中山から東京の競馬場替わりで狙う馬、割り引く馬は?

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全く違う2つのコース
今週から関東の競馬は、中山競馬場から東京競馬場に舞台を移す。この2つの競馬場のコース形態は全く正反対といっても過言ではない。これだけコース形態が変われば、得意不得意の馬も入れ替わるのではないか。血統的に何かいいデータがないか検証してみた。
まずはコース紹介から。

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右回りと左回りの違いがある上、1周の距離もかなり違う。直線の距離が長くなれば多少エンジンのかかりが遅い馬でもごまかしが利き、長くいい足を使う必要もある。幅が変わればコースが広くなり、それだけ紛れることも少なくなる。
中山競馬場の外回りはいわゆるたまご型のコースで、日本では唯一のコース形態だ。そこから、オーソドックスな楕円形の競馬場に舞台を移すのだから、中山を走った馬はコースの違いに戸惑わないのか心配になるほど全く違う。
また、1月の中山は12月から開催が続いてきた影響で芝が傷んでおり、走りにくい状態にあった。逆に東京競馬場は2か月開いており、芝の生育が進んでどこもかしこもきれいな状態である。これだけ条件が変われば何か特徴が出るはずだ。
意外に東京でも走るハービンジャー産駒
下の表は過去10年のこの時期開催の中山、東京コース(芝)の種牡馬別勝ち数ランキングである。

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これだけ条件が違っても1位はディープインパクト産駒。勝率、連対率、複勝率も変わらず優秀な成績。全く隙がない。
意外だったのが、ステイゴールド産駒が3位に入っていること。イメージ的にパワー型なので、阪神、中山のような直線に急坂があるコースがいいのかと思いきや、坂の傾斜が緩やかな東京コースでも勝ち数が落ちていない。単勝回収率も59%→104%にジャンプアップ。人気のないステイゴールド産駒には要注意だ。
気になるのがキングカメハメハ産駒の数字の落とし方。勝ち数(21→21)は同じだが、勝率(9.7%→8.1%)、連対率(19.4%→17.8%)、複勝率(28.2%→25.1%)と少し数字を落としている。
ちなみに、冬の中山芝が大の得意とSPAIA競馬コラムでもよく出てくるハービンジャー産駒だが、勝率(6.4%→6.4%)、連対率(15.4%→15.4%)、複勝率(25.6%→29.5%)と意外にもほとんど変わらない。冬の東京競馬場の芝は時計がかかるので向いているのだろう。引き続き注意したい。
東京替わりで割引が必要な馬が多数
次は、過去10年のこの時期の中山、東京コース(ダート)の種牡馬別勝ち数ランキングである。

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中山同様にクロフネ産駒には引き続き注意したい。それ以下は順位の変動がかなりあるが、上位に入っている馬の成績が良くなったのではなく、中山で上位だった馬が成績を落としている。
例えばキングカメハメハ産駒は、勝率(11.2%→5.8%)、連対率(18.0%→17.0%)、複勝率(26.3%→25.5%)、4位から圏外に落ちたサウスヴィグラス産駒は、勝率(9.4%→8.0%)、連対率(15.8%→14.5%)、複勝率(25.6%→17.4%)と苦戦している。サウスヴィグラスは中山の出走頭数が203、東京が138とかなりかなり数字に開きがある。これは中山には1200mがあるが、東京は一番短い距離が1300mなのが関係しているのではないだろうか。距離が短ければ短いほど成績がいい産駒が多いだけに、出走頭数自体が減っていると考えられる。
上記の表を見て、中山で成績がよかった種牡馬が東京で順位を下げていれば割り引く必要がある。全く違う2つの競馬場だが、人間と同じでコンスタントに成績を残す馬もいれば、特異な状況下で実力を発揮する馬もいる。こうして見ると、人と馬は同じ生き物だと感じるデータではないだろうか。
