【CBC賞】展開利が見込めるピューロマジックを推奨 高回収率データに該当、重賞連勝中の勢いにも期待

貴シンジ

CBC賞 主なクラス別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は8月18日(日)中京競馬場で行われるCBC賞について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった22頭のうち除外対象のディヴィナシオン以外の21頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

前走GⅡ、GⅠ組は妙味面からは推せず

CBC賞はサマースプリントシリーズの1つでもあり、昨年は勝ち馬のジャスパークローネが次走で北九州記念を勝ったように、夏に勢いをつけたい馬にとって非常に重要な一戦だ。

今回注目するデータは前走クラス別成績。一般的にGⅢのレースであれば前走GⅠやGⅡで強いメンバーと戦い、惨敗して人気を落とすタイプが妙味を生みやすい傾向にあるが、CBC賞においては真逆となっている。

前走クラス別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<前走クラス別成績(過去10年)>
OPクラス以下【8-5-5-86】勝率7.7%/連対率12.5%/複勝率17.3%/単回収率141%/複回収率80%
GⅢ【1-1-0-7】勝率11.1%/連対率22.2%/複勝率22.2%/単回収率313%/複回収率232%
GⅡ【1-2-1-9】勝率7.7%/連対率23.1%/複勝率30.8%/単回収率73%/複回収率75%
GⅠ【0-2-3-16】勝率0.0%/連対率9.5%/複勝率23.8%/単回収率0%/複回収率60%
※前走海外、地方、障害を除く。

前走重賞組は好走率こそどれも高いが、回収率はGⅢ組だけが単複回収率100%を超えている。GⅡ、GⅠ組はあまり妙味がない。一方、OP・L組と条件戦組はトータルすると【8-5-5-86】で単勝回収率は141%。母数も100頭以上で有効なデータといえるだろう。

CBC賞は1200mという条件であり、トップスピードが重要な要素となる。ハンデ戦で夏場ということもあってか、実績のある重賞組は斤量に泣いているのかもしれない。またOP・L組に関しては17年2着のセカンドテーブルを除き、馬券に絡んだ馬は全て前走一桁着順にまとめていた。

上位人気が予想されるアグリ、スズハロームはいずれもGⅡ(ただし、アグリは海外GⅡ)からの参戦。スズハロームはともかくアグリはトップハンデの斤量58.5kgでの出走で、苦戦する可能性は十分ある。

【前走条件戦もしくはOP・Lで一桁着順だった出走予定馬】
・カリボール
・キタノエクスプレス
・サンライズオネスト
・ブーケファロス(抽選対象)
・レッドヒルシューズ

前走の内容:ピューロマジックの北九州記念

ピューロマジックは前走の北九州記念で勝利。当時の小倉競馬場は開催序盤としては珍しく差しが届く馬場状態だった。このレースは前半3Fが32.3秒、後半3Fが35.6秒で前傾3.3秒。重賞とはいえ過去の北九州記念と比較してもかなりハイペースだった。差しに回る馬が有利だった展開、馬場で逃げ切ったピューロマジックは強かった。

重賞を2連勝したこともあり斤量は55.5kgと重いが、実力は確か。重賞組のなかでは回収率が良いGⅢ組でもあり軽視はできない。

血統解説:アグリ、ピューロマジック

・アグリ
4代母イブニングエアーを根幹とし、アメリカやヨーロッパで牝系が広がっていて、ロングアイランドH(GⅡ・芝12F)勝ち馬で英オークス3着のMidnight Line、武豊騎手騎乗でアベイ・ド・ロンシャン賞(GⅠ・芝5F)を勝利したImperial Beautyなど数多くの活躍馬が出ている。

本馬の近いところでは祖母TogetherがクイーンエリザベスⅡ世チャレンジカップS(GⅠ・芝9F)勝ち、その3/4同血の半兄Jan Vermeerがクリテリウム国際(GⅠ・芝8F)を勝利していて一流馬らしい血統背景だ。

このファミリーは基本的にスタミナがある馬が多いが、距離適性に関してはつけられる種牡馬に影響を受けるやすいのが特徴の一つ。アグリはカラヴァッジオの産駒でScat Daddyの影響が強く、スピードタイプのスプリンターに出た。とはいえこの牝系だから1400mがベストに思える。トップハンデの1200m戦ではどうだろうか。

アグリの血統表,ⒸSPAIA


・ピューロマジック
日本での牝祖は6代母ビバレジナで長く日本で繋がっているファミリー。日本で長く繋がっているファミリーではあるがタバスコキャット、フレンチデピュティなどワンペースをスピードで押し切るのが得意な米国由来の血統がつけられてきている。一番の武器はやはりスピード、そしてハナから飛ばしてそのペースを持続する能力だ。

さすがに前走北九州記念の逃げはハイペースすぎると言わざるを得ないが、それでもしっかりと古馬相手に重賞を勝ち切っている。

本馬は父がアジアエクスプレス。アジアエクスプレスの父が米国血統のヘニーヒューズだから、父も母もお互いの良さ(スピード)を強化するような配合だ。ピューロマジックはその配合通りのタイプに出ていて、テンから飛ばしたらとにかく粘り強い。

ピューロマジックの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではピューロマジックを推奨

今回はピューロマジックを推奨する。GⅢ組はサンプル数こそ多くないが回収率は優秀。過去10年ではGⅢを勝ってCBC賞に挑んできた馬はおらず、加えて本馬にはGⅢ連勝の勢いや3歳というフレッシュさもある。

相手を見て、必ずハナを取りたい、というタイプは不在。楽にハナを切れそうで、前走よりは楽なペースを刻める見込みだ。チャンスは大きいとみる。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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