【NHKマイルC】「桜花賞か皐月賞の5着以内馬」は複勝率77.8%! データで導く穴馬候補3頭
鈴木ユウヤ

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データで見る「穴候補3頭」
今週日曜の東京メインはNHKマイルC。3歳のマイル王者を決する一戦だ。広い東京コースを舞台とする割に紛れが多く、過去10年の3連単平均配当は28万円を超える。例年、早期からここを目指してきた勢力に中距離路線や桜花賞からの転戦組が混ざり、意外と力関係が読みにくい。
果たして今年も波乱はあるのか。あるとすれば、その立役者はどの馬か。様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。
「クラシックで掲示板圏内」の馬はマーク必須 マピュース
まず1頭目はマピュース。クイーンCで桜花賞馬エンブロイダリーの2着と好走し、桜花賞でも4着と善戦した。牝馬二冠目のオークスではなく、こちらに照準を定めてきた。
先に述べた通り、当初からマイル専念の勢力に牡牝クラシックからの転戦組が合流するのがこのレース。そして、基本的に桜花賞や皐月賞の方がここよりレースレベルは高い。そのためクラシックで善戦してきた実績があれば、おおむねNHKマイルCでは通用する。
データで言うと、過去10年の当レースにおいて「前走が桜花賞か皐月賞で5着以内だった馬」は【5-2-0-2】複勝率77.8%、複回収率134%。高確率で馬券に絡んでいる。該当馬はまずマーク必須だ。
マピュースの前走桜花賞は2枠3番から直線も最内を突いての0.9秒差4着。着差は少し離れたが、雨で外伸びと化した馬場を考えれば大健闘といっていい内容だった。東京コースでは赤松賞を勝った時の後半ラップが優秀だったし、クイーンCの走破時計1:32.6も文句なしに秀逸。GⅠでもチャンスは大いにある。
ニュージーランドT惜敗の「中山未勝利馬」を狙え コートアリシアン
続いてコートアリシアンを取り上げる。東京マイルの新馬戦で5馬身差の圧勝を収め、暮れの阪神JFでは3番人気にも推された(結果は6着)。賞金不足で桜花賞には出られなかったが、ニュージーランドT3着からここに駒を進める。
NHKマイルCにおける前走ニュージーランドT(以下、NZT)組の成績は特徴的。過去10年で1着馬が【0-0-0-9】とまさかの全滅で、かといって0.4秒差以上負けていた馬も【0-0-0-17】。好走6例は全て「着差0.3秒以内の負け」【2-2-2-12】複勝率33.3%、複回収率138%から出現している。
さらにこの「NZTで0.3秒差以内負け」のグループをよく見ると、NHKマイルC時点で「中山で勝ったことがある馬」は【0-0-0-6】と不振。逆に「中山で勝ったことがない馬」は【2-2-2-6】複勝率50.0%、複回収率207%と信頼度が高い。
つまり「中山巧者ではないのにNZTでそこそこ頑張れた馬」を本番買うべきで、中山適性の高さで好走した馬を後追いしてはいけない、ということだ。
コートアリシアンは前走NZTが0.2秒差の3着で、過去に中山での勝利歴もなし。条件に合致する。前走は馬場の荒れた内側を通る不利もあった。
話はさかのぼって昨年6月の新馬戦。この時にレース後半1000m57.7秒というラップを残して勝利した。「2歳7月以前」「1600m以上」「後半1000m57.9秒以下」を満たしたレースは過去に8例しかなく、その勝ち馬はワグネリアン、グランアレグリア、セリフォス、ジオグリフ、リバティアイランド、ボンドガール、クロワデュノール、そしてコートアリシアンという面々だ。
数字は既にGⅠ級のものを出している。あとはそのポテンシャルを発揮するだけだ。
東京芝マイルGⅠに強い戸崎圭太 モンドデラモーレ
ラストはファルコンSの2着馬モンドデラモーレを選んだ。前走騎乗した杉原誠人騎手に替わり、今回の鞍上は戸崎圭太騎手が予定されている。
何を隠そう、この戸崎騎手が東京芝1600mのGⅠでは頼もしい。通算で【5-2-3-25】複勝率28.6%、単回収率217%、複回収率110%と黒字計上だ。
中央GⅠ初勝利が安田記念(2011年リアルインパクト)だったほか、2015、16年にはストレイトガールでヴィクトリアマイルを連覇、ソングラインで2023年のヴィクトリアマイルと安田記念を連勝した。昨年の当レースでもロジリオンに騎乗して10番人気3着だった。
他騎手からの乗り替わりとなるケースは【3-1-3-10】複勝率41.2%、複回収率172%。また、馬番1~6番【2-2-3-9】複勝率43.8%、複回収率156%で、もし内枠を引ければさらに評価アップだ。
モンドデラモーレ自身、唯一連を外した札幌2歳Sは道悪の1800m戦。良馬場、あるいは1600m以下ではまだ崩れていない。2走前のジュニアC2着は相手がのちに毎日杯を勝つファンダム。前走ファルコンSは中京の18番枠という厳しい条件で結果を出してきた。目立たないが地力は確か。そこに鞍上のエスコートが加われば、好勝負になって不思議はない。
《ライタープロフィール》
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
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