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【桜花賞回顧】際立った完成度と成長曲線 スターアニスが世代随一のスピード持続力を示す

2026/04/13 10:30
勝木淳
2026年桜花賞、レース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

阪神JFとの違い

牝馬クラシック初戦の桜花賞はスターアニスが勝利し、GⅠ2勝目。2着ギャラボーグ、3着ジッピーチューンで決着した。終わってみれば阪神JF1、2着。牝馬は2歳GⅠが起点となるという格言通り、混戦と言われたレースも終わってみればシンプルな結末だった。

阪神JFは前後半800m45.3-47.3、1:32.6と落差2秒のハイペースだった。桜花賞は前後半800m45.7-45.8、1:31.5。ハイペースではなかったが、前後半のラップ差がなく、かつ前半は阪神JFと0.4差。後半が落ち込んだ暮れに対し、今回は45.8とラップを落とさずゴールまで回ってきた。

スピードの持続力をより伸ばしていかないと、対応できない。つまり、4カ月で数段レベルアップしていないと好走できない競馬だった。勝ったスターアニスは休養期間でかなり力をつけていた。休みながらレベルアップを遂げてしまう。ノーザンファームしがらきと高野厩舎の仕事ぶりには恐れ入る。


ソダシ、リバティアイランドとそん色ない記録

レース振りを振り返ると、外枠から枠なりに外を追走し、暮れのGⅠとほぼ同じような位置をとる。序盤、周囲の動きもあり、若干だが淀むような場面もあったが、スターアニスの集中力が切れることはなかった。パドックでの周回を見ていても、精神的にも非常にどっしり構えられる。3歳牝馬とは思えぬ心のタフさも結果につながった。

ロンギングセリーヌが注文をつける形で主導権を握り、ルールザウェイヴ、プレセピオらが追走。ちょっと緩めにくい雰囲気で進み、序盤は12.4-10.6-11.1、34.1。ここ10年の桜花賞ではソダシが勝った21年(34.1)、リバティアイランドの23年(34.0)と同レベル。34.5前後になる年が多いので、桜花賞としては速い部類に入る。

上記2年の勝ち時計は1:31.1、1:32.1と速く、桜花賞の高速決着は序盤のペースによる部分が大きい。なかでもソダシに続く1:31.5はマイラー色の濃い競馬だったといえる。これはオークスに向けて忘れないでおきたい。

中盤の3、4コーナーで11.6-11.5-11.5とわずかに緩んで、ラスト2ハロン目は11.1。ここで外からほぼ馬なりで先行集団に並んだスターアニスはけた違い。久々にゾクゾクするような一瞬だった。スピードの持続力は世代随一。マイルなら負ける場面は考えられない。

おそらくオークスには参戦しないのではないかと思うので、余計なお世話かもしれないが、ソダシに重なって仕方ない。ただ、阪神JFと桜花賞を線で結んでも、成長曲線と完成度の高さは抜けており、距離の壁を乗り越える可能性はなくはない。マイラーが完成度の差で押し切るのもオークスの歴史でもある。


オークスで評価するなら

2着ギャラボーグは初手で前はとれなかったが、馬が前に進みたがったことも手伝い、自然と前にとりついていった。先行勢にとって楽な流れではなく、これを前に進みながら粘ったとなると価値がある。同時にスターアニスと同じくマイラー素養の高さを示した。

見せ場なく9着に敗れたクイーンCの上がり600m34.2に対し、桜花賞は34.4。もちろん、競馬場は違うので比較しても仕方ないが、要するに33秒台の末脚を問うようなコースだと伸びきれない。

スターアニスと似て(今回は33秒台を記録したが)、34秒台前半で上位に顔を出せる持続力勝負向きだ。その傾向がはっきり出たので、今後の馬券検討は楽になった。買い時を見定めてメリハリをつけて付き合っていこう。

3着はジッピーチューン。ゲート入りがやり直しになり、2度目のゲートまでの間、かなり興奮した仕草を見せており、心配したが、気を取り直してレースに集中できた。とはいえ、スタートダッシュがつかず、道中は後方2番手からの展開。この状況を踏まえ、末脚にかけ、インに構えて直線で開いたところを抜け出すという策が当たった。

直線でのコース取りは内ラチから3、4頭目から縫うように最後は内ラチ沿いに進路を見出した。真っ直ぐ抜けられればと思わせるほどの末脚だった。ギャラボーグと同じロードカナロア産駒だが、マイルへの対応力が低く、距離の融通はこちらの方がありそうだ。

2番人気ドリームコアは9着。道中はスターアニスの背後につけており、運びは決して悪くなかったが、4コーナーから直線半ばにかけて速いラップが刻まれた地点でついていけなかった。平均ラップのマイル適性の差が出たようだ。

スローならマイルでもいいが…。そんなキャラ立てだとすると、距離延長への期待値は大きい。母はマイルGⅠ馬だが、叔母クロノジェネシスという血統背景を思えば、中距離で前進するのは自然のなりゆき。母も札幌記念、香港Cと格の高い2000m戦で結果を残した。オークスで評価を落としたくない。


2026年桜花賞、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

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