【桜花賞】直行ローテのアスコリピチェーノが中心 外せないチューリップ賞組からスウィープフィートに注目

勝木淳

2024年桜花賞に関するデータ,ⒸSPAIA

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理想はキャリア3戦

今年も桜の季節が巡ってきた。厳しい冬を耐え、春を迎えたときの気分は幾度となく繰り返しても変わらぬ安堵感がある。その間、3歳馬たちはクラシック出走をかけ、トレーニングを重ね戦いに明け暮れた。冬を逞しく生き抜いた少女たちの晴れ舞台。その力を思う存分ぶつけてほしいと願う。桜の下を疾走する仁川の1マイルは今年も少女たちの祈りに彩られる。データは過去10年分を使用する。

桜花賞の人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【2-3-1-4】勝率20.0%、複勝率60.0%と思いのほか勝てない。1着は14年ハープスターと23年リバティアイランドの2頭しかない。その間、8年間を含め優勢だったのが2番人気【4-2-0-4】勝率40.0%、複勝率60.0%。アーモンドアイ、グランアレグリア、デアリングタクト、ソダシと4連勝。そうそうたる名牝たちが桜花賞2番人気だったのも意外といえば意外だろう。

3番人気以内7勝で基本は主役級のステージになるが、7、8番人気も1勝ずつで、かつてのように思わぬ伏兵の激走もあり得る。なぜか4番人気【0-0-0-10】だが、5~8番人気はそれぞれ複勝率30.0%あり、単純な人気決着も少ない。まだまだ成長途上の3歳牝馬だけに、急激に力をつけた馬もあらわれる。

桜花賞のキャリア別成績,ⒸSPAIA


キャリア別の好走ゾーンは3戦【4-6-2-21】勝率12.1%、複勝率36.4%。理想は寄り道をせず、新馬、重賞、GⅠとまっすぐ桜花賞へたどり着くこと。今年でいえばアスコリピチェーノがそんなローテで本番を迎えた。ほかにイフェイオン、クイーンズウォーク、チェルヴィニアなどもイメージに近く、ハワイアンティアレ、ライトバックあたりも侮れないだろう。

もっと少ない2戦も【1-0-1-8】勝率10.0%、複勝率20.0%。20年デアリングタクトが新馬、エルフィンS連勝から女王に輝いた。抽選対象のボンドガールも順調さを欠いたものの、一発を秘める好素材であることに変わりはない。

直行は黄金ローテ

今年の桜花賞は収得賞金1000万円の3頭、シカゴスティング、ショウナンマヌエラ、ボンドガールが抽選対象になるなど賞金水準が高い。重賞2着や夏のオープン勝ちでは出走を確実にできなかった。

桜花賞の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別では、まず前走GⅠ【3-2-0-6】勝率27.3%、複勝率45.5%だろう。もはや桜花賞の直行ローテは黄金ローテといえる。前走阪神JFは【2-2-0-5】で、その1着馬は【2-1-0-0】。2歳女王が直行すると崩れない。アスコリピチェーノもソダシ、リバティアイランドに続けるだろうか。2着の直行は【0-1-0-2】。女王を逆転したことはない。

桜花賞の前走レース別成績,ⒸSPAIA


GⅠ以外の重賞は基本、トライアルが中心になる。チューリップ賞は【3-8-6-30】勝率6.4%、複勝率36.2%。かつては王道ローテだったが、勝利したのは16年ジュエラーが最後。とはいえ2、3着にも入らなかったのは21年だけで、直行ローテと同じく馬券から外せない。ただGⅡ昇格後は【0-5-3-18】でちょっと勢いがないのも確かだ。

チューリップ賞組で買いたいのは、上がり最速を記録した馬【2-3-0-4】勝率22.2%、複勝率55.6%。今年は勝ったスウィープフィートが当てはまる。祖母スイープトウショウはチューリップ賞Vから桜花賞は5着。好位にいたダンスインザムードらをとらえられなかった。桜花賞は一族の悲願でもある。一方で、上がり6位以下も【1-2-4-14】勝率4.8%、複勝率33.3%と奮闘する。チューリップ賞で逃げた馬は【1-1-0-3】。自力で出走権を勝ちとったセキトバイーストも粘る。

フィリーズレビュー【1-0-2-43】勝率2.2%、複勝率6.5%は1着【0-0-0-11】、3着【0-0-0-9】、逃げ先行【0-0-0-16】でエトヴプレ、セシリエプラージュはデータ的に苦しい。2着は【1-0-2-6】でコラソンビートがいるが、前走道中5番手と前目だったのがどうか。

クイーンズウォークのクイーンCは【1-0-1-18】勝率5.0%、複勝率10.0%。22年スターズオンアースが2着から頂点に立った。勝った馬は【0-0-1-8】、上がり最速だと【0-0-0-5】なので、クイーンズウォークはスケールを評価しつつもデータからは推せない。

エルフィンSを勝ったライトバックや、まったくデータにない異例なローテのチェルヴィニアの存在は気になりつつも、女王候補に残ったのはアスコリピチェーノ、スウィープフィート、セキトバイーストだ。

2024年桜花賞に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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