【天皇賞(秋)】"受難の血統"レーベンスティール トウカイテイオー&シンボリルドルフの無念を晴らしGⅠ初制覇なるか

逆瀬川龍之介

「血のジンクス」に挑むレーベンスティール,ⒸSPAIA

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レーベンスティールの「血のジンクス」

例年にも増して秋のGⅠは「ノーザン祭り」の様相だ。先々週の秋華賞は1着チェルヴィニア→2着ボンドガール→3着ステレンボッシュ。先週の菊花賞は1着アーバンシック→2着ヘデントール→3着アドマイヤテラで決着。2週続けてノーザンファームの生産馬が馬券圏内を独占した。

さて今週の天皇賞(秋)はどうなるか。上位人気を形成するのはまたまたノーザン軍団だ。とりわけGⅠ・3勝馬のドウデュース、昨年の牝馬三冠を制したリバティアイランドが2強を形成するが、一角崩しの最有力候補と目されるのがオールカマー勝ち馬のレーベンスティールだ。

同馬は日高・広富牧場の生産馬。21年のセプテンバーセールでノーザンファームが1900万円(税抜)で購買。ノーザンファーム傘下のクラブ法人キャロットファームの所有馬となった。したがって古くはモーリスやジャガーメイル、近年ではダイアトニックやジレトールと同じ、「非ノーザン生産のノーザン所有馬」である。

レーベンスティールの個性的な部分は出自だけではない。血統表を見ると、社台スタリオンステーションで繋養された種牡馬がズラリ。それでいて天皇賞(秋)では涙を飲んだ名馬の名前が並ぶ。

父リアルスティールは16年にモーリスから1馬身半差の2着。雪辱を期した翌17年はキタサンブラックから1秒2も離された4着に敗れた。さらに母父トウカイテイオーは92年に1番人気に推されながら7着。メジロパーマーとダイタクヘリオスが作った前半1000m57秒5のハイペースを追いかけたことで直線は脚をなくした。

また、その父シンボリルドルフも85年に単勝1.8倍の1番人気に支持されながら、伏兵ギャロップダイナの末脚に屈して2着に敗れた。したがって「天皇賞(秋)を勝てない」ことは「血のジンクス」と言えるかもしれない。そして余談だが、3代母の父であるターゴワイスの代表産駒はトウカイテイオーが敗れた92年の勝ち馬レッツゴーターキンというのもまた、血統にまつわるトリビアだ。

トウカイテイオーの血は現代の血統地図では超傍流となっている。その血を引く種牡馬には産駒のクワイトファイン(地方で142戦6勝)がいるが、商業ベースに乗っている馬は皆無。それだけにレーベンスティールにかかるファンの期待は大きい。

今年の天皇賞(秋)はノーザンファーム生産馬の7連覇、そして3週連続GⅠ制覇がかかるがどんな結末が待っているのか。個人的にはレーベンスティールが「純正ノーザン」のライバルを下し、GⅠ初制覇を果たすことを期待している。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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