【宝塚記念】近10年で7頭激走、“穴馬の3条件”とは? 今年は「2200m巧者」の2頭が浮上
逆瀬川龍之介

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単勝20倍以上で好走した7頭にフォーカス
宝塚記念は“中穴狙い”に最適のGⅠだ。05年以降、直近20回の3連単配当を見ると、1万円未満だったこともなければ、100万円を超えたこともない。実に75%の15回が1万円以上10万円未満のゾーンに収まっているのだ。
となると気になるのは、どういう馬が好配当を演出しているのかということ。そこで直近10回に絞り、単勝オッズ20.0倍以上で馬券圏内に食い込んだ7頭の共通項を調べてみた。
<直近10回の宝塚記念 単勝オッズ20.0倍以上の3着以内馬>
・2015年 デニムアンドルビー(牝5/10番人気2着)
・2015年 ショウナンパンドラ(牝4/11番人気3着)
・2016年 マリアライト(牝5/8番人気1着)
・2018年 ノーブルマーズ(牡5/12番人気3着)
・2020年 モズベッロ(牡4/12番人気3着)
・2021年 ユニコーンライオン(牡5/7番人気2着)
・2023年 スルーセブンシーズ(牝5/10番人気2着)
(1)好走は「4、5歳」のみ
宝塚記念は若い馬が強いレースだ。直近10年の全体での成績を年齢別に見ると以下の通りとなる。
<直近10回の宝塚記念 年齢別成績>
・4歳【3-2-6-27】勝率7.9%、複勝率28.9%
・5歳【7-4-4-42】勝率12.3%、複勝率26.3%
・6歳以上【0-4-0-50】勝率0%、複勝率7.4%
このように差は歴然としている。そして上述した7頭に関しても全馬が4歳か5歳だった。したがって「穴なら4歳か5歳」=「6歳以上の人気薄は消し」と断言したい。
(2)5頭が「継続騎乗」。例外2頭は……
伏兵には人馬の絆も求められる。該当7頭のうち、15年3着ショウナンパンドラと20年3着モズベッロを除く5頭は前走からの継続騎乗だった。とりわけ18年に12番人気で3着だったノーブルマーズは、デビューから29戦連続のタッグとなる高倉稜騎手と人馬一体での大激走だった。
一方、例外であるショウナンパンドラとモズベッロに共通するのは「池添謙一騎手への乗り替わり」だったこと。このレース歴代2位の3勝、そして2桁人気で馬券に絡むこと4回の“グランプリ男”は別格と考えよう。
(3)実績は必要なし
該当7頭のうち、既にGⅠ馬だったのはショウナンパンドラとマリアライトの2頭のみ。21年に7番人気で2着のユニコーンライオン、23年に10番人気で2着のスルーセブンシーズはともにGⅢを1勝したのみ、そしてノーブルマーズに至っては重賞勝ちの実績もなかった。
逆にいえば、以前にGⅠを勝ちながら近走は低迷している“昔の実績で出ています”というタイプは割り引いてOKだ。
浮上したのは2頭
では、今年のメンバーを見てみよう。項目(1)に当てはまる「4、5歳」の10頭のうち、項目(2)の「継続騎乗」が予定されているのはアーバンシック、ジューンテイク、ソールオリエンス、ベラジオオペラ、メイショウタバル、レガレイラの6頭だ。
ただ、アーバンシックとベラジオオペラ、レガレイラは間違いなく上位人気に推されるので除外。また、ソールオリエンスは失礼ながら項目(3)で挙げた「昔の実績で……」という感じがあるので狙いづらい。
というわけで、推し馬はジューンテイクとメイショウタバルの2頭だ。前者は一見すると格下だが、2200mは3戦1勝、2着2回の連対率100%。それも昨年の京都新聞杯が1着、神戸新聞杯が2着だから、この距離では底を見せていない。
一方、後者はその神戸新聞杯の勝ち馬だから、やはり2200mは得意。乗り難しい逃げ馬とあって成績が安定しないが、前走のドバイターフではソウルラッシュとロマンチックウォリアーの2頭から約0秒4差の5着に踏ん張っている。武豊騎手がマイペースの逃げに持ち込めれば、このメンバーでも粘り込むシーンがあるはずだ。
この2頭が馬券に絡めば、人気馬が相手でも3連単は10万円前後の配当になるはず。春のグランプリで少し早めの夏のボーナスゲットといこう!
《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GIのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。
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