【小倉記念】「昇級組」が過去10年3勝 好データ合致メリオーレム、シェイクユアハートらに好機
勝木淳

ⒸSPAIA
上位人気か大穴か
20日、第61回小倉記念が小倉競馬場で開催される。今年はサマー2000シリーズも順番やレース間隔が微妙に変わり、未だ慣れないまま。七夕賞が1週繰り下げられ、函館記念とは開催順が入れ替わり、小倉記念も7月3週目に。七夕賞から小倉記念というルートは連闘になった。
真夏に福島→小倉の重賞連闘はあまりに厳しく、これまでのパターンは消えたといっていい。小回りから小回りのローテはそれなりに好相性だっただけに、なくなると小倉記念の予想難易度がグンとあがる。よく夏競馬は難しいといわれ、今年は特にそのフレーズをあちこちで耳にするが、冷静に考えてほしい。競馬はどの季節も難しいではないか。
ここからは2024年中京施行も含めた過去10年分のデータを使用して今年の小倉記念を展望する。

1番人気【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%、2番人気【1-3-2-4】勝率10.0%、複勝率60.0%と個別でみれば、頼りない印象も4番人気以内は6勝とアタマはそれなりに人気サイドで収まってくれる。とはいえ、10番人気以下【2-1-1-39】勝率4.7%、複勝率9.3%と大穴の一発も可能性としては残る。7~9番人気が【0-0-1-29】なので、買いごろの穴馬はイマイチ。穴狙いなら思い切った狙いを立てたい。

4歳が【5-2-2-19】勝率17.9%、複勝率32.1%と主力を担う。対して5歳【2-6-2-30】勝率5.0%、複勝率25.0%、6歳【2-1-5-27】勝率5.7%、複勝率22.9%と年上は2、3着が多い。それぞれ半数以上を送っており、軽くは使えない。年齢層で絞らず、幅広く狙っていきたい。真夏のハンデ戦はあくまでゾーンを広げよう。
晩成の血が開花したシェイクユアハート
昇級初戦メリオーレム、目黒記念4着ディープモンスターに新潟大賞典3着ハピと多彩なメンバーが集う。能力比較が難しいメンバー構成であり、ここも頭を悩ませる一戦となりそうだ。
参考までに、前走重賞組の着度数別トップ3を見ると、七夕賞【3-0-2-26】、鳴尾記念【3-0-2-5】、マーメイドS【1-1-2-4】でとなっており、すべて今年は使えない。正直、前走重賞組をデータで分析するのは不可能に近い。

そこで前走3勝クラス【3-1-2-16】勝率13.6%、複勝率27.3%に焦点を当てる。本音を言えば、ここに好走成績ゾーンがあって助かった。前走3勝クラスの前走距離別成績は2000m【2-0-1-10】勝率15.4%、複勝率23.1%、2000m未満【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%。速い時計が出やすい競馬場であり、距離延長組も前走のスピード経験をいかせる。

距離延長組の前走コース別成績では新潟芝1800m、東京芝1800mから連対馬2頭が出ている。直線が長いコースから小回りコースと一見、昇級での舞台変化は不利にうつるが、実際は逆。東京芝1800mのむらさき賞を勝ったメリオーレムは昨夏、小倉で3勝目を圧勝で飾っている。新潟芝1800mの弥彦Sを勝ったナムラエイハブもデータから侮れない。

前走3勝クラスの同距離組(2000m)は前走位置取り別の成績ですっきり。先行【0-0-1-4】、中団【2-0-0-0】、後方【0-0-0-5】。同距離を先行~中段で控えて差すぐらいの競馬が理想だ。
垂水Sで先行勢の背後から競馬を進めたシェイクユアハートが面白い。3勝クラスで2、3着計11回の堅実派が前走でようやく壁を破った。父ハーツクライ特有の晩成の血が目覚めた可能性はある。崩れないのは競馬が上手である証であり、小回りも苦にしない。混戦向きだろう。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
《関連記事》
・【小倉記念】特別登録馬一覧
・現役最高の小倉巧者は? 芝1200mで「単回125%」のサンダースノーなど騎手、種牡馬ごとに徹底検証
・【競馬講座】夏の小倉芝レース 超おすすめの攻略データ3つを紹介【動画あり】
