フェアリーSは「マイル重賞」=「ロードカナロア」の方程式で決まり!

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2019年はステイゴールド産駒で幕開け
年明けに行われた中山金杯はステイゴールド産駒が1、2、4着。データで見ると同馬より数字が上の種牡馬はいるのだが、それでも中山で行われるここ一番のレースに強い印象がある。

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上の表はステイゴールド産駒を収得賞金順に並べたものである。中山の重賞を勝っていないのはレインボーラインだけで、やはり当地で行われる重賞では外せない存在といえる。
一方、京都金杯はクロフネ産駒のパクスアメリカーナが人気に応えて勝利。3着には人気薄のミエノサクシード(11番人気)が突っ込んだ。この馬もステイゴールドの仔で、同産駒にしては珍しく長くいい足を使えるタイプ。そういえば、中山金杯の1番人気で12着に敗れたマウントゴールドもステイゴールド産駒。こちらの思うように走ってくれないところもまた、ステイゴールドの魅力なのかもしれない。
とにかく荒れるレース
フェアリーSといえば、人気通りに決まった記憶がほとんどない。それもそのはずで、ここ10年で3連単は全て万馬券。そのうち10万円以上の配当が実に6回もある。傾向もつかみづらく、前走が未勝利だろうが、中山経験がなかろうが関係なし。ここ5年で馬券に絡んだ馬は全て1勝馬というデータを用意していたのだが、ほとんどが1勝馬ではほぼ意味がない。
ただ、マイルを走った経験は大事なようで、同じくここ5年で馬券に絡んだ15頭中、14頭が当該距離を経験済み。これはほぼ必須条件といえる。

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表にあるように、中山マイルで最も勝ち星が多いのはディープインパクト産駒。以下もおなじみの種牡馬が名を連ねるが、注目は新鋭ロードカナロア。産駒数が少ないのでトップ5入りはしていないが、連対率ではディープインパクトやハービンジャーより上。
また、ロードカナロア産駒といえばアーモンドアイの印象が強くて万能のイメージを受けるが、上記のようにマイルの成績が一番いい。昨年のマイルCSを勝ったステルヴィオがモデルケースになるのだろう。ちなみに京都金杯には1頭も出走していなかったが、3頭出走のシンザン記念ではきっちり勝ち馬を輩出。「マイル重賞」=「ロードカナロア」の言葉を覚えておいて損はないはずだ。
ロードカナロア産駒は1頭のみ
今回、注目のロードカナロア産駒はレーヴドカナロアただ1頭。個人的に新馬戦は大雑把な競馬で強さは感じず、少し不安はあるが「マイル重賞」=「ロードカナロア」を信じて本命に推す。
そのほかではフィリアプーラ。前走は道中で待たされ、4角では大外を回らされるというちぐはぐな運びだったが、直線で前2頭が残るのかという展開を一気に差し切った。兄に朝日杯FSを勝っているアルフレードがいて、父は中山の芝に強いハービンジャー。この条件に適している血統も魅力的。
グレイスアンは8月のデビュー戦を取り消して、再デビューとなった東京戦を快勝。勝負どころで早め先頭に立って後続の目標になる展開だったが、2着馬が来れば来るだけ伸びるという感じで快勝。1戦1勝でキャリアの浅さは心配だが、素質はかなりのものと見ている。
チビラーサンはマイル経験がないのでデータ上は割引が必要だが、母は阪神牝馬Sを勝って挑んだヴィクトリアマイルで故障を発生し、引退を余儀なくされた悲運の名牝サウンドオブハート。父は新種牡馬のケープブランコだが、海外での種牡馬成績が悲惨なせいか、種付け頭数が132→47→26頭と日本でデビューする前から激減しているという、ある意味不運な馬。そんな両親から生まれた同馬が重賞を勝って親孝行できるのかどうかにも注目したい。
《ライタープロフィール》門田 光生(かどた みつお) 競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。編集部チーフも兼任。本社予想、「最終逆転」コーナーを担当。現在、サンケイスポーツにて地方競馬の記事を執筆中。
