【フラワーC】前走で重視すべきは格より成績 未勝利勝ちから挑むカニキュルは内容にも見どころあり
勝木淳
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キャリア4戦以上
勝てばギリギリ桜花賞へ。かつてのフラワーCにはそんな崖っぷち感があった。近年はマイルの桜花賞ではなく、中距離のオークスへ。目標を切りかえた馬、もっといえば、最初から中距離に照準を合わせて進めてきた馬たちの台頭が目立ち、フラワーCの空気感はかなり変わった。
データでもマイルから転戦するより、中距離を経験した馬が強いと出ている。天候も微妙なこの時期、思わぬペースや馬場状態によって、スタミナを問われる重賞だ。データは過去10年分を使用する。なお、2014年2着同着があるので、データに注意しよう。
1番人気【3-1-3-3】勝率30.0%、複勝率70.0%、2番人気【4-2-1-3】勝率40.0%、複勝率70.0%と人気どころはまずまず好走する。混戦であっても、終わってみれば上位人気。そんなレースだ。しかし、3番人気以下は一気に横並びになり、混戦に拍車をかける。1、2番人気+人気薄といった組み合わせになりがちで、三連系は特に間口を広くとりたい。
キャリア1戦は【1-0-0-9】。1戦1勝馬で勝ったのは2020年アブレイズ1頭。京都芝2000mの新馬とここを連勝した。騎乗したのは先日引退した藤井勘一郎騎手だった。
基本的にキャリアを積んだ馬が強く、4戦【2-3-3-11】勝率10.5%、複勝率42.1%がピーク。トライアルで強い2、3戦も悪くないが、5戦【1-1-2-12】勝率6.3%、複勝率25.0%、6戦【1-2-0-11】勝率7.1%、複勝率21.4%など経験豊富な馬たちの逆転も起きやすい。
重賞、オープン敗退より下級1着馬
今年でいえばエルフストラック、テリオスサラ、テリオスルル、ホーエリート、ラビットアイらがキャリア4、5戦で好走ゾーンに一致する。では好走パターンにどこまではまってくるのか、データで詳しくみてみよう。
特徴的な点は前走GⅢが【1-3-0-25】勝率3.4%、複勝率13.8%とふるわないことだ。今年も前走GⅢは多数参戦する。その取捨は非常に難しい。
同じ中山のフェアリーSは【1-2-0-6】勝率11.1%、複勝率33.3%とまだマシだが、クイーンCが【0-0-0-14】と大きくデータの足を引っ張っている。東京マイルと中山芝1800mはつながらない。
桜花賞路線が集中する重賞、オープン組が苦戦する一方、前走1勝クラスは【6-4-7-40】勝率10.5%、複勝率29.8%と好成績だ。1800、2000m組の成績もよく、前走マイルでも1勝クラスなら不思議とOKだ。
その着順傾向は前走1着が【6-3-4-8】勝率28.6%、複勝率61.9%。距離というより、前走勝利が追い風となるようだ。負けてここに回るより、勝ってここに攻めあがっていく、そんな馬を狙おう。
また、前走未勝利1着も【2-2-0-32】勝率5.6%、複勝率11.1%と好走馬を出す。カニキュルは前走東京芝2000mを勝ち、ここに参戦する。前走未勝利の2000mは【0-1-0-10】と必ずしも好走ゾーンとはいえないが、今年は重賞やオープン、1勝クラスで負けた馬たちばかりで、勢いで勝る可能性は高い。
カニキュルの未勝利戦は前後半1000m59.6-59.9とイーブンペースのハイレベルな一戦だった。カニキュルはこれを中団から上がり34.1の末脚で差し切った。2着に2馬身半差の完勝。先行した3着ドバイブルース、5着キングベルベットが未勝利を勝ちあがった。価値ある未勝利勝ちだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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