【宝塚記念】ハイペース適性高いKingmambo内包馬が活躍 ベラジオオペラがベスト舞台で輝く
坂上明大

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傾向解説
上半期を締めくくるグランプリレース・宝塚記念。今年は3回4日目に開催時期が早まり、最終日に行われることが多かった2023年以前よりも綺麗な馬場状態で行われそうな点が大きなポイントでしょう。本記事では血統面を中心に、宝塚記念で求められる適性を整理していきます。
最初に取り上げたいポイントは中距離でのハイペース戦という特殊性について。JRAで行われる芝2000m以上の古馬混合GⅠ(牝馬限定戦を除く)はほとんどが前後半1000mで後傾1.0秒前後のラップを刻みます。
しかし、宝塚記念(阪神)だけは過去10年の平均が前後半1000m59.8-59.8の±0.0秒。スタート直後の直線が長いことや内回りコースという点が影響して、JRAの芝中長距離GⅠでは非常に特殊なペースで流れるレースとなっています。そして、これは開催時期が早まった今年も変わることはないでしょう。
<前後半1000mの平均ラップ(2015~24年)>
大阪杯:60.0-59.0(後傾1.0秒)
天皇賞春(京都):60.5-59.8(後傾0.7秒)
宝塚記念(阪神):59.8-59.8(±0.0秒)
天皇賞秋:60.0-58.5(後傾1.5秒)
ジャパンC:60.2-59.5(後傾0.7秒)
有馬記念:61.0-60.0(後傾1.0秒)
血統面ではKingmamboなどのハイペース適性の高い血に注目。過去10年でも2015年ラブリーデイ、2016年マリアライト、2018年ミッキーロケット、2022年タイトルホルダーと4頭の優勝馬を輩出しており、この血が強いのは皐月賞や秋華賞といったハイペース戦になりやすい中距離GⅠでは共通する傾向です。
Kingmamboと同じくGraustark=His Majestyを持つブライアンズタイムやグラスワンダー、デインヒルなども総じてハイペース戦に強く、Kingmamboと併せて注目の血統に挙げられます。
<Kingmambo(過去10年の阪神開催9回)>
該当馬【4-4-1-32/41】
勝率9.8%/連対率19.5%/複勝率22.0%/単回収率138%/複回収率70%
反対に、日本の主流系統であるサンデーサイレンス系は苦戦傾向で、JRAで行われる芝2000m以上の古馬混合GⅠ(牝馬限定戦を除く)の中で最も成績が悪いレースとなっています。
日本産馬のほとんどがサンデーサイレンスの血を内包する時代ではありますが、なるべくサンデーサイレンスの影響が薄い馬から狙うのがベターではないでしょうか。
血統解説
・ベラジオオペラ
3代母エアデジャヴーは1998年オークス2着馬。ロードカナロア×ハービンジャーの本馬は若駒の時は緩い馬体が目立っていましたが、古馬になってからネジが締まって本格化。末脚の持続力を活かす競馬がピッタリで、大阪杯や宝塚記念のような阪神内回りの中距離戦がベスト舞台でしょう。
Graustark=His Majestyの7・5×6を持ち、ハイペース適性も水準以上。阪神開催の今年も大注目の一頭です。
・ロードデルレイ
名門Ballade牝系に属し、母デルフィーノは芝1800~2000mで3勝。ロードカナロア産駒の本馬は母似の薄手の馬体で、ロードカナロア×ハーツクライの配合形らしい晩成型の芝中距離馬に出ています。
また、父と母父の組み合わせはフェブラリーS優勝馬コスタノヴァや豪GⅠ馬Tagaloaなどが出るニックス配合でもあり、血統のスケール感もヒケを取りません。今回は距離延長が課題ですが、高速馬場のハイペース戦なら十分に好走のチャンスはありそうです。
・アーバンシック
3代母ウインドインハーヘアに遡る名牝系に属し、母母ランズエッジは名馬ディープインパクトの3/4同血の妹。さらに、母エッジースタイルは2024年有馬記念優勝馬レガレイラの母であるロカの全妹であり、本馬はレガレイラと同じスワーヴリチャードの産駒でもあります。
母がHis Majesty=Graustarkの5×6、本馬がLyphardの5×6・5を持ち、引き締まった流れで息の長い末脚を活かす競馬が理想。大トビのフットワークでもあり、コーナー角が緩い阪神内回りに変わる点はプラス材料です。
《ライタープロフィール》
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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