【京都大賞典】“複勝率4割超え”前走GⅠ組が中心も波乱あり 古豪ディープモンスターに激走条件そろう

勝木淳

過去10年のデータから見る京都大賞典,ⒸSPAIA

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ベテランも要注意

京都大賞典が同じく中距離戦線のステップレース毎日王冠と同日に行われるのは、昨年と同じ。これまではスポーツの日の連休を利用した3日間開催に振り分けられてきたが(昨年は曜日の巡りで1週目に行われた)、今年から6月の東京阪神を1週間短縮する日程整理が行われたことで今後は10月1週目の重賞になり、スポーツの日の3日間開催から切り離される。

つまり、毎日王冠と京都大賞典は同日に固定される。同じ路線のステップレースが同時に東西で行われるのは珍しい。ここからは、阪神で行われた21、22年を含む過去10年分のデータを使用して今年の京都大賞典を展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA


毎日王冠は1番人気が強力で堅調な傾向にあるのに対し、京都大賞典は1番人気【2-3-2-3】勝率20.0%、複勝率70.0%、2番人気【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%と安定しているものの、絶対的な雰囲気もない。8、9番人気が各1勝をあげており、昨年も11番人気メイショウブレゲが3着に入るなど、波乱もある。

京都大賞典は天皇賞(秋)を目指すというより、ジャパンC向きの少し長い距離に適性があるタイプが多い。目標が先になる点と長距離向きの馬は休み明けから全開といかない傾向があるため、実績上位が力を出し切れず、波乱が巻き起こるというシナリオが考えられる。同日の毎日王冠とはニュアンスが違う重賞だということは押さえておきたい。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢の中心は5歳【4-3-3-28】勝率10.5%、複勝率26.3%。ついで4歳【2-3-2-21】勝率7.1%、複勝率25.0%、6歳【2-2-2-24】勝率6.7%、複勝率20.0%となる。

ただ、7歳以上【2-2-3-29】勝率5.6%、複勝率19.4%にも注意が必要。主力世代の実績上位馬が力を出し切れない間隙を突くようにベテランが奮戦してくる。さすがにもうGⅡは荷が重いかという評価はこのレースに限っては当てはまらない可能性がある。

穴候補はディープモンスター

今年は5歳ドゥレッツァや4歳ショウナンラプンタ、アドマイヤテラ、サンライズアースが人気を形成しそうだが、4頭とも夏休み明け。上記の通り、この馬たちが力を出し切れないことも考えられる。今年の京都大賞典も荒れるパターンになりそうだ。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


実績馬が人気を裏切る傾向があると書いたものの、前走クラス別では前走GⅠが【5-7-6-25】勝率11.6%、複勝率41.9%と好成績。なんやかと春シーズン以来の馬が強い。だが、勝ったのは半数の5頭であり、2、3着の数が多く、勝ちきれないフシもある。それなりに実績馬は来るものの、毎日王冠と比べると、そこまで強力ではない。

繰り返すが、毎日王冠と同じコンセプトでありながら、傾向が違う点には特に注意したい。今週はどっちも堅いからと穴党は勝負を投げないでほしい。

前走GⅠ・レース別成績,ⒸSPAIA


前走国内GⅠ組の内訳をみると、宝塚記念が【4-4-6-14】勝率14.3%、複勝率50.0%と優勢で、天皇賞(春)以来だと【1-2-0-9】勝率8.3%、複勝率25.0%。さすがに5カ月も間隔があくと、即完調とはなりづらい。

4カ月ぶりの宝塚記念組は5着以内【2-1-3-3】、6着以下【2-3-3-11】と上位好走馬を評価しつつ、負けた組からの巻き返しもみられる。4着ショウナンラプンタ以外も9着ドゥレッツァなど大きく着を落とした馬までしっかり目を配りたいところだ。

また、前走天皇賞(春)は5着以内【0-0-0-3】、6~9着【1-2-0-2】、10着以下【0-0-0-4】となっており、力はあるけど、ちょっと3200mは長かったかというタイプに狙いを定めたい。4着だったサンライズアースは長期休養明けの日経新春杯で16着に敗れており、休み明けは走らない可能性も視野に入れたい。

前走GⅡ、GⅢ・着順別成績,ⒸSPAIA


前走GⅡ、GⅢ【3-2-3-54】についても深掘りしていく。こちらは勝った馬【0-1-2-6】複勝率33.3%がやや精彩を欠き、2着【2-0-0-5】勝率、複勝率28.6%、4着【1-0-0-3】勝率、複勝率25.0%と惜敗馬が目立つ。5着以下は【0-1-1-34】なので、2~4着が候補になる。

つまり、目黒記念を勝ったアドマイヤテラではなく、新潟記念3着ディープモンスターあたりがおもしろい。さらに、ディープモンスターは年齢データで記した7歳以上に該当する。サマー2000シリーズなら評価できるが、さすがにGⅡでは…という文脈には気をつけよう。

前走GⅡ、GⅢ・3着は【0-0-0-4】だというツッコミも入れたいところだが、いかにも平坦向きのディープインパクト産駒であり、京都なら引き続き好走しておかしくない。

過去10年のデータから見る京都大賞典,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 純白の奇跡』(ガイドワークス)に寄稿。

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