【新潟大賞典】2番人気以内の勝利がない難解な一戦 “GⅡ敗戦”からの巻き返し警戒、注目はボーンディスウェイ

勝木淳

過去10年のデータから見る新潟大賞典,ⒸSPAIA

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小さな日程変更でも起こる変化

春の新潟唯一の重賞もまた地味に日程が動いた。昨年まではNHKマイルC当日の裏開催で行われ、今年からヴィクトリアマイル前日の土曜重賞に変わった。エプソムCが移動した煽りを受ける形だ。

GⅠ当日の第3場から土曜重賞になったのは大した変化ではないようだが、そうでもない。これは馬券を買う側にとって大きい。GⅠ当日の時間が限られたなかでする予想から、じっくり金曜夜に考える時間がとれるので、精度の高い予想に変わる、と思う。

GⅠの狭間に位置するローカルハンデ戦というややこしい重賞だけに、考える時間がほしい。データをみればわかるが、昨年までの日程と出走馬の傾向はそう変わらないものの、人気の傾向には変化がありそうだ。データは過去10年分を使用する。


人気別成績,ⒸSPAIA


最大の特徴は人気だ。1番人気【0-2-2-6】、2番人気も【0-1-1-8】と主役級がなかなか勝てない。

1番人気が勝てない重賞はたまにあるが、その分2番人気が結果を残している場合が多い。だが、新潟大賞典の2番人気はさらに成績が悪く、人気は信頼できない。NHKマイルC当日で検討時間が少ない影響をここに感じる。土曜重賞に変わり、我々購入者側は正確なジャッジができるのか、試される。

もうひとつ。3番人気【2-3-0-5】(勝率20.0%、複勝率50.0%)、5番人気【3-0-1-6】(勝率30.0%、複勝率40.0%)、7番人気【3-1-1-5】(勝率30.0%、複勝率50.0%)と1、9番人気以外の奇数が強い。理由はない。単に奇数が強い。

ちなみに昨年もこのデータを取り上げたが、勝ったのは7番人気ヤマニンサルバム。2着も3番人気キングズパレスで決着し、この法則は守られた。


年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別もクセが強い。4歳【1-4-2-25】(勝率3.1%、複勝率21.9%)、5歳【3-2-2-27】(勝率8.8%、複勝率20.6%)、6歳【1-2-6-30】(勝率2.6%、複勝率23.1%)ときて、7歳以上が【5-2-0-45】(勝率9.6%、複勝率13.5%)とベテランが勝ち馬の半数を占める。6歳も3着6頭など、軽視されがちな高齢馬に注意しよう。

春の新潟は芝の立ち上がり時期と重なり、夏ほど上がりが速くなく、そこまで軽さやスピードも求められない。ベテランの好成績はそんな馬場事情も関わってくる。

7歳以上の登録馬はフライライクバードだけ。6歳はエピファニー、ショウナンアデイブ、ボーンディスウェイなど多数出走予定。年齢を理由に見限らないように注意しよう。

GⅡ大敗か福島民報杯

前走クラス別成績,ⒸSPAIA
前走重賞・着順別成績,ⒸSPAIA


前走GⅠ【2-1-0-5】(勝率25.0%、複勝率37.5%)、GⅡ【2-4-5-30】(勝率4.9%、複勝率26.8%)など、重賞組も馬券のカギを握る。ざっくり前走重賞の着順傾向をみると1、2着はさすがにハンデを背負わされるため、出走頭数も少なく、さらに結果も残していない。

3着【1-1-2-2】(勝率16.7%、複勝率66.7%)もいいが、狙い目は6~9着【2-1-0-30】(勝率6.1%、複勝率9.1%)や10着以下【2-3-2-29】(勝率5.6%、複勝率19.4%)の方。大敗からの巻き返しがカギとなる。

前走6着以下からの好走馬は前走GⅢ【0-1-0-29】(複勝率3.3%)に対し、GⅡ【2-2-2-25】(勝率6.5%、複勝率19.4%)と格上で戦ってきた馬に注目。今年の登録馬ではボーンディスウェイやホウオウノーサイド、パラレルヴィジョンなどが該当する。

前走OP・L【3-0-2-43】(勝率6.3%、複勝率10.4%)のうち、好走馬を送るのは福島民報杯【2-0-2-23】と大阪城S【1-0-0-5】のみ。福島民報杯は3着以内【2-0-1-6】、4着以下【0-0-1-17】で好走が条件。シリウスコルト、ケイアイセナが候補に残る。

なお、前走3勝クラス【2-4-2-9】(勝率11.8%、複勝率47.1%)も注目だが、今年は出走馬の賞金ハードルが高く、3勝クラス直後の昇級馬(収得賞金2400万円)は出走できるか微妙な状況。買うなら前走3番人気以内【2-4-2-5】で、人気を背負って条件クラス卒業が条件となる。見かけたら押さえよう。


過去10年のデータから見る新潟大賞典,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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