【ジャパンダートクラシック回顧】経験と能力の違い見せたフォーエバーヤング 坂井瑠星騎手「この馬の力を出せれば勝てると思っていました」
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
八分程度の仕上げも、能力の違いを見せる
3歳ダート三冠の最終戦として時期を10月に、そして名称をジャパンダートダービーからジャパンダートクラシックに改めて行われた一戦は、坂井瑠星騎手騎乗の1番人気フォーエバーヤングが勝利。世界で戦ってきた経験と能力は、ここでは違うことを改めて証明するレースぶりで頂上決戦を制した。
1枠1番に入り内で揉まれるのを嫌ったという坂井騎手は、逃げることも想定したとのこと。しかし、スタートで躓き3番枠のカシマエスパーダにハナを奪われ、2番手からの競馬に切り替えることを余儀なくされた。そこへ武豊騎手騎乗のサンライズジパングが外から被せてきたが、プレッシャーをはね退け、揉まれないポジションをキープすることに成功して1角へ。
向正面に入って1000mを1:01.6で通過したあたりで、東京ダービー勝ち馬ラムジェットが外からポジションを押し上げ、800〜1200m区間のラップは12.7-12.0と一気にペースアップ。各馬のジョッキーの手が動き始めた勝負所、3〜4角の1400〜1600m地点では13.3かかったように、先行勢にとっては決して楽なペースではなかった。
しかし直線に向いてラスト2F目を12.2と再びペースアップ。すると残り250m地点で失速したカシマエスパーダをフォーエバーヤング捉えて先頭へ。「休み明けでしたが十分に走れる状態でしたし、自信を持ってこの馬の力を出せれば勝てると思っていました」とレース後に鞍上が話していた通り、最後は2:04.1(良)という好タイムで押し切った。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
今後については10月14日に検疫に入り、22日に出国。予定通りアメリカ・デルマー競馬場で行われるブリーダーズカップへと向かう。管理する矢作芳人調教師によると状態面は「正直なところ、八分程度にしか仕上げられなかった」とのことだったが、このレースを使ったことで状態面もアップしてくるだろう。
自信を持ってアメリカへ向かい、是非ともケンタッキーダービーの悔しさを晴らす走りを見せてくれることを期待したい。
自分のリズムを崩さなかったミッキーファイト
春のユニコーンSでは後の東京ダービー勝ち馬ラムジェットの前に0.7秒差の3着という結果だったミッキーファイト。今回はレパードSを勝利して挑んだ一戦だった。
レースは道中中団を追走。向正面のペースが上がったところでも自分のリズムを崩さず、直線はただ一頭外から伸びてフォーエバーヤングに迫った。結果は1.1/4馬身差の2着だったが、後続には5馬身差をつけており、着実に力をつけていることを証明した。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
3着サンライズジパングは、フォーエバーヤングに楽なレースはさせないという鞍上の気持ちが感じられるレース序盤だった。結果的に厳しいペースとなったが、ラムジェットに交わされることなく3着に粘り込んだ内容からも、力は発揮できたと言っていい。
サンライズジパングから1馬身遅れた4着ラムジェットは、レース中盤で自ら動いていったが、結果的に全体のペースも上がったことで苦しくなり、前を交わすほどの余力は残っていなかった。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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