【中日新聞杯】前走OP組は5番人気以内が評価の分かれ目に 人気薄ならエリカヴァレリアが面白い
勝木淳
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ますますややこしい中京ハンデ戦をひもとく
2020年以降、中京でハンデ戦は馬場、クラスを問わず108レース実施された。このうち芝は70レースを数え、1番人気はたった18勝。勝率は25.7%にとどまる。
斤量別のトップは55kgの18勝、勝率だと57kgの11.5%が目立つ。馬体重は500kg以上が12勝で勝率は5.5%と低く、最多は460~478kgの20勝、勝率は7.7%。勝率トップは440~458kgの9.9%。中京のイメージと合わない。そんな感想を持つ私は、そもそも中京が苦手だ。
440~458kgで斤量57kgを背負うと、【2-1-1-2】勝率33.3%、複勝率66.7%と高い。馬格がないのに斤量を背負うとハンデ戦では嫌われがちだが、中京芝のハンデ戦ではここが急所となる。
中京はミスマッチが合言葉。一見、嫌われがちな要素がプラスに働くから面白い。440~458kgで斤量56~57kgに範囲を広げても、【5-2-1-14】勝率22.7%、複勝率36.4%。中日新聞杯は440~478kgで斤量54、55kg【2-2-1-8】勝率15.4%、複勝率38.5%が好走ゾーン。中京芝ハンデ戦のなかでも、斤量は軽めがいい。
ますますややこしい。ひねりすぎるのもよくない。データは3月から12月に移った2017年以降、過去7年分を使用する。
1番人気は【1-1-1-4】勝率14.3%、複勝率42.9%。7頭のうち馬券圏内は3頭で安定していない。一方で2番人気が【3-0-1-3】勝率42.9%、複勝率57.1%だから難しい。1、2番人気は順番にすぎず、実際の力差はほぼないケースが多い。と言いつつ、3番人気は【0-1-0-6】複勝率14.3%と急落するからややこしい。
8番人気【2-0-0-5】勝率、複勝率28.6%、10番人気以下【0-3-2-51】複勝率8.9%など穴も出現する。ようは頼るなら2番人気だけ。残りはアテにならない。
3歳【2-2-0-7】勝率18.2%、複勝率36.4%はこの時期らしく、古馬と力差がないことを示す。ハンデも少し恵まれるので好走をあと押しする。
古馬勢では4歳【4-2-5-26】勝率10.8%、複勝率29.7%がよく、若い世代が中心を担う。とはいえ、昨年2着ハヤヤッコなど7歳以上【0-2-0-11】複勝率15.4%も元気。3連系を買うなら、世代問わず万遍なく入れたいところだ。
人気薄ならエリカヴァレリアが面白い
同時期に別定の芝2000m重賞チャレンジCがあるため、出走馬は流動的になる。別定とハンデ戦で別定を選ぶのは実績馬が多く、ハンデ戦に回るのは格下馬やベテラン勢ばかり。こういった事情もまた、中日新聞杯を難解なレースに変えている。
来年はチャレンジCが9月に移り、鳴尾記念が12月開催となる。鳴尾記念の舞台は芝1800mの別定戦。この200mの違いが陣営の選択に与える影響は大きそうで、日程が動かない中日新聞杯の顔ぶれも変わるだろう。
前走3勝クラスは【0-0-0-6】。ハンデ戦とはいえ、昇級初戦や格上挑戦は通用しない。まずは前走GⅡ【2-2-1-17】勝率9.1%、複勝率22.7%など重賞組をおさえないといけない。
全体の年齢別成績ではなく、今度は前走が重賞だった馬の年齢別傾向を出す。前走重賞というフィルターをかけると、より一層若い馬が目立つ。
3歳【2-0-0-5】勝率、複勝率28.6%、4歳【2-2-2-12】勝率11.1%、複勝率33.3%で、5歳以上は【0-1-2-40】。重賞を経由した若い馬は中日新聞杯では拾っておきたい。
富士S8着クルゼイロドスルは2000m初出走。2走前に1800mの関越Sで結果を残しており、マイルより距離が延びるのは悪くはないが、コーナー2回の直線が長いコースからコーナー4回になってどうか。ちょっとイメージしにくいか。
ならば、前走福島記念7着ドクタードリトルではないか。中京芝2000mは3走前に関ケ原S1着がある。福島記念は小回りと急流に苦戦し、1番人気を裏切ったが、この経験が中日新聞杯につながる可能性はある。
前走OP・Lも【3-4-3-34】勝率6.8%、複勝率22.7%と悪くない。人気薄はここからも出現する。前走OP・Lはその前走の人気がカギ。1番人気は【1-1-0-7】勝率11.1%、複勝率22.2%と必ずしもいいわけではないが、全体でみると、5番人気以内【3-3-2-18】、6番人気以下【0-1-1-16】と5番人気以内が評価の分かれ目となる。
前走OP・L5番人気以内は18年から6年連続で馬券に絡んでいる。該当するのはグランスラムアスク(※除外対象)やエリカヴァレリア。エリカヴァレリアは前走4番人気5着と人気以下の着順だった。ただし、同5着以内は【2-1-2-10】複勝率33.3%。人気薄なら面白い存在だ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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