞は阪神JFで上位入線を果たした人気馬の信頼度が高いとする向きに異論はない。ただし、2014年のハープスター以降、4年間に渡って、チューリップ賞の勝ち馬が桜花賞で敗れている事実については、注目しておくべきかもしれない。

シンハライト、ジュエラーの上位2頭の着順が入れ替わっただけの2016年は傾向として変わりのないものだったが、2017年にはかん性の激しくなりつつあったソウルスターリングが勝ち続けることの難しさを見せた。2018年はラッキーライラックが別路線から現れたアーモンドアイの豪脚に屈している。秋には競馬界の勢力図を塗り替えることとなるスーパーホースの出現が王道路線からでなかったことは、果たして一過性のものであったのか、変化の始まる予兆であったのか。

早期に3歳馬の力関係をしっかりと見極める意味でも、今年のチューリップ賞の結果に注目したい。