【マイルCS】「前走1800mで惜敗した馬」が複回収率142% データで導く穴馬候補3頭
鈴木ユウヤ

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データで見る「穴候補3頭」
今週日曜は京都競馬場でマイルCSが行われる。安田記念を制したジャンタルマンタル、GⅠ・2勝馬のソウルラッシュ、アスコリピチェーノの3頭を筆頭にトップマイラーが集結した。
このレースは過去10年で2番人気以内の勝利がわずか2回、グランアレグリアの連覇だけだ。その反面9番人気以下も【0-0-1-91】とほぼ馬券に絡まず、必然的に中穴の取捨が馬券のカギとなる。その点も踏まえつつ、様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。
前年の4着以内馬がまた走る! ウインマーベル
まずはウインマーベルを取り上げる。昨年はスプリンターズSからの距離延長で出走し、10番人気ながら3着と善戦した。

マイルCSは「リピーターレース」的側面を持ち、前年の上位馬が再度好走するシーンが多い。過去10年で「前年マイルCSの4着以内馬」は【2-7-1-13】複勝率43.5%、同5着以下は【0-0-1-18】同5.3%と明暗が分かれている。
一方で「同年の安田記念」での着順はさほど気にしなくいい。「安田記念の4着以内馬」は【6-3-0-14】だが、阪神代替の年を除くと【3-1-0-11】複勝率26.7%。この数字は安田記念5着以下馬のそれとちょうど同じだ。
安田記念は平均勝ち時計1:31.87、レース上がり3F34.05秒。これに対し、京都のマイルCSは1:32.93、上がり3F34.59秒(※ともに過去10年)となっている。マイルCSの方が時計を要し、瞬発力が問われない傾向にある。一概にマイルGⅠといっても質が少し違うため、安田記念の好走だけで全幅の信頼はできないし、逆に安田記念で負けた馬を見限る必要もない。
上記の話を合体して「前年マイルCS4着以内」かつ「同年安田記念5着以下」だった馬の成績を出すと【0-5-1-4】複勝率60.0%、複回収率191%。京都開催時に限ると【0-4-1-3】同62.5%と高い確率で馬券に絡んでいた。
ピッタリ当てはまるのがウインマーベルだ。昨年3着は前半3F33.8秒のハイペースを先行し、差し馬台頭の決着に抵抗した好内容。今春の安田記念は5着に敗れたが、ジリジリと粘って0.4秒差に踏みとどまった。
前走のスワンS4着も前半3F33.5秒のハイペース先行から、残り50mくらいまで先頭に立って0.1秒差。先行して持ち前のしぶとさを引き出せれば、昨年同様の残り目があっていい。
前走1800m組は「惜敗した馬」が狙い目 エルトンバローズ
2頭目はエルトンバローズを選ぶ。こちらは昨年の2着馬で、前項で述べた「リピーター狙い」にも合致する。前走は毎日王冠で0.5秒差の5着だった。
マイルCSでは毎日王冠、アイルランドT(旧・府中牝馬S)組を中心とする「前走1800m組」の出走も多い。そこに着目してデータを見よう。

過去10年の当レースにおいて、前走1800m戦で勝った馬は【0-1-0-8】複勝率11.1%、複回収率15%と振るわない。ホットゾーンは「0.5秒差以内の負け」【2-2-3-11】複勝率38.9%、複回収率142%。なお負けすぎもダメで「0.6秒差以上の負け」は【0-0-0-10】だった。
1800mできっちり勝ち切った馬より、距離が長かったり、東京の瞬発力勝負に対応できなかったりと、適性が少し合わなかった馬こそ狙い目と言える。
また、その「0.5秒差以内の負け」だった馬のうち、過去にGⅠかGⅡ勝ちの実績があると【2-2-2-5】複勝率54.5%、複回収率179%。さらに信頼度が上がる。
今年これに該当するのはエルトンバローズだけ。骨折明けを2度使われて状態を上げ、良績のある京都に登場する。今回が絶好の走り頃だ。
京都マイル重賞はハービンジャー無双 チェルヴィニア
最後は昨年の二冠牝馬・チェルヴィニアを挙げる。この4歳シーズンはなかなか厳しい結果が続いているが、本来の実力はこんなものではないはずだ。

復活を後押しするのは父ハービンジャーのデータ。京都芝1600m重賞では産駒が顕著に活躍しており、通算成績【3-2-3-8】複勝率50.0%、複回収率149%だ。ペルシアンナイトが当レースで3年連続好走したほか、ナミュールが23年に優勝、昨年は京都で施行された阪神JFをアルマヴェローチェが勝った。このコースとは相性が抜群にいい。
チェルヴィニア自身は今回が京都マイル初出走。母系が早熟型なので既にピークを過ぎてしまった可能性もあるが、2走前のしらさぎSは斤量不利、前走の毎日王冠は休み明けでプラス16キロと、それぞれ見直す材料がないわけではない。一気に人気を落とすなら要警戒だ。
《ライタープロフィール》
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
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