【中山牝馬S】難解なハンデ戦も前走重賞組が好成績 狙うは愛知杯3着のコスタボニータ
勝木淳
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7番人気以内互角の難解ハンデ戦
レースタイトルにある「ローレル競馬場」賞とは米国のローレルパーク競馬場を指す。ワシントンDCの北、ボルチモアの南にある。1994年まではワシントンDCインターナショナルが開催された。スピードシンボリやタケシバオーが挑戦し、横山典弘騎手の父・横山富雄騎手も1975年ツキサムホマレで参戦した。現在はGⅠ競走の実施こそないが、ローレルパーク競馬場はプリークネスSの舞台・ピムリコ競馬場とともに東海岸の拠点として歴史を紡いでいる。データは過去10年分を使用する。
1番人気【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%、2番人気【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%と上位人気がアテにならず、さらに7番人気以内は大きな差がない。超難解な重賞として知られる。
昨年こそ2番人気スルーセブンシーズが勝ったが、宝塚記念2着、凱旋門賞4着というその後の活躍を踏まえれば、例外的存在といえる。基本的には波乱上等のハンデ戦だ。10番人気以下【1-3-2-56】勝率1.6%、複勝率9.7%まで、とにかく手広くアプローチしよう。
年齢別では5歳が【6-6-4-40】勝率10.7%、複勝率28.6%とトップ。4歳【3-3-1-32】勝率7.7%、複勝率17.9%がそれを追いかける形で、6歳は【1-2-1-41】勝率2.2%、複勝率8.9%。クラブに所属する牝馬の多くが規程により6歳春に引退を迎えるため、中山牝馬Sはよく引退レースに選ばれる。その成績は特段目立たず、やはり牝馬の引退レースは目一杯というわけにはいかない。一方、好成績の5歳は単回収値245、複回収値151と高く、穴も5歳牝馬から出現する。
近況充実のコスタボニータ
今年はククナらが別れの季節を迎える。5歳で重賞好走歴があるのはコスタボニータ、フィールシンパシーなど。ヒップホップソウル、シンリョクカら4歳勢もいて、例年通り大混戦が予想される。
前走GⅡ【1-1-0-3】勝率20.0%、複勝率40.0%はシンリョクカの日経新春杯が【1-0-0-0】。14年フーラブライドが日経新春杯3着から勝った。シンリョクカは前走10着。牡馬と互角にわたりあっていれば評価できるところだが……。
前走GⅢ【6-5-8-70】勝率6.7%、複勝率21.3%の内訳をみると、愛知杯が【4-2-4-32】勝率9.5%、複勝率23.8%。同5着以内【2-2-3-12】、6着以下【2-0-1-20】で、3着だったコスタボニータは好走ゾーンに入る。今年と同じく小倉施行の愛知杯は【1-0-0-3】。20年フェアリーポルカが愛知杯4着から勝利した。コスタボニータの2走前は同舞台ディセンバーS2着、勝ち馬ロングランは小倉大賞典2着の実力馬。近況は申し分ない。
前走ターコイズSは【1-1-2-10】勝率7.1%、複勝率28.6%。4着以内【1-1-2-5】、6着以下【0-0-0-5】と愛知杯よりわかりやすい。勝ったフィアスプライドは好走ゾーンに一致しそうだが、勝ち馬は【0-0-1-1】で22年ミスニューヨーク3着まで。当然、相対的にハンデを背負わされるため、難しくはなる。暮れから春に体調を保ち、かつ連勝するのは簡単ではない。
前走中山金杯は【0-2-0-4】複勝率33.3%。5着以内【0-2-0-2】、6着以下【0-0-0-2】なので、ククナはデータに一致する。これで引退だろうが、最後に見せ場を作るのではないか。
前走条件クラスは距離がポイントだ。同距離1800m【0-1-1-5】複勝率28.6%に対し、距離短縮【1-1-0-2】勝率25.0%、複勝率50.0%。東京芝1800mの初音S(3勝クラス)を勝ったコンクシェルは微妙なラインだ。春の中山に強いキズナ産駒なので気になるところだが、マイペースに近い先行でないと好走できない面もある。展開を見極めよう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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