【京王杯SC】中心は「高松宮記念組」、ママコチャとトウシンマカオはここも有力 マイル組は“東京巧者”2頭に注目
勝木淳

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高松宮記念とのつながり
京王杯スプリングカップは今年から2週間も施行時期が前倒しされた。かつてはヴィクトリアマイルの前日だったが、今年は天皇賞(春)の前日に。安田記念までは中2週から中4週に広がった。
さすがに中2週のGⅠ挑戦は現在の厩舎運営に合わず、このレースからの安田記念参戦は20年3頭、21年1頭で22年ゼロ。その後、23年と24年は2頭で、もはや前哨戦とは呼べないほどだ。
それが中4週になり、短期放牧を挟んだ出走が可能となる。中3週時代の1998年には海外挑戦の壮行レースとして名マイラーのタイキシャトルが登場したほか、1999年はエアジハードとグラスワンダーの激突など、京王杯SC経由の物語が多かった。こうした流れが今年、復活するのか。データは過去10年分を使用する。
1番人気は【4-0-0-6】勝率・複勝率40.0%と落差が激しい。このうち前走高松宮記念に出走し、5着以下だと【3-0-0-2】。スプリントGⅠから1400mに距離延長したことでパフォーマンスが上向くと期待された馬は狙える。
安定しているのは2番人気【3-3-3-1】で、勝率30.0%に複勝率は90.0%を誇る。こちらも前走高松宮記念出走馬だと【2-0-1-0】。総じて高松宮記念とのつながりが強い。
以下、3~5番人気が各1勝ずつ。複穴候補も8番人気までと、東京の重賞らしく人気順に好走確率が落ちていく。10番人気以下も【0-2-0-63】複勝率3.1%となくはないが、薦められるほど結果を残していない。
年齢は4歳【4-1-5-28】勝率10.5%、複勝率26.3%と5歳【4-4-4-45】勝率7.0%、複勝率21.1%が拮抗中。まずはこの2世代から検討しよう。
6歳【1-3-1-31】勝率2.8%、複勝率13.9%や7歳以上【1-2-0-21】勝率4.2%、複勝率12.5%も、前走高松宮記念9着以内だと【2-1-1-6】。やはり高松宮記念がポイントになる。
高松宮記念組の取捨
今年も前走高松宮記念は3着ママコチャ、4着トウシンマカオなど強力。高松宮記念組とマイル路線組の対決というのが基本的な構図となる。
これだけ強調してきた前走高松宮記念は【6-3-3-18】勝率20.0%、複勝率40.0%となっており、前走GⅠ組の馬券内はすべてここから。だが、着順でみると傾向がはっきりしない。
3~5着【2-1-0-2】、6~9着【1-1-2-7】、10着以下【3-1-1-9】と好走はもちろん、凡走も巻き返す。特に1400mのスペシャリストゆえに、合わないスプリントGⅠに挑戦して大敗を喫した馬には注意しよう。
もう少し前走高松宮記念を絞るなら、前走人気が指標になる。3番人気以内【3-0-0-2】など、GⅠ上位人気の実績組はここでも買い。
9番人気以内なら【5-2-1-8】。とはいえ10番人気以下【1-1-2-10】も確率こそ下がるが、ノーマークにもできない。5番人気トウシンマカオ、6番人気ママコチャ、9番人気カンチェンジュンガは圏内だろう。
高松宮記念2ケタ人気かつ2ケタ着順は【0-0-1-7】。トゥラヴェスーラ、バルサムノートら該当馬は高松宮記念組といえど、手を出しづらい。
今年の高松宮記念は前後半600m33.8-34.1のイーブンペースで進み、ラスト400m11.3-11.2と決め手を問われた。中団から差して届かずの3着ママコチャ、4着トウシンマカオは上々の決め脚をみせた。距離延長に対応できれば、明らかに上位の存在だ。
巻き返し必至の東京巧者とは
マイル路線組の中心となる前走GⅢ【3-5-3-48】勝率5.1%、複勝率18.6%について。内訳をみると、ダービー卿CTが【2-2-2-25】勝率6.5%、複勝率19.4%と好走・凡走とも多い。
中山から東京替わりのこのローテは3着以内【1-1-2-3】と好走馬中心。6着以下【1-1-0-15】で9着ロジリオンは微妙だが、2走前こそ京都でマイルの洛陽S(L)を勝利したものの、NHKマイルC3着や富士S3着など根本的には左回り巧者。東京芝1400mも【2-1-0-1】で、京王杯2歳S2着の実績もある。東京替わりは歓迎だ。
最後に、東京芝1400m巧者といえばシャドウフューリー。この舞台は【3-3-1-2】と昇級しても大きな崩れはない。先行差し自在の立ち回りもコース巧者ゆえ。前走左回りの京都金杯で6着も着差は0.4秒。巻き返す可能性は高い。
《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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