【函館2歳S】馬券内30頭中22頭のデータと一致&ポテンシャル最上位 京大競馬研の本命はブラックチャリス

京都大学競馬研究会

函館2歳S 4角5番手以内馬の成績(過去10年)

ⒸSPAIA

4角で前目に付けることが好走の鉄則

7月20日(日)に函館2歳S(GⅢ)が行われる。例年通り函館のスプリント戦で新馬や未勝利を勝利した馬が多く出走しており、キャリアの浅い各馬の横の比較が非常に難しい。今年も混戦模様の難解な一戦となった。

以下では、本レースが行われる函館芝1200mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは函館芝1200mのコース形態をみる。向正面2コーナーのポケットからスタートし、初角までの距離は約490m。スタート後は緩やかな上り坂で3、4コーナーはスパイラルカーブ。最終直線は262mで半ばにかけて緩やかな下り坂、その後は平坦となっている。これが今回のコースレイアウトだ。コースを通してかなり起伏がある上に、洋芝を採用しているため全体的に時計がかかるのもコース形態に付随する大きな特徴だ。

まず注目すべきは初角までの距離が約490mと長い点だ。先手争いは長引きやすく、緩やかな上り坂とはいえ、前半のペースは上がりやすい。特にこの函館2歳Sに関しては、先行した馬が有利な函館の短距離新馬、未勝利戦を前目から押し切って勝利した馬が多く直行してくる。そのため、テンの速さがあるメンバーが揃いやすく、先手争いは激しくなる。タフな洋芝も相まって、序盤~中盤の先行負荷はキャリアの浅い若駒にとってかなり大きい。

では超差し有利なレースかと思いきや、スプリント戦で3、4コーナーがスパイラルカーブかつ直線が262mと短いため、完全な差し決着にもなりにくい。地力の高い先行馬であれば十分に残すことができる。スパイラルカーブで外に振られた先行馬のさらに外を回して差してくる馬は距離ロスが大きくなりすぎてしまい馬券内まで届きにくい。最後方から大外を回すような競馬は絶望的だ。差し馬の場合、中団前目につけて4角で先行馬が外に膨れたところをインから捌いて差してくるのが理想的だ。

序盤~中盤の先行負荷が大きい前目脱落戦を残し切れる持続力の高い先行馬と、中団インから馬群を捌いて差して来られる追走力の高い差し馬。つまり、4角で前目に位置を取ることのできる地力の高い馬が恵まれやすい。これがこのコースが持つレースの質だ。

函館2歳Sの4角通過順別成績,ⒸSPAIA


<函館2歳S 4角通過順別成績>
5番手以内
【8-8-6-32】勝率14.8%、連対率29.6%、複勝率40.7%
単勝回収率200%、複勝回収率175%
※過去10年

この傾向は数字にも表れている。函館2歳Sにおける4角5番手以内馬の成績は上記の通り優秀だ。馬券内30頭中22頭、連対内20頭中16頭を該当馬が占めている。まず各馬のテンの速さを比較して前目のポジションが取れる馬を探したい。

ただ、本レースは世代限定戦であり、出走馬間の能力差が大きい。能力が展開や舞台適性を凌駕することは往々にして起きる。近走内容から現時点でのポテンシャルも重視して印を打っていきたい。

ハイペース必至のメンバー構成

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が9頭と出走馬全12頭に対してかなり多い。距離延長も多く、序盤のペースが上がりやすいコース形態と合わせてハイペースは必至だ。

この展開で恵まれるのは、まず中団インから馬群を捌いて差して来られる追走力の高い差し馬、次点で持続力の高い先行馬だ。先行負荷がかなり大きくなるため、各馬の地力がもろに試される。それでも最後方から大外を回して差す競馬は厳しく、4角で前目の位置を取ることが重要なのは変わりない。この展開も踏まえて印を打っていく。

ポテンシャル最上位

◎ブラックチャリス
新馬戦は好スタートから前半3F33.4秒のハイペースを好位で先行。同日同条件の古馬1、2勝クラスを上回る時計、函館芝1200mの2歳レコードで2着に0.5秒差をつけ快勝した。前半3Fで10秒台を2回刻む前傾ラップの中、後半3F全て11秒台とラップも優秀だった。2着馬が次走未勝利戦を快勝しているようにメンバーレベルも十分高かった。今回のメンバーでも最上位のポテンシャルを持つ。前走同様、スタートを決めて好位から運び、スムーズな追い出しで能力を発揮すれば勝ち負け必至とみる。

◯トウカイマシェリ
そのブラックチャリスが勝利した新馬戦の2着馬。メンバー最上位のテンの速さを持ち、スタートを決めればハナまで取り切れる。ハイペースで逃げて展開が向かなかった新馬戦での着差を受け、想定オッズ段階で高いオッズ妙味が見込まれる。

▲タガノアラリア
2走前の新馬戦は前有利な展開で8番手のインから馬群を捌き、上がり2位の脚を使い0.4秒差4着。内から馬群を捌いた経験は大きなプラス材料だ。その新馬戦と、快勝した前走の未勝利戦よりも今回の方が展開は向く。新馬戦で敗れたクラディスティーナには逆転可能とみて3番手評価とする。

△ノアールビーナス
前走の新馬戦2着は勝ち馬が2歳函館芝1200m歴代4位の好時計で走破。上がり、ラップともに優秀だった。連闘が懸念材料だが、それを含めてもオッズ妙味がある。

×カイショー
新馬戦は函館芝1000mの2歳レコード。好位から運べれば。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複5点で勝負する。

▽函館2歳S予想▽
◎ブラックチャリス
◯トウカイマシェリ
▲タガノアラリア
△ノアールビーナス
×カイショー

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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