【日本テレビ盃回顧】世界王者ら相手に大金星挙げたウィリアムバローズ 坂井瑠星騎手「会心の逃げ切りでした」

三木俊幸

2024年日本テレビ盃勝ち馬ウィリアムバローズ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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プラン通りの走り

GⅠレースと見紛うほど多くのファンが駆けつけた日本テレビ盃(JpnⅡ・船橋競馬場・ダート1800m)。多くのファンのお目当ては、世界を股にかけて活躍するウシュバテソーロ、デルマソトガケの2頭だったと想像する。単勝オッズもそれぞれ1.4倍と3.5倍で、ブリーダーズカップ出走に向けた前哨戦ながら、地力への期待がオッズにも現れていた。

しかし蓋を開けてみると、勝利したのは3番人気に続いていたウィリアムバローズ(単勝8.0倍)だった。騎乗した坂井瑠星騎手が「他に逃げたい馬がいなければ逃げたいと思っていました」と振り返ったように、イメージ通りスタートからすんなりハナを奪う。デルマソトガケ、ギガキングなど2番手以下を引きつけながら、前半5Fを12.0-11.7-13.0-12.9-12.8(1:02.4)とスローペースに持ち込んだ。

管理する上村洋行調教師とも相談し、逃げた場合はロングスパートに持ち込むことも想定していたそうだが、1000mを通過して向正面から3角に差しかかる区間で12.0へとペースアップ。さらに4角にかけては11.8とさらにペースを上げて後続との差を広げて直線へ。

残り200mを切って、ウシュバテソーロがただ一頭追ってきたが1馬身差をつけて逃げ切り、勝ちタイムは1:52.8(良)での決着。レース後のインタビューで、坂井騎手が開口一番「会心の逃げ切りでした」と語ったその言葉に尽きる完璧な走りだった。

ウィリアムバローズと坂井瑠星騎手,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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現在6歳のウィリアムバローズだが、1月の東海S(GⅡ)で重賞初制覇を達成。続くかしわ記念(JpnⅠ)こそ6着に敗れたが、ここで、強敵相手に勝利したことで更なる成長も見込めそう。今後、さらに上の舞台でどのようなレースをしてくれるのか、楽しみにしたい。


ウシュバテソーロは末脚伸ばすも2着まで

昨年の優勝馬で連覇を狙ったウシュバテソーロは、先行集団から離れた7番手を追走。勝負所では外に持ち出してただ一頭、後ろから上がり37.3で伸びてきたあたり、敗れたもののさすがの末脚だった。ドバイ以来となる休み明けの一戦を良い形で終えられたのではないだろうか。

2024年日本テレビ盃2着のウシュバテソーロと川田将雅騎手,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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メイショウハリオはサウジCを取消となり、復帰戦の帝王賞は9着と今年に入ってから順調さを欠いていたが、3着と久々に好走。ウシュバテソーロからは4馬身離されたが、復調気配を感じる内容だった。

デルマソトガケは2022年の全日本2歳優駿以来、久しぶりに国内のレースに出走してきた。道中2番手からレースを進めたが、4角から直線に向いたところで手応えが怪しくなり、ゴール前ではナニハサテオキにも交わされて5着。余裕残しの馬体に映っただけに、ここをひと叩きされたことで次走は変わり身を見せてくれることを期待したい。

2024年日本テレビ盃5着のデルマソトガケとC.ルメール騎手,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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