マイルCSで好騎乗を見せた剛腕騎手 ビュイックのすごさとは

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まさに有言実行
マイルチャンピオンシップでステルヴィオに騎乗し、見事GⅠ制覇に導いたウィリアム・ビュイック。これまではスタートが遅く、後方からのレースを余儀なくされていた同馬を先行させる、そんな彼の強い意志と覚悟を感じさせるスタートだった。その裏には、こんなエピソードがあったという。
ビュイックは過去のレースを分析し、当日の馬場状態、そして1番枠であるということから、後ろから行っては届かないと考えていた。そこで管理する木村哲也調教師に、「5番手以内で競馬をしてもいいか」と尋ねたという。実際のレースでも、提案通り4、5番手からレースを運んだ。そんなことをいとも簡単にやり遂げてしまう、これが世界で活躍している一流の証しだ。
ホースマンに囲まれた家庭で育つ
1988年、ノルウェーで生まれる。父は騎手、母は馬術選手というホースマンに囲まれた家庭で育った。
イギリスでデビューし、現在も同国を拠点に活躍している。2006年に初勝利を挙げると、2008年には重賞初勝利。さらに同年、イギリスの見習い騎手チャンピオンに輝いた。2009年、カナダのE.PテイラーSでGⅠ初制覇を果たした。のちにイギリスの名門、ジョン・ゴスデン厩舎の主戦騎手として活躍の場を広げていった。
2012年には、東京競馬場で行われた招待騎手競走、ワールドスーパージョッキーズシリーズに参戦。この時が初来日となった。翌2013年、2014年には短期免許を取得し、来日している。
169cmと騎手にしては長身であり、長い腕を生かした力強いフォームを武器にしている。

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日本のGⅠには今まで9レースに騎乗し、そのうち7レースで人気以上の着順となっている。中でも、2014年の有馬記念で9番人気のトゥザワールドを2着に導いたのを覚えているファンは多いだろう。
そして今回は4年ぶりに短期免許を取得して来日。マイルCSで、日本で初めてGⅠ制覇を果たした。
ゴドルフィンの主戦に抜擢
そんな騎手人生の中で最も大きなターニングポイントとなったのは、2014年の11月だ。ドバイのモハメド殿下が率いる競馬組織、ゴドルフィンのイギリスにおける主戦騎手に抜てきされたのだ。
その後はアイルランドダービー、ジャック・ル・マロワ賞、ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフなど、欧米各国で多数のゴドルフィンブルーの勝負服をGⅠ制覇に導いている。
2018年はマサーに騎乗して、伝統あるイギリスダービーを制した。活躍の場はゴドルフィンだけにとどまらず、イギリス、アイルランド、フランス、イタリア、アメリカ、ドバイ、香港など、世界各国でGⅠ制覇を果たしており、とどまる所を知らない。
