【競馬】クラス問わず「内枠×前」が定石 東大HCが中山芝1800mを徹底検証
東大ホースメンクラブ
ⒸSPAIA
中山芝1800mの概要
当該コースが舞台の重賞は4レース。グレード順に、GⅡは中山記念、皐月賞のステップレースであるスプリングS、GⅢはクラブ所属の牝馬などが引退レースに選ぶことも多い中山牝馬S、3歳牝馬限定戦のフラワーCが行われる。2回中山開催に重賞が集中しているこのコースの特徴を過去のデータから分析していこう(使用するデータは2019年2月23日~2024年1月21日)。
まずはコース紹介。スタンド前の直線をスタートしてすぐに上り坂で、1コーナーまでの距離は200m程度と短い。坂の頂上から向正面半ばまで緩やかな坂を下っていく。ほとんど傾斜のない3コーナーから4コーナーを通過したのち、中山名物の、わずか310mしかない直線と高低差2.2mを誇る急坂が最終関門として立ちはだかる。
内枠は逃げ先行、外枠は差し
<中山芝1800m・過去5年の枠別成績>
1枠【20-24-16-178】勝率8.4%/連対率18.5%/複勝率25.2%
2枠【22-12-18-201】勝率8.7%/連対率13.4%/複勝率20.6%
3枠【17-21-32-208】勝率6.1%/連対率13.7%/複勝率25.2%
4枠【24-22-23-222】勝率8.2%/連対率15.8%/複勝率23.7%
5枠【23-25-15-240】勝率7.6%/連対率15.8%/複勝率20.8%
6枠【21-23-26-246】勝率6.6%/連対率13.9%/複勝率22.2%
7枠【23-27-27-255】勝率6.9%/連対率15.1%/複勝率23.2%
8枠【27-23-20-276】勝率7.8%/連対率14.5%/複勝率20.2%
勝率が最も高いのは2枠、複勝率が高いのは1、3枠と内枠有利の傾向が見られる。これは過去5年の重賞成績に限定しても同様。2枠が【4-0-1-24】勝率13.8%、3枠が【2-3-5-24】複勝率29.4%とそれぞれ最も高く、内枠有利の傾向がさらに強くなっている。なお過去5年の重賞における8枠は単勝回収率459%、複勝回収率178%と大幅黒字だが、これはアブレイズ(20年フラワーC・12番人気1着)やクリノプレミアム(22年中山牝馬S・15番人気1着)が引き上げている。
<中山芝1800m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【33-24-16-107】勝率18.3%/連対率31.7%/複勝率40.6%
先行【86-89-81-385】勝率13.4%/連対率27.3%/複勝率39.9%
差し【47-54-63-634】勝率5.9%/連対率12.7%/複勝率20.6%
追込【9-7-14-680】勝率1.3%/連対率2.3%/複勝率4.2%
マクリ【2-3-3-20】勝率7.1%/連対率17.9%/複勝率28.6%
中山競馬場全体に言えることだが、コース形態上とにかく差しや追い込みが届きにくく、逃げ、先行馬の数値が非常に優秀。終始前で運びつつ最後まで粘りこみを図るタイプの馬を買いたい。どうしても差し馬を買いたい場合は、まくり気味にポジションを確保できるタイプであることが絶対条件だ。
過去5年の重賞成績に限定すると差し馬の成績がやや向上するが、依然として前有利の傾向は継続。狙い目は内枠の逃げ、先行馬だ。1~3枠は逃げ【2-0-1-7】単勝回収率114%、先行【4-3-1-10】同128%とベタ買いするだけでプラス。一方、差し馬の場合は外枠が好調で、6枠以降では、差し【4-6-4-33】同265%とこちらも黒字域をマークしている。また、逆に6枠以降の先行馬は【1-4-3-22】勝率3.3%、1~3枠の差し馬【2-1-5-20】勝率7.1%となっており、重賞では割り引くべきだ。
中山芝1800mの鬼、横山武史騎手
<中山芝1800m・過去5年の種牡馬別成績>
ディープインパクト【20-14-14-92】勝率14.3%/連対率24.3%/複勝率34.3%
ドゥラメンテ【15-7-6-55】勝率18.1%/連対率26.5%/複勝率33.7%
ロードカナロア【13-15-5-56】勝率14.6%/連対率31.5%/複勝率37.1%
種牡馬別成績ではディープインパクトが2位に5勝差をつけて独走。20年の中山記念を制したダノンキングリーをはじめとして、過去5年で3頭が同コース重賞を勝利している。ただ、特別戦【10-6-8-64】複勝率27.3%、平場【10-8-6-28】同46.2%と、双方で成績に大きな差があり、後者を積極的に狙っていきたい。
2位は15勝のドゥラメンテ。自身も同コースで行われた16年の中山記念を制している。こちらも下級条件に滅法強く、新馬【4-2-0-7】勝率30.8%、単勝回収率173%、未勝利~2勝クラス【11-5-5-41】勝率17.7%、単勝回収率132%と妙味十分。ただ、OPや重賞では【0-0-0-5】と馬券に絡めていない点に留意したい。
3位は13勝でロードカナロア。22年の中山記念をパンサラッサが、23年のスプリングSをベラジオオペラが制している。こちらは先述した2頭とは対照的にとにかく重賞で強い。重賞では【2-2-3-6】、複勝率はなんと53.8%。複勝回収率も110%とプラス域だ。
そのほかキタサンブラックは【1-1-1-11】複勝率21.4%、ハーツクライ産駒は【11-9-6-78】同25.0%、ディープブリランテは【2-2-3-22】同24.1%を記録している。
<中山芝1800m・過去5年の騎手別成績>
戸崎圭太【16-5-11-60】勝率17.4%/連対率22.8%/複勝率34.8%
C.ルメール【14-10-2-31】勝率24.6%/連対率42.1%/複勝率45.6%
横山武史【11-12-15-38】勝率14.5%/連対率30.3%/複勝率50.0%
騎手別成績では関東の雄、戸崎圭太騎手が16勝でトップ。末脚を生かした騎乗に長けており、騎乗馬が上がり最速を記録した際は【7-3-1-1】複勝率91.7%と、脚を余すことがほとんどない。また、前走上がり3Fが3位以内の馬に騎乗時は、【11-1-3-23】勝率28.9%を記録しておりここが狙い目だ。一方、過去5年の重賞では【0-0-0-10】と一度も馬券に絡めていない点に注意したい。
2位は14勝でルメール騎手。23年の中山牝馬Sをスルーセブンシーズで制している。人気を背負う以上、妙味のある条件が限られる騎手だが、前走逃げた馬に騎乗した際は【4-0-0-2】単勝回収率133%。見かけたら必ず買い目に入れておきたい。重賞では【1-1-0-6】複勝率25.0%で逆らう余地はある。
3位は11勝で若手屈指の中山マイスター、横山武史騎手。23年のスプリングSをベラジオオペラで制している。複勝率50.0%はルメール騎手を上回る数字で、このコースでは信頼度が高い。1勝クラスの成績がずば抜けて良く、【6-3-4-3】複勝率81.3%、複勝回収率178%と出色。重賞でも【1-1-3-7】複勝率41.7%と好成績で、下級、上級条件のどちらでも活躍するオールラウンダーだ。
そのほか田辺裕信騎手は【4-10-6-72】勝率4.3%、複勝率21.7%で頭固定はやや怖い。西村淳也騎手は【1-0-1-7】で騎乗経験の少なさをカバーできるかがポイントになりそうだ。武豊騎手は【1-2-3-5】複勝率54.5%と流石の安定感。複勝回収率は149%とプラス域をマークしている。三浦皇成騎手は【11-11-12-65】で11勝を挙げて4位にランクインしている。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
《関連記事》
・【競馬】2023年「逃げ限定」リーディングは坂井瑠星騎手 「逃げない騎手」などデータで浮き彫りに
・【競馬】2023年新種牡馬リーディングをチェック スワーヴリチャードら10頭の覚えておきたい「買い条件」
・【競馬】2024年に産駒がデビューする種牡馬まとめ ダート馬ルヴァンスレーヴが種付け数トップ
おすすめ記事