【ジャパンC】「単回収率22%」ダービー馬の取り扱いに要注意! “買えるダービー馬”の条件とは?
東大ホースメンクラブ

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今年の東京競馬場ラストGⅠ
今週末は東京競馬場でジャパンカップ(GⅠ/芝2400m)が開催される。東京開催のラストを飾る秋古馬三冠の第二戦。今年は3歳で天皇賞(秋)を制したマスカレードボールや、欧州最強馬カランダガンなど豪華メンバーが集結した。
なかでも今回注目を集めるのが「ダービー馬対決」。今年のジャパンCにはクロワデュノール、ダノンデサイル、タスティエーラと3世代のダービー馬が出走予定だ。そこで今回は「ダービー馬はジャパンCで買えるのか」をテーマに、過去10年データを用いて徹底分析していく。
コントレイルがダービー馬対決を制して優勝

<ダービー馬対決結果>
・2021年
コントレイル(1着/1番人気)
シャフリヤール(3着/2番人気)
マカヒキ(14着/12番人気)
ワグネリアン(18着/13番人気)
・2020年
コントレイル(2着/2番人気)
マカヒキ(9着/11番人気)
・2019年
ワグネリアン(3着/2番人気)
マカヒキ(4着/12番人気)
レイデオロ(11着/1番人気)
・2017年
レイデオロ(2着/2番人気)
マカヒキ(4着/6番人気)
ワンアンドオンリー(16着/15番人気)
※過去10年
まずは過去10年の“ダービー馬対決”を振り返る。
直近10年のジャパンCにおいて、ダービー馬が複数出走したのは21年、20年、19年、17年の4回。意外にも、この中でダービー馬が勝ち切ったのは21年コントレイルだけだった。
また、複数頭のダービー馬が馬券に絡んだのも21年のみ。「ダービー馬は無条件で買い!」とは言えない結果となっている。
秋古馬三冠で最も「買えない」レース

<秋古馬三冠 ダービー馬の成績比較>
・天皇賞(秋)【2-2-0-8】
勝率16.7%/連対率33.3%/複勝率33.3%/単回収率57%/複回収率123%
・ジャパンC【2-3-2-10】
勝率11.8%/連対率29.4%/複勝率41.2%/単回収率22%/複回収率55%
・有馬記念【1-2-1-5】
勝率11.1%/連対率33.3%/複勝率44.4%/単回収率57%/複回収率123%
※過去10年
続いて、「ジャパンCでダービー馬は買えるのか」を検証していく。直近10年の秋古馬三冠競走におけるダービー馬の成績を並べてみると、複勝率は天皇賞(秋)<ジャパンC<有馬記念の順で、複勝回収率ではジャパンC<<<天皇賞(秋)=有馬記念となっている。
やや意外だったのが、中山競馬場で行われる有馬記念が好走率と妙味のいずれも優勢であること。ダービー馬は特に同舞台のジャパンCで過剰に評価され、有馬記念では過小評価となる傾向にあるようだ。
ダービー馬がジャパンCで苦戦する原因としては、レース質の差が考えられる。ジャパンCはダービーよりも上がり勝負になりにくい傾向にあり、過去10年のラスト600mを比べると日本ダービーの34.58秒に対し、ジャパンCは35.39秒。ジャパンCの方が消耗戦に寄っている。
今年の顔ぶれではダノンデサイルが有馬記念で3着と好走しているほか、クロワデュノールも有馬記念と直結しやすいホープフルステークスを勝利している。案外、狙い目はここではなく有馬記念である可能性はある。
“買えるダービー馬”の条件

<ジャパンC ダービー馬の好データ>
・2番人気以内【2-3-2-1】
勝率25.0%/連対率62.5%/複勝率87.5%/単回収率48%/複回収率117%
・1〜4枠【2-2-2-3】
勝率22.2%/連対率44.4%/複勝率66.7%/単回収率43%/複回収率88%
・前走5着以内【2-3-2-3】
勝率20.0%/連対率50.0%/複勝率70.0%/単回収率39%/複回収率94%
※過去10年
■2番人気以内
過去10年のジャパンCで馬券内に好走したダービー馬を振り返ってみると、全て当日2番人気以内の支持を集めた馬だった。レース質の異なるダービーとジャパンCの両方で好走するには、強豪が集うジャパンCでも人気を集めるだけの突出した実績や素質が必要だ。
今年の候補になりそうなのがクロワデュノールとダノンデサイル。ただし、天皇賞(秋)を制した今年のダービー2着馬マスカレードボールも人気を背負うことが予想され、どちらかが3番人気以下になる可能性は大いにある。最後までオッズの推移に注目したい。
■1〜4枠
ジャパンCのレース傾向としてもはっきり表れている部分ではあるが、ダービー馬に関しても内枠の方が好成績。5〜8枠【0-1-0-7】複勝率12.5%、複回収率17%に対し、1〜4枠は【2-2-2-3】複勝率66.7%、複回収率88%と好走例のほとんどが内枠に集中している。
日本ダービーはコース替わり当週の開催であるため、馬場の良い内を確保しやすい内枠が有利。そのため、ダービー馬は内枠からロスなく立ち回る器用さを持ち合わせていることがほとんど。それがジャパンCでも大きな武器になる。余談にはなるが、先ほどの章で取り上げたダービー馬がジャパンCよりも有馬記念で活躍が目立っている理由も、この「器用さ」という観点で説明できそうだ。
なお、今年はクロワデュノールが1枠2番の絶好枠をゲット。ダノンデサイルは7枠14番、タスティエーラに関しては8枠18番の大外を引いてしまった。枠から加点できるのはクロワデュノールだけとなる。
■前走5着以内
ジャパンCに挑むダービー馬にとって、直近の充実ぶりも重要な要素だ。前走6着以下だと【0-0-0-7】と全滅だが、前走5着以内なら【2-3-2-3】複勝率70.0%、複回収率94%をマーク。着順で明暗がくっきりと分かれる。
今年の3頭ではクロワデュノールが凱旋門賞14着からの参戦で、ダノンデサイルは英国のGⅠ・インターナショナルステークスで5着、タスティエーラは天皇賞(秋)8着だった。
前走着順からピックアップできるのはダノンデサイルだけ。5着に敗れたインターナショナルSも、6着だったダリズが後に凱旋門賞を制するなどハイレベルなメンバーが揃っていた。
レースも超スローからの極限の瞬発力勝負で、ジャパンCとは求められる資質がまるで異なる展開となった。ここでの敗北は全く悲観する必要はなく、巻き返しに期待できる。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をも大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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