「単回400%超」妙味絶大ハービンジャー、“川田将雅騎手×先行馬”は複勝率70%超 京都芝1600m徹底分析
東大ホースメンクラブ

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マイルCSほか5重賞の舞台
今週末は京都芝1600mを舞台にマイルチャンピオンシップ(GⅠ)が開催される。その名の通り、マイル路線の王者を決める一戦だ。
今年は安田記念の覇者ジャンタルマンタルやヴィクトリアマイルを制したアスコリピチェーノといった春のマイル王が揃って参戦してくるほか、連覇を狙うソウルラッシュ、前哨戦を勝ってきたガイアフォースとオフトレイルなど、様々な路線から楽しみなメンバーが集った。
今回はそんなマイルCSの舞台となる京都芝1600m(外)を徹底分析。このコースではマイルCS以外にも読売マイラーズカップ(GⅡ)やデイリー杯2歳ステークス(GⅡ)といった2つのGⅡに加え、京都金杯(GⅢ)にシンザン記念(GⅢ)と計5つの重賞レースが行われる。なお、今回使用するデータは京都競馬場リニューアル後の2023年4月22日〜2025年11月15日に行われた計69レースとする。
データ分析の前に、まずはコース解説から。京都芝1600m(外)は2コーナー奥のポケット地点からスタート。3コーナーまで約700mも直線が続く。向正面半ばから徐々に坂を上り、3コーナーで頂上を迎え、4コーナーにかけて下っていくというレイアウト。高低差は4.3mと、内回りよりやや急な勾配となっている。最後の直線は平坦、全長は398.7m(Cコース使用時)となる。
改修で傾向一変、外枠優勢に

<京都芝1600m(外)の枠別成績>
1枠【7-7-9-66】
勝率7.9%/連対率15.7%/複勝率25.8%/単回収率63%/複回収率74%
2枠【4-10-6-74】
勝率4.3%/連対率14.9%/複勝率21.3%/単回収率14%/複回収率56%
3枠【1-5-11-81】
勝率1.0%/連対率6.1%/複勝率17.3%/単回収率5%/複回収率64%
4枠【11-11-3-78】
勝率10.7%/連対率21.4%/複勝率24.3%/単回収率84%/複回収率50%
5枠【9-8-8-86】
勝率8.1%/連対率15.3%/複勝率22.5%/単回収率63%/複回収率57%
6枠【9-10-3-95】
勝率7.7%/連対率16.2%/複勝率18.8%/単回収率61%/複回収率55%
7枠【11-6-12-104】
勝率8.3%/連対率12.8%/複勝率21.8%/単回収率136%/複回収率103%
8枠【17-12-17-98】
勝率11.8%/連対率20.1%/複勝率31.9%/単回収率140%/複回収率109%
※リニューアル以降
まずは枠番別成績から見ていく。内中外で比較すると下記の通り。
・1〜3枠:複勝率21.4%、複回収率64%
・4〜6枠:複勝率21.8%、複回収率54%
・7〜8枠:複勝率27.1%、複回収率106%
ご覧の通り、好走率だけでなく妙味の面でも外枠が優勢。コース改修以前の2018年から2020年に関しては内外の差はなく中枠がリードしていたが、改修を機に傾向が一変した。
昨年のマイルCSも7枠→8枠→7枠という決着。2年前の勝ち馬ナミュールも8枠16番からの勝利であり、今年も外枠に入った馬には要注目だ。
重賞では末脚自慢を狙え

<京都芝1600m(外)の脚質別成績>
逃げ【11-5-3-50】
勝率15.9%/連対率23.2%/複勝率27.5%/単回収率214%/複回収率107%
先行【25-29-22-178】
勝率9.8%/連対率21.3%/複勝率29.9%/単回収率111%/複回収率93%
差し【24-24-30-236】
勝率7.6%/連対率15.3%/複勝率24.8%/単回収率41%/複回収率64%
追込【9-11-14-216】
勝率3.6%/連対率8.0%/複勝率13.6%/単回収率49%/複回収率57%
マクリ【0-0-0-1】
勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
※リニューアル以降
脚質では、セオリー通り前有利の傾向が強い。向正面で坂を登るため中盤でペースが緩みやすく、直線に坂がないことも相まって逃げ先行勢が最後まで粘りやすいのだろう。
ただし、ペースが厳しくなりやすい重賞では差し追込の後方勢が台頭する。上がり最速を記録した馬は【8-0-2-2】単回収率529%、複回収率463%と素晴らしい成績である一方、逃げ馬は【0-0-0-12】と一頭も馬券に絡んでいない。今回のマイルCSも末脚自慢を狙いたい。
イスラボニータ産駒が驚異的な成績

<京都芝1600m(外)の種牡馬別成績>
イスラボニータ【7-0-1-3】
勝率63.6%/連対率63.6%/複勝率72.7%/単回収率311%/複回収率144%
ルーラーシップ【5-3-4-24】
勝率13.9%/連対率22.2%/複勝率33.3%/単回収率113%/複回収率77%
ハービンジャー【3-1-1-15】
勝率15.0%/連対率20.0%/複勝率25.0%/単回収率413%/複回収率119%
※リニューアル以降
■イスラボニータ
勝率60%超で単回収率も300%超とこのコースで圧倒的な成績を残している。
前目のポジションを取って粘りこむ戦いを得意としており、前走4コーナー2番手以内だった産駒は【5-0-1-0】複勝率100%、複回収率235%という驚異的な成績だ。
<マイルCS出走予定馬>
なし
■ルーラーシップ
こちらも単回収率100%オーバー。狙い目は外枠で、1〜4枠【0-2-0-7】複勝率22.2%に対して5〜8枠【5-1-4-17】複勝率37.0%となっている。
また、春よりも馬場がタフになりやすい冬の方が好成績である点もポイント。4月〜6月【1-0-3-8】勝率8.3%に対し、11月〜2月は【4-3-1-15】勝率17.4%と成績に大きな開きがある。
<マイルCS出走予定馬>
ソウルラッシュ
■ハービンジャー
単回収率は400%オーバーと凄まじい爆発力を持っており、マイルCSも2023年にナミュールが優勝している。
好走している産駒はほとんどが末脚自慢。前走の上がりが6位以下だと【0-0-1-11】複勝率8.3%、複回収率28%と苦戦している一方、前走上がり5位以内なら【3-1-0-4】複勝率50.0%、複回収率255%と好成績だ。
<マイルCS出走予定馬>
チェルヴィニア
その他、マイルCSに出走予定の有力馬では、ジャンタルマンタルが該当する父Palace Maliceが【2-0-0-2】勝率50.0%で単回収率220%と分母は少ないながら好成績だ。
ガイアフォースの父キタサンブラックは【2-1-4-17】勝率8.3%、複勝率29.2%で単回収率89%、複回収率70%となっていて、アスコリピチェーノの父ダイワメジャーは【2-3-0-20】勝率8.0%、複勝率20.0%で単回収率14%、複回収率26%に留まっている。
川田将雅騎手を信頼

<京都芝1600m(外)の騎手別成績>
川田将雅【9-7-2-12】
勝率30.0%/連対率53.3%/複勝率60.0%/単回収率116%/複回収率92%
松山弘平【5-3-6-21】
勝率14.3%/連対率22.9%/複勝率40.0%/単回収率74%/複回収率112%
団野大成【5-3-4-21】
勝率15.2%/連対率24.2%/複勝率36.4%/単回収率261%/複回収率116%
※リニューアル以降
■川田将雅
勝率30.0%、複勝率60.0%と他の騎手を圧倒する好成績で、単勝はベタ買いしてもプラスになる。
先行策を得意としており、前目のポジションを取れる馬との相性は抜群。前走4コーナー2番手以内の馬に騎乗した際は【4-0-1-2】複勝率71.4%、複回収率120%と凄まじい信頼度を誇っている。
<マイルCS出走予定馬>
ジャンタルマンタル
■松山弘平
複勝率40.0%と高水準で、複回収率も112%とプラス域。ヒモには必ず入れておきたい騎手だ。
こちらも先行策を得意としており、前走4コーナー3番手以内の馬に騎乗した際は【4-1-2-8】複勝率46.7%、複回収率136%と素晴らしい成績を残している。
<マイルCS出走予定馬>
ウインマーベル
■団野大成
単回収率261%、複回収率116%と妙味抜群。昨年のマイルCSではソウルラッシュを勝利に導いている。
狙い目は外枠に入ったとき。1〜4枠【2-1-0-9】複勝率25.0%に対し、5〜8枠【3-2-4-12】複勝率42.9%と大きな開きがある。回収率も単勝136%、複勝123%と優秀で、積極的に狙いたい。
<マイルCS出走予定馬>
トウシンマカオ
このほか、昨年覇者ソウルラッシュに騎乗予定のC.デムーロ騎手は【2-2-0-4】複勝率50.0%も複回収率は63%で、アスコリピチェーノに騎乗予定のC.ルメール騎手は【2-1-0-7】複勝率30.0%、複回収率44%となっている。
《ライタープロフィール》
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約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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