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【ヴィクトリアマイル】先週とは傾向が変化、末脚自慢の過剰人気に注意 京大競馬研の本命はカムニャック

2026/05/17 06:00
京都大学競馬研究会
ヴィクトリアマイル上がり3F5位以内馬の成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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オークス馬と桜花賞、秋華賞馬が激突

5月17日(日)にヴィクトリアマイル(GⅠ)が行われる。先週のNHKマイルCに続き、舞台は東京芝1600m。メンバーは4歳以上の牝馬に変わる。

昨年の牝馬三冠を分け合ったエンブロイダリー、カムニャックをはじめ、春のマイル女王の称号をかけて実力馬18頭が激突する。春のGⅠの中でも特に波乱が起きやすい本レースを丁寧に紐解いていきたい。

以下では、本レースが行われる東京芝1600mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

Bコース替わりに注意

まずは東京芝1600mのコース形態をみる。向正面右側からスタートし、初角までの距離は約540m。3コーナーにかけて下り坂、最後の直線は525.9mで高低差2.1mの緩やかな上り坂がある。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約540mと、東京芝コースの中で最も長い点だ。序盤の隊列は定まりづらく、先手争いが長引きやすい。序盤の先行負荷は大きい。

コーナーに入った後、ペースは一旦緩む。先行勢が再び加速するまでの中盤で、後方勢が進出していく。直線に入るまでに前とのポジション差を縮めやすい。

したがって、序盤、中盤で脚を温存しながら追走し、終盤で速い上がりを使うことができる差し脚確かな馬が有利になる。

ここまでは先週行われたNHKマイルCと同じだ。しかし、大きく異なる点が一つある。それは今週からBコース替わりという点だ。先週時点でも時計がかなり出やすい高速馬場だったが、今週はより時計が出やすく、内前が止まりにくくなるとみる。

したがって、速い上がりの脚と同等以上に4角時点である程度前目のポジションにつけられる先行力や機動力が求められる。これが今回のレースの質だ。

NHKマイルCとはやや異なる傾向

<ヴィクトリアマイル 上がり3F5位以内馬の成績>
【9-6-6-33/54】
勝率16.7%、連対率27.8%、複勝率38.9%、
単勝回収率521%、複勝回収率172%
※過去10年

ヴィクトリアマイルにおける上がり3F5位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。ただし、Aコース最終週で施行されるNHKマイルCでは【9-8-7-31/55】勝率16.4%、連対率30.9%、複勝率43.6%(※2016~25年)で、これと比較すると連対数、馬券圏内の頭数は僅かながら減少している。

また、先週のNHKマイルCが外差し決着だったため、世間的には差しが届くイメージを持たれていると考える。メンバー上位の上がりを使えることは確かに好走の鍵だが、Bコース替わりによる変化にはオッズ妙味を見出したい。

序盤からある程度前目にポジションを取れる先行力や、コーナーでポジションを上げられる機動力も重視して印を打っていきたい。これらを踏まえて展開予想をしていく。

例年に比べて先行負荷が小さい展開

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が4頭、距離延長馬が4頭と出走馬全18頭に対してやや少ない。

テンの速さではアイアンサンが抜けている。ただ、2走前は楽な単騎逃げで前半600m34.8秒、前走は大外枠から強引にハナを切って33.9秒と、そこまで速くはない。また、絶対にハナを取り切りたいタイプでもない。

初角までの距離が長いとはいえ、先行馬と距離延長馬の比率から他馬がアイアンサンに積極的に競りに行くとも考えにくい。アイサンサンの逃げなら近走内容から超ハイペースにはならない。序盤の先行負荷は、例年に比べて小さいと考える。

この展開で恵まれるのは4角時点で前目にポジションを取り、メンバー上位の末脚を使える馬だ。序盤から前で運べる先行力や、道中動いていける機動力を、速い上がりの脚と同等に評価したい。今回想定されるペースと馬場では直線だけで最後方からまとめて差し切るのは至難の業だ。少なくとも中団にポジションを取れるだけの追走力は必要だろう。

「我慢をしてくれるかが一番のポイント」

◎カムニャック
前走の阪神牝馬Sは1年2ヶ月ぶりのマイル戦ながら好スタートを切って好位を追走。スムーズに追い出し、上がり最速の脚でタイム差なし2着。展開の有利不利を考えれば勝ちに等しい内容だったと評価する。6ヶ月の長期休養明け初戦から上々の走り。叩き2走目かつ得意の東京に替わって上積みに期待できる。

2走前の秋華賞はそのポテンシャルを上手く発揮できなかった。ゲートに入る前の時点でかなり落ち着きを欠き、ゲートでも大きく立ち上がり、スタート後はかかりにかかった。3番手で先行するもガス切れで1.9秒差16着に敗れた。あの状態ではどんな名馬でも好走するのは不可能。完全に度外視する。

鞍上の川田将雅騎手も「ゲート、レース前のテンション、スタートを切るまでに、どれほど彼女が我慢をしてくれるかが一番のポイントになる。しっかりと走り切れる状態でゲートを切れば、自ずと結果はついてくる」とコメントしているように、一級品の能力を発揮できるかが命運を握る。この点で、テンションが上がり過ぎてしまった秋華賞とは異なり、向正面スタート、後入れの偶数番は好材料だ。

前走内容から距離も十分に対応でき、左回りの東京もオークス馬である本馬にとって全く問題ない。近2走は3、4番手の好位で運べているように先行力も申し分ない。想定される展開で前からスムーズに持ち前の末脚を使えれば勝ち負け必至とみる。エンブロイダリーとの比較でオッズ妙味も十分だ。

◯クイーンズウォーク
昨年の本レース2着馬。前走の金鯱賞は中京で不利な外枠からミドルペースを5、6番手で追走。素直な地力勝負となった一戦で0.1秒差3着に入った。シェイクユアハート、ジョバンニ、ジューンテイク、ドゥラドーレスといった重賞好走多数の牡馬相手に僅差と高く評価できる。

中団前目から常に堅実な末脚を使えるのが強みであり、ここも引き続き主役級の一頭。内目の枠も良く、エリカエクスプレスについていく形で内ラチ沿い2、3列目を追走できれば。

▲エンブロイダリー
前走の阪神牝馬Sはやや展開有利があったとはいえ、休養明けで逃げて勝ち切る好内容。桜花賞を制した舞台で能力の高さを示した。安定した先行力を持ち、ベストはやはりマイル。展開不利ながらレースレコードで勝ち切ったクイーンCの内容から東京適性も高い。

一瞬のキレ味よりも末脚の持続力が武器であり、想定される展開も向く。C.ルメール騎手の継続騎乗も大きなプラス材料。能力を発揮できればここは順当に好走可能だ。

△エリカエクスプレス
安定した先行力を持ち、2枠4番の絶好枠を引いた。アイアンサンが外からどれほど主張するかにも依るが、ハナを譲る形で内ラチ沿い2列目を確保できれば展開有利だ。

秋華賞2着があるように、自分の展開に持ち込めれば上位に食い込むだけのポテンシャルを秘めている。距離短縮を生かした早め先頭からの粘りに期待したい。

×ラヴァンダ
トロヴァトーレ、ウォーターリヒトと僅差の競馬をした2走前、東京新聞杯の内容を高く評価。今回のメンバーでも上位のテンの速さを持ち、中団前目から追走できる。3枠6番の枠も良く、内から馬群をさばいてスムーズに追い出せればチャンスがある。

×ジョスラン
前走の小倉牝馬Sは17番枠から終始3、4頭分外を回し続けるロスの大きい競馬。高い機動力で道中進出し、上がり3位の脚を使いラスト2Fの加速ラップを差し切った。秋華賞も展開不利ながら上がり3位で0.5秒差4着。東京替わりはプラス材料だ。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△×馬連5点、◎-◯▲-◯▲△×3連複7点で勝負する。

▽ヴィクトリアマイル予想▽
◎カムニャック
◯クイーンズウォーク
▲エンブロイダリー
△エリカエクスプレス
×ラヴァンダ
×ジョスラン

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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