【ジャパンダートクラシック回顧】ナルカミが3馬身差で逃げ切り 戸崎圭太騎手「最後まで押し切れるのではないかと思いました」

三木俊幸

2025年ジャパンダートクラシック勝ち馬ナルカミ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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残り600mからは一騎討ち

3歳ダート三冠の最終戦、ジャパンダートクラシック(JpnⅠ・ダート2000m)は、戸崎圭太騎手騎乗で3番人気だったナルカミが勝利し、GⅠ級競走初制覇を飾った。

昨年11月の京都・ダート1800m新馬戦で後続に2.0秒の大差をつけて衝撃のデビューを飾り、その素質はダート路線の主役へと登りつめることを予感させていた。しかし2戦目で気性面の危うさが出てまさかの7着に敗れ、その後田中博康厩舎へと転厩。

春のダート三冠路線に挑むことはできなかったが、順調に条件戦を2連勝してジャパンダートクラシック参戦のためには勝利という結果が必要というなかで挑んだ前哨戦、不来方賞賞を2馬身半差で快勝した。ポテンシャルは春の二冠馬で未対戦だったナチュラルライズにも引けを取らないところを垣間見せており、逆転の可能性も感じたなかで迎えた一戦だった。

「まだ揉まれる競馬をしたことがなかったので、砂をかぶることなどは極力避けたいと思っていました」と鞍上が振り返ったように、好スタートからスタンド前を通過して1角に入るところではハナを奪い切ったが、アドマイヤデイトナとドンインザムードも先行争いに加わったため、600mまで12.1-11.3-11.9(35.3)と速い入り。

その後は12.7と一旦落ち着いたかに思われたが、800mから1400m地点にかけて12.2-12.2-12.3と再び緩みのないペースを刻む。こうなるとアドマイヤデイトナ、ドンインザムードの追いかけた組は苦しくなり、残り600m標識を通過したところからは三冠を狙うナチュラルライズとの一騎討ちになった。

差は詰まりそうで詰まらない。戸崎騎手の「抜群の手応えで直線を迎えたので、最後まで押し切れるのではないかと思っていました」という言葉どおり、残り200mを切ったところで振り切るとそのまま3馬身差をつける圧巻の走りを披露。東京ダービーでナチュラルライズが記録した2:03.8(不良)を上回る好タイム2:03.7(良)が記録された。

管理する田中博康調教師は「とても心肺機能が高く、距離ももちますし、この精神的な高ぶりを良い方に出せるように厩舎一丸となって取り組んでいるところです。そういったところがこの馬のパフォーマンスに繋がっていますし、なるべくこの馬の気性の危うさをマイナスの方に出さないようにいければ期待ができると思います」と語る。

ポテンシャルはまだまだ底知れず、厩舎力の高さも証明済み。この先どれだけのビッグタイトルを掴むのか非常に楽しみだ。


ナチュラルライズは三冠達成ならず2着

2着に敗れ、惜しくも三冠達成とはならなかったナチュラルライズ。1角では少し頭を上げる素振りも見せたが道中は3番手の外を追走し、勝負所からはナルカミを追ってポジションを押し上げた。後続には9馬身差をつけるなど自身の能力は出し切ったが、さらに前に強すぎる相手がいた……その言葉に尽きるだろう。

直線では相変わらず右にモタれるのを矯正しながら追われていたが、春と比較すると少しずつ改善されている印象も受け、ひと夏越えて成長の証を見せてくれた点は今後に向けてプラス材料だ。


ナチュラルライズ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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3着はルクソールカフェ。こちらも先行集団の一角につけて、3角からポジションを押し上げたが、前2頭には迫ることができなかった。直線では鞍上が追いづらそうにしていたところからも若干距離は長いのかもしれない。

《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

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