【札幌記念回顧】後半5Fの脱落戦に見たシェイクユアハートの底力 止まらない“ハーツクライ産駒の覚醒”

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アドマイヤテラがレースを動かす
夏の北海道の大一番である札幌記念はシェイクユアハートが勝利し、重賞3勝目。2着サクラファレル、3着レディネスで決着した。GⅠ馬不在とはいえ、さすがは定量GⅡ戦。レースの重みを感じさせる激しい競馬だった。
大方の予想通り、ホウオウビスケッツが外から先手を奪い、内からオニャンコポン、外からレディネスが追う形で隊列は形成されていった。中盤では12.8-12.4とスローになりかけたところ、レースを動かしたのが2番人気のアドマイヤテラだった。
長距離だとそれなりに位置をとれるものの、久々の2000m戦出走とあって、少しだけ位置が下がっていた。その状況で外からマクってレースを動かしにいった。おそらくそこを挽回するというニュアンスより、早めに動いてスタミナ勝負に持ち込むという意味合いが強い。
上位人気馬が外から先頭に並びかければ、周囲も追いかけないわけにはいかない。全体的に押し上げる形になり、残り1000mから11.8-11.9とペースアップしていった。ここで動いたことで、4コーナー出口で馬群は外に大きく広がり、非常に見ごたえある攻防になった。
後半600mも11.8-11.9-11.4。アドマイヤテラの動きに呼応した多くの馬たちによる脱落戦となり、最後に残ったのがシェイクユアハート。コーナー4つの2000mを得意としており、この手のロングスパート戦は適性のど真ん中にある。
2走前の金鯱賞は後半1000m11.4-11.2-11.6-11.7-11.8、重賞初制覇の中日新聞杯は後半800m11.2-11.3-11.3-11.5。11秒台が4つ5つと並ぶレースだと末脚がまるで違う。今回も、4コーナーでの手応えが抜群で、残り200mからの再加速も段違いだった。ラスト11.4とラップを上昇に転じさせたのはシェイクユアハートの底力だ。
昨年の夏は新潟記念に出走して11着。直線の長い2000mは適性外とはいえ、見せ場もなかった。これが約1年で重賞3勝、そのうちGⅡが2勝だから驚異的だ。5歳秋から一変するのはまさにハーツクライの覚醒といっていい。6歳になり、さらに進化が止まらない印象すらある。
さあGⅠへと言いたいところだが、適性を考えると秋の中距離路線は難しそうで、悩ましい。香港という手もあるが、適鞍を探し、計画的にGⅠにもっていけるかどうか。なんとかGⅠタイトルをとってほしい。
重賞通用の力を示したサクラファレル
2着サクラファレルは今回、重賞出走3回目。得意の洋芝も手伝い、大きく前進した。好位の後ろに控え、じわじわと順位を上げ、最後まで踏ん張った。
アドマイヤテラが動いた脱落戦に最後まで残ったのは価値があり、今後、重賞戦線に食い込んでくるだろう。万能のキングカメハメハの血を引くサートゥルナーリア産駒だけに、これから好走ゾーンが広がってきそうだ。
3着レディネスは好位で流れに乗り、周囲が早めに押し上げていくなか、ポジションの優位性を利用する形で仕掛けを待てたのが大きい。横山典弘騎手らしい流れを読み、騎乗馬のリズムを崩さないスタイルがハマった。
レディネスは3歳時にプリンシパルSで上がり33.2の切れ味を披露し、ダービー出走権を手にした素質馬。その後は体調が整わなかったか以前の爆発力はなりを潜めていたが、ここにきて浮上のきっかけをつかんだのではないか。広いコースの瞬発力勝負でもみてみたい。
4着ローシャムパークは内を立ち回ったものの、最後の直線で手応えを残す馬の間に入ってしまい、進路をつくれなかった。消化不良な競馬ではあったが、まだまだ実力が通用することは証明できた。
1番人気ショウヘイは7着に敗れ、札幌記念の1番人気連敗記録はまたも継続することになった。好位から理想的に運べたものの、直線では脚を使えず、洋芝適性の差もあったか。休み明け12キロ減も響いたようで、この先は体調面が課題になりそうだ。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。
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