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【愛知杯回顧】12番人気アイサンサンが重賞初制覇 姉と同じ「4歳中京勝ち」からの飛躍に期待

2026/03/23 10:50
勝木淳
2026年愛知杯、レース結果,ⒸSPAIA

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マイペースを貫いたアイサンサン

昨年から芝1400mに生まれ変わった愛知杯はアイサンサンが逃げ切り、重賞初制覇。2着ソルトクィーン、3着セフィロで決着した。

中京に限らず、1400m重賞は展開予想が難しい。昨年は前半600m32.7のハイペースになり、ワイドラトゥールの追い込みが決まった。同馬は今年4着。コース適性は文句なしも、流れが違った。今年の前半600mは33.9。流れに恵まれなかった。

1400mはメンバー次第で適性が大きく動く。今年、先手をとったアイサンサンはマイルと1400mを中心に使われており、単騎でいければ速い流れにならない。これが1200mと1400mを行き来するような馬が複数いると、差し追い込みを誘発する。ざっくりと先行勢の顔ぶれをみていくと、前と後ろどちらが優位な流れになるか想像しやすい。

最大のポイントは大外枠に入ったアイサンサンが先手を主張し、単騎でレースを支配できたことだろう。なにせ18頭立ての大外枠だ。少しでもスタートで後手を踏めばハナは難しい。スタートとその後のダッシュに全集中を注ぎ、それを成功させた。人馬の共同作業は見事であり、ハナに立った時点で、マイペースを貫く道に乗れた。

12.2-10.6-11.1と推移し、コーナー区間は11.5-11.5。大外枠から勢いをつければ、そのままオーバーペースになってもおかしくないが、アイサンサンは落ち着いて中盤をやり過ごした。力の入れ所を理解した賢さが光っていた。

ラストは11.2-11.5。2着馬に並ばれると、もう一度力を振り絞った。賢いだけでなく、根性もある。もはやなにも言うことはない。


佐々木晶三厩舎から橋田宜長厩舎へ

これだけの走りを、転厩してすぐに引き出したのが橋田宜長厩舎だ。開業19日目にして、重賞で初勝利をあげた。

定年で解散した佐々木晶三厩舎から引き継いだ馬で、担当者も変わらずそこまで環境を大きく変えずに進められた転厩だったのは事実だが、それでも重賞勝利は簡単ではない。橋田宜長調教師のホースマンとしての“引きの強さ”も感じる。

アイサンサンは定年間際の佐々木晶三厩舎と開業間もなくの橋田宜長厩舎で連勝しており、やはり理解の早い賢い馬だ。去る者とこれから歩む者をつなぎ合わせるような縁を感じさせる。姉の名前はアカイイト。ちょっとできすぎだろうか。

全姉アカイイトは4歳時に不良馬場の中京で3勝目をあげ、そこから本格化の道を進み、秋にエリザベス女王杯を制した。アイサンサンも中京を起点に大舞台へと駆けあがってほしい。血統的にもこれから強くなる。


再ブリンカー効果あったセフィロ

2着ソルトクィーンはターコイズSで10番人気3着と激走し、距離延長への道を拓いた。時計がかかる京都の芝では苦戦したものの、時計勝負の中京で再浮上を果たした。

今回は向正面で接触する場面もあったが、そこでもリズムは狂わなかった。ここにきて折り合いに進境がみえる。力を抜くところを覚え、1400m以上でも安定して走れるようになった。もう以前のイメージは忘れるべきだろう。

3着セフィロは13番人気。昨秋のアイルランドトロフィーは休み明けで0.4差5着。これを見逃してしまったのは個人的に痛恨だった。距離延長を意識し、終い勝負に徹しての結果だが、その後の着差をみても人気がなさすぎた。

今回は勇気をもって中団につけたのが大きい。折り合いに難しさを抱えており、道中はかなり苦労していたが、それでも末脚を引き出せた。再装着したブリンカーの効果もあったようだ。

7着ウイントワイライトはスタートで遅れ、万事休すかと思わせたが、直線はしぶとく伸びて上がり最速33.1を記録した。

ゲートが苦手でかなりの頻度で遅れてしまうが、気力が充実しているのはみてとれる。なにか一つ噛み合えば、勝負圏内に入ってきても不思議はない。見た目の着順も悪く、スタートも安定しないが、それでも追いかける価値はありそうだ。


2026年愛知杯、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

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