【天皇賞(秋)】日本中距離界で実力はトップ 東大HCの本命は崩れる要素がないリバティアイランド

東大ホースメンクラブ

天皇賞(秋)の脚質別成績(過去10年)

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中距離の最強馬決定戦

今週日曜日、東京競馬場でGⅠ・天皇賞(秋)が行われる。皐月賞馬ジャスティンミラノの回避は残念だが、昨年の有馬記念勝ち馬ドウデュースや、三冠牝馬リバティアイランド、大阪杯勝ち馬ベラジオオペラ、オールカマーを制してGⅠに挑戦するレーベンスティールなど、重賞戦線の活躍馬が勢ぞろいとなった。

昨年はイクイノックスがレコードタイムを12年ぶりに更新して堂々連覇した。果たして今年はどのようなレースとなるだろうか。過去10年のデータから検討する。

先行策も取れるリバティアイランドは盤石

天皇賞(秋)の脚質別成績,ⒸSPAIA


<天皇賞(秋) 脚質別成績>
逃げ【0-1-2-7】勝率0.0%/連対率10.0%/複勝率30.0%
先行【5-3-2-29】勝率12.8%/連対率20.5%/複勝率25.6%
差し【5-4-2-48】勝率8.5%/連対率15.3%/複勝率18.6%
追込【0-2-4-36】勝率0.0%/連対率4.8%/複勝率14.3%
※マクり【0-0-0-1】

近2年はそれぞれパンサラッサ、ジャックドールが前半1000m57秒台というペースで逃げを打ったレース。今年はホウオウビスケッツがハナを取りそうだ。ただ同馬はハイペースで逃げるタイプではない。前走の毎日王冠は前半1000m59秒4-後半4F45秒7で2着、上がり3F33秒8の脚を残していた。今回はスローペースになる可能性を踏まえ、過去10年の脚質別成績と、1000m通過が60秒以上だった6年(以下「スローペース時」と表記)で比較しながら見ていく。

逃げ馬は【0-1-2-7】、スローペース時は【0-0-0-6】。18年キセキは前半1000m59秒4で残り800mから11秒3-10秒9を刻む逃げで3着、19年アエロリットは59秒0、22年パンサラッサは57秒4の大逃げだった。むしろスローペース時の方が逃げ馬は残れていない。

先行馬は5勝を挙げ、勝率~複勝率いずれもトップ。スローペース時に限ると【4-2-2-17】複勝率32.0%とさらにアップする。ただし内訳を見ると1番人気【5-0-1-0】、2~3番人気は【0-3-1-4】だが、4番人気以下は【0-0-0-25】でなんと全滅だ。

近走先行策に出ているリバティアイランドは盤石、ベラジオオペラ、レーベンスティールがギリギリのラインで、4番人気以下が想定されるステラヴェローチェ、タスティエーラ、ノースブリッジ、シルトホルンあたりを強気に推すことは出来ない。

差し追い込みは好走率が若干下がるものの、スローペース時でも差し【2-3-2-34】、追込【0-1-2-21】と馬券に絡んだ馬が一定数いる。20年は前半1000m60秒5のスローペースでも最後方付近にいたフィエールマン、クロノジェネシスが2、3着に突っ込んできた。こちらは人気薄でも侮れず、5番人気以下から計4連対、2桁人気からの激走も2度ある。

最後にまとめて前走脚質を見ると「前走差しで3着以内」の馬が【7-4-2-13】複勝率50.0%、「追込で2着以内」が【2-0-1-3】同50.0%。後方から上位にきた馬が狙い目となる。ソールオリエンスやダノンベルーガらが該当する。

実力は中距離戦線でトップ

◎リバティアイランド
昨年は牝馬三冠を達成。キャリア8戦で馬券圏外になったことがない。新馬戦の上がり3F31秒4や桜花賞での4角16番手からの差し切り勝ち。オークスでは道中6番手から上がり最速で6馬身差快勝など、インパクトのある勝ち方をしてきた。

昨年のジャパンCは2着で、その勝ち馬イクイノックスが引退した今、中距離戦線で1番手評価となるのはこの馬だ。前走のドバイSCは初めて連を外したが、前残りの中、鋭い末脚で3着に入ったことは評価できる。

半年以上間隔が空いているが、休み明けでも桜花賞や秋華賞で結果を出している。直線の長い府中も合う。崩れる要素は見当たらない。

◯ソールオリエンス
昨年の皐月賞馬。その後は勝ち星から遠ざかっているが、前走宝塚記念は2着と復活の兆しを見せた。大阪杯は10番手から道中マクって4角4番手まで位置を上げたが直線で後退。末脚に懸ける競馬の方が向いている。その点、直線勝負になる東京コースは舞台的に好転といえる。

▲ベラジオオペラ
キャリア9戦で【5-1-1-2】。馬券外に敗れた2戦も、皐月賞は道中3番手以内の馬がいずれも2桁着順に沈む競馬を先行して10着、ダービーは上がり最速で差し届かずも、勝ち馬とタイム差なしの4着というものだった。

半年休養明けのチャレンジCで重賞勝ち馬ボッケリーニ勝利し、以降に本格化。大阪杯は先行策から同期のクラシック勝ち馬に土をつけ、宝塚記念も3着と堅実な走りをみせている。今回は展開も味方しそうだ。

以下ダノンベルーガ、ドウデュース、レーベンスティールまで印を回す。馬券は◎軸の馬連で勝負する。

▽天皇賞(秋)予想▽
◎リバティアイランド
◯ソールオリエンス
▲ベラジオオペラ
△ダノンベルーガ
×ドウデュース
×レーベンスティール

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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