金鯱賞出走のプログノーシスら擁する「社台レースホース」を特集 横山武史騎手×新馬戦は単回収率425%
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金鯱賞には豪華メンバーが集結!
今週末は大阪杯に繋がる一戦、金鯱賞(GⅡ・芝2000m)が中京競馬場で開催される。昨年の中日新聞杯を快勝し、初重賞制覇を果たしたデシエルトや同コースのローズSを快勝しているクイーンズウォーク、前走のチャレンジCで2年ぶりの復活勝利を挙げたラヴェルなど、今後の飛躍が期待できる楽しみなメンバーがそろった。
そのなかでも注目を集めそうなのが、同レース3連覇に挑むプログノーシスだ。一昨年は開幕週のイン有利な馬場で大外一気を決め、昨年は後にジャパンCで2着に入るドゥレッツァに5馬身差をつける圧勝だった。今年は西村淳也騎手と新コンビを組み、どんな競馬を見せてくれるのだろうか。
そこで今回は、金鯱賞に出走するプログノーシスやキングズパレスの馬主である「社台レースホース」について特集したい。これまでの歩みをデータとともに振り返りながら、馬券にも役立つ、所有馬の「プラス条件」を紹介していく。
伝統と実績を兼ね備える社台レースホース
<社台レースホース 各種記録>
通算GⅠ勝利数 48勝(中央36勝、地方10勝、海外2勝)
JRA最多勝騎手 武豊(170勝)
JRA最多勝調教師 矢野進(121勝)
最多勝調教馬 タイムパラドックス(16勝)※地方含む
最多賞金獲得馬 タイムパラドックス(9億7786万円)※地方含む
※集計データは1986年以降。GⅠはJpnⅠを含む
この章では、社台レースホースの各種成績を活躍馬とともに振り返っていく。
社台レースホースはグレード制が導入される以前の1980年に設立された。最初期の活躍馬として有名なのがダイナカール。エアグルーヴやアドマイヤグルーヴ、ドゥラメンテらを輩出する牝系を確立した超名牝である。そのダイナカールは、1着から5着までタイム差なしという大接戦で、1983年のオークスを勝利。これがクラブ初のクラシック競走勝利、八大競走勝利となった。
グレード制導入後は、1984年の朝日杯3歳Sでスクラムダイナが所有馬で初のGⅠ制覇。同馬はその後、皐月賞で2着、日本ダービーで3着と、クラシックで安定感ある活躍を見せた。
社台レースホースは1986年以降、JpnⅠ含むGⅠ・48勝(中央36勝、地方10勝、海外2勝)を挙げている。このうち、中央の23勝が3歳馬によるものだ(年齢は現在の表記)。
90年代には、バブルガムフェローが戦後初の3歳馬による天皇賞(秋)制覇(戦前では1937年にハッピーマイトが勝利)。ダンスインザダークは菊花賞を勝利し、ダービー2着の雪辱を果たした。近年でも、二冠牝馬のスターズオンアースや皐月賞で4角17番手から大外一気を決めたソールオリエンス、NHKマイルCを2馬身半差で快勝したジャンタルマンタルがおり、世代限定GⅠでの活躍が目立っている。
騎手別成績では武豊騎手がJRA170勝で最多勝を記録。前述したダンスインザダークの菊花賞のほか、ラストランの香港ヴァーズをアタマ差で制し、キャリア50戦の末にGⅠ制覇を決めたステイゴールドとのコンビが印象的だ。
調教師では矢野進調教師が121勝でトップ。天皇賞(秋)で無敗の三冠馬シンボリルドルフを撃破し、単勝88.2倍(13番人気)という大番狂わせを起こしたギャロップダイナや、94年日経賞を制し、菊花賞や天皇賞(春)2着の実績もあるステージチャンプ、種牡馬としても活躍したスクリーンヒーローの母母ダイナアクトレスなどの管理馬が有名だ。
また最多勝利調教馬、最多賞金獲得馬の両方に該当するのがタイムパラドックス。キャリア50戦でGⅠ、JpnⅠ・5勝を含む16勝を挙げ、獲得総賞金は9億7786万円にも上る。8歳の秋にはJBCクラシック連覇を達成したが、その後骨折が判明し、これが結果的に引退レースとなってしまった。種牡馬としても活躍し、さきたま杯(JpnⅡ)を含む重賞10勝を挙げた地方の雄ソルテを出した。
友道厩舎の管理馬は複勝率約5割
<社台レースホースの「プラス条件」>
横山武史騎手【37-23-20-124】
勝率18.1%/連対率29.4%/複勝率39.2%/単回収率112%/複回収率86%
友道康夫厩舎【16-11-11-42】
勝率20.0%/連対率33.8%/複勝率47.5%/単回収率74%/複回収率105%
新馬戦【56-42-35-207】
勝率16.5%/連対率28.8%/複勝率39.1%/単回収率135%/複回収率104%
キズナ産駒【28-13-12-120】
勝率16.2%/連対率23.7%/複勝率30.6%/単回収率168%/複回収率81%
※集計期間:2020年3月14日~2025年3月9日
ここまでは社台レースホースの各種成績を振り返ってきたが、この章では、馬券にも役立つ、同馬主の「プラス条件」を紹介していく。なお、データは2020年3月14日~2025年3月9日の過去5年分を参照する。
騎手では、横山武史騎手が狙い目。全体成績での単回収率は112%とプラス域だ。新馬戦に限定すると【6-6-4-6】で勝率27.3%、単回収率425%とさらに妙味がアップ。複回収率も205%と高水準で、該当馬がいればベタ買いでOKだ。
調教師では、友道康夫調教師が16勝でトップ。複勝率47.5%と安定感抜群で、複回収率も100%超えだ。年齢が上がるほど妙味が大きくなる傾向があり、5歳以上では【3-5-7-18】複回収率131%にまで上昇する。友道厩舎×社台レースホースにおいて、5歳以上はむしろ買い要素と覚えておきたい。
また新馬戦に滅法強く、回収率は単複ともに100%オーバー。特に、芝の新馬戦では勝率18.5%、単回収率160%となっており、アタマで積極的に狙いたい。一方、ダートは勝率9.3%、単回収率43%と1着では狙いにくいが、複勝率は36.0%で複回収率も139%と良好。2着、3着付けで狙うのが面白い。
ほか種牡馬では、キズナ産駒に要注目。単回収率は168%と大きくプラスで、重賞でも21年マーメイドSのシャムロックヒル(10番人気1着)や23年福島牝馬Sのステラリア(8番人気1着)が穴を開けている。意外にも、芝よりもダートの方が勝率、複勝率ともに高く、【10-5-3-32】で勝率20.0%、単回収率208%を記録。該当馬は要チェックだ。
最後に週末の金鯱賞について、社台レースホースの所有馬を見ていこう。プログノーシスに騎乗する西村淳也騎手は【12-12-11-108】で勝率8.4%、単回収率265%と妙味十分。2021年の当レースでは、10番人気のギベオンで単勝22,730円の大波乱を演出している。一方、キングズパレスに騎乗する佐々木大輔騎手は【4-8-8-57】で勝率5.2%、単回収率65%と勝率、妙味ともにやや劣る結果となっている。
《ライタープロフィール》
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約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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