【東京スプリント回顧】エートラックスが2番手から抜け出す モレイラ騎手「体だけではなく、精神面の成長を感じた」
三木俊幸

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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1年ぶりの重賞勝利
16日、大井競馬場で行われた東京スプリント(JpnⅢ・ダート1200m)は、J.モレイラ騎手騎乗で4番人気だったエートラックスが勝利した。
好スタートを切ったのはデュアリストだったが、400mを通過するところで地元南関東屈指の快速馬エンテレケイアがハナを奪い切る。ゲートの出は決して良いとは言えなかったが、エートラックスは二の脚を利かせて2番手を確保。前半600mを34.3(12.3-10.6-11.4)で通過するペースだった。
直線に向いて残り150mとなったところでエンテレケイアを捉えて先頭に立つと、勝ちタイムは1:11.3(稍重)で後続の追い上げを完封した。昨年4月の兵庫チャンピオンシップ以来となる重賞2勝目で、いずれのレースも鞍上はモレイラ騎手。1年ぶりの騎乗だったが「体だけではなく、精神面の成長を感じた」と振り返った。
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昨春の勝利以降は北海道スプリントCで2着、東京盃では先行できずに12着に終わったが、いずれも敗れた相手はその後JBCスプリントで2着に好走するチカッパ。2走前の兵庫ゴールドトロフィー3着時の勝利馬は地方所属ながら勢いのあるフォーヴィスム、前走のかきつばた記念で敗れたのも根岸Sでコスタノヴァの2着だったロードフォンスと、結果は伴わなかったがそれなりに強い馬と戦ってきた。
管理する宮本博調教師も「スタートはそれほど早くはなかったが、モレイラ騎手がしかけて、好位を取ってくれたのが大きいですね」と振り返ったように、エートラックスのことを理解し、あと一歩足りなかった部分を補うに余りある最高の鞍上を確保できたことも大きかった。
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1番人気ガビーズシスターは5着
クビ差まで迫ったサンライズホークは、これで3戦連続2着とまたしても悔しい結果に終わった。これまで揉まれることを嫌う競馬が多かったが、今回は3番ゲートからスタートして中団のインを追走。直線だけ外に持ち出すという形で結果を残せたのは今後に向けても収穫があったと言える。またラスト11.7-12.8と減速するラップながら、先行馬有利だった馬場状態でも2着に割って入ったところはさすが重賞3勝馬だ。
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3着エンテレケイアは前走からマイナス19kgと絞っての出走。馬場が味方したところはあったが、ハナを奪うまで脚を使ったにも関わらずイグザルトなど4着以下の差し勢に先着を許さなかった内容は評価できる。
2走前のカペラSを制し、前走はサウジアラビアに遠征してリヤドダートスプリント3着という実績が評価され、1番人気の支持を集めたガビーズシスターは、中団の外を追走するも5着。勝ち馬とは0.2秒差と僅差ながら直線では伸びきれなかった。馬体重は2走前と比較してプラス2kgと数字面で大きな変化はなかったものの、パドックではイレ込みが目立っており、遠征明けの影響もあったのかもしれない。
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《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
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