【新潟記念】“牝馬不振”に頭を悩ます一戦 サマー2000王座も視野のレッドラディエンス、キングズパレスが中心

勝木淳

過去10年のデータから見る新潟記念,ⒸSPAIA

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春牝馬二冠3着ライトバック、始動

サマー2000シリーズはひと足早く幕を閉じる。シリーズは七夕賞・レッドラディエンス、函館記念・ホウオウビスケッツ、小倉記念・リフレーミング、札幌記念・ノースブリッジと続いた。このうちここに駒を進めるのは、七夕賞を勝ったレッドラディエンスと2着キングズパレス。レッドラディエンスは4着以内、キングズパレスは勝利が優勝の必須条件となる。

最後の舞台は直線658.7mの新潟外回り。横一線に並ぶ競り合いが壮大だ。外ラチ沿いを強襲する様はまるで直線競馬のよう。最後に抜け出すのはどの馬か。二転三転する攻防は夏の終わりにふさわしい。データは過去10年分を使用する。


人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%とやや頼りないものの、2番人気は【4-0-1-5】勝率40.0%、複勝率50.0%とまずまず。サマーシリーズのなかでは比較的平穏な重賞だ。

それでも、10番人気以下【2-0-4-73】勝率2.5%、複勝率7.6%と油断ならない。ハンデ戦でもあり、伏兵にも気を配りつつ手を広げ、最後にちょっと大きな配当にありつきたい。


年齢別成績,ⒸSPAIA


今年はなんといっても桜花賞、オークス3着ライトバックの参戦が際立つ。3歳は【2-0-1-6】勝率22.2%、複勝率33.3%とハンデ差を生かし、躍動する。だが、新潟記念全体で牝馬は【0-0-1-15】。21年2番人気クラヴェルの3着だけだ。

以前は牝馬が瞬発力を武器に台頭するイメージも、近年は不振。GⅠ3着ライトバックも軽量というわけにはいかない。力関係もはかりにくく、ちょっと厄介な存在になりそうだ。

古馬勢は4歳【2-3-4-22】勝率6.5%、複勝率29.0%、5歳【3-4-2-41】勝率6.0%、複勝率18.0%、6歳【2-1-1-33】勝率5.4%、複勝率10.8%と勝率においては互角で、7歳以上も【1-2-2-37】勝率2.4%、複勝率11.9%。正直、年齢は馬券検討の役に立たない。

七夕賞組も舞台適性で引けをとらない

七夕賞組以外では、マーメイドSの1、2着アリスヴェリテ、エーデルブルーメが登録。さらに関越S3着セレシオンは新潟【2-1-1-0】のコース巧者。今年も好走候補が多い混戦になる予感がある。


前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別ではGⅠが【4-2-0-16】勝率18.2%、複勝率27.3%で目立つ。ダービーは【2-0-0-3】と悪くないが、オークス出走馬は1986年まで遡ってもいない。

ライトバックはゲートに課題があり、どちらかというと“遅れ差し”タイプ。いかにも新潟外回りが合いそうなタイプだが、さてどうなるか。

“遅れ差し”タイプが強いように、ステイヤーも悪くない。前走天皇賞(春)【1-1-0-2】勝率25.0%、複勝率50.0%はそんな新潟外回りの適性が影響したものだ。

だが、好走2回はどちらもユーキャンスマイルなので取り扱いに注意。天皇賞(春)9着ゴールドプリンセスは、3歳春の忘れな草賞以来となる2000m出走。新潟外回りなら間に合いそうな予感もする。ただ、こちらも牝馬。推したいところだが……。


前走GⅢ・レース別成績,ⒸSPAIA


サマー2000シリーズ組が該当する前走GⅢ(GⅡ札幌記念組は登録馬なし)は【5-5-7-77】勝率5.3%、複勝率18.1%。分母が大きく取捨が難しい。

内訳は小倉記念が【3-0-3-17】勝率13.0%、複勝率26.1%。今年は中京で行われ、データをそのまま鵜呑みにできないが、5着以内【2-0-2-11】、6着以下【1-0-1-5】。

8着ファユエンは2走前のマーメイドS4着時に遅れ差し気味に猛然と突っ込んできた。春の新潟大賞典は0秒6差6着、昨年新潟記念では8着も着差は0秒4。牝馬なので強調しづらいが、その他戦歴も含め、左回りに良績がある。

七夕賞は【1-2-0-15】勝率5.6%、複勝率16.7%とさほど強調できないが、2着以内なら【1-1-0-3】。シリーズ優勝がかかった一戦なら、可能性は上がる。2着キングズパレスは新潟大賞典2着で適性は文句なし。

左回りの成績ならレッドラディエンスも負けていない。今年の七夕賞は序盤600m33.6、前後半1000m57.3-1:00.6、1:57.9。緩みがない厳しい流れだった。ほぼ同じ位置から2馬身差をつけたレッドラディエンスが一枚上か。

上がり3ハロン別成績,ⒸSPAIA


最後に上がり3ハロン別成績を。さすがに上がり最速を記録すると、【4-1-3-5】勝率30.8%、複勝率61.5%と好成績。ただ、2位【2-2-0-4】勝率25.0%、複勝率50.0%、以下4、5位【2-3-2-17】勝率8.3%、複勝率29.2%までは悪くない。

もちろん瞬発力重視でいいが、必ずしも切れ味一辺倒でもない。好位にとりつき、そこそこ上がりをまとめられれば、好走できるのも新潟記念。切れ味に絞って予想するのは危険だろう。


過去10年のデータから見る新潟記念,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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