【ダイヤモンドS】ステイヤーズS2着テーオーロイヤルらが有力 面白いのは白富士S組グランスラムアスク

勝木淳

2024年ダイヤモンドSに関するデータ,ⒸSPAIA

イメージほど波乱はなく

ダイヤモンドSは年に一度の東京芝3400mが舞台。フェブラリーS前日の名物マラソンレースだ。東京の長い直線を意識した上がり勝負になるか、長距離戦らしく早めにペースアップするスタミナ勝負になるか。問われる資質は年によって極端に変わる。昨年は中盤で動く馬がいて、後半600mは11.9-11.7-12.6。最後はスタミナを問う形になった。

2着だったヒュミドールは今年も参戦するが、体力勝負なら負けないタイプだ。重賞好走は残り1000mから速くなった21年小倉記念と、パンサラッサがハイペースで押し切った2021年福島記念。ロングスパートになった際に限られる。今年はどの地点からペースは上がるのか。途中で動きそうな馬がいれば、再度、好走する可能性もある。リピーターレースは展開やラップの再現性が高いことが多い。1度ハマった馬は注意が必要だろう。データは過去10年分を使用する。

ダイヤモンドSの人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【5-1-1-3】勝率50.0%、複勝率70.0%、2番人気【2-2-3-3】勝率20.0%、複勝率70.0%と上位人気は手堅い。真冬に行われる長距離のハンデ戦となれば波乱をイメージしがちだが、東京芝らしく案外、人気馬は崩れない。一方で20年16番人気1着ミライヘノツバサなど破壊力もある。2、3着に伏兵が突っ込む年も多く、手広くいきたいところだ。

ダイヤモンドSの年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢では4歳が【4-2-2-13】勝率19.0%、複勝率38.1%と抜けている。本来はベテランも強い長距離戦だが、ここ最近は勢いある4歳馬が強い。とはいえ、5歳【2-2-1-23】勝率7.1%、複勝率17.9%、6歳【2-2-5-28】勝率5.4%、複勝率24.3%、7歳以上【2-4-2-50】勝率3.4%、複勝率13.8%とベテラン勢も好走する。特に6、7歳が2、3着に飛び込むケースが多く、年齢で消すのはキケンだ。

穴は前走白富士S

条件クラスを卒業したばかりの4歳ニシノレヴナントと、ヒュミドール、ワープスピード、ハーツイストワールら5歳以上との力関係はどれほどか。好走ゾーンを探りながら、その答えを探していく。

ダイヤモンドSの前走クラス別成績,ⒸSPAIA


ダイヤモンドSの前走レース別成績(重賞),ⒸSPAIA


前走重賞組の内訳をみると、同じ長距離のステイヤーズSは【1-2-3-17】勝率4.3%、複勝率26.1%とやや微妙だ。ステイヤーズSの着順別では2~4着【1-2-2-4】、5着以下【0-0-1-13】で負けた組の巻き返しは少なく、好走してきたことが条件になる。2着テーオーロイヤルと4着ワープスピードが9着ヒュミドールより買いやすい。

テーオーロイヤルは一昨年の覇者で、2走前に長期休養から復帰。前走で2着と復調してきた。ワープスピードは2走前に3000mの古都Sで条件クラスを卒業し、ステイヤー資質の高さを示してきた。それ以前は東京での好走が目立っており、合わせ技一本。ここも有力だ。

ほかではハーツイストワールの前走日経新春杯が【0-0-2-5】複勝率28.6%。同じハンデ戦で、ここもハンデ据え置きだと【0-0-2-4】。ハーツイストワールも今回57キロなら、だ。

ダイヤモンドSの前走万葉S着順別成績,ⒸSPAIA


前走OP・L【4-4-2-35】勝率8.9%、複勝率22.2%は万葉S【3-2-2-25】勝率9.4%、複勝率21.9%に注目。数が多く買いにくいところだが、1着【1-0-1-4】勝率16.7%、複勝率33.3%など5着以内【3-2-2-16】がひとつの目安。6着以下は【0-0-0-9】。5着ワンダフルタウンは21年青葉賞以来の勝利を目指す。

万葉Sも同じくハンデ戦で、斤量が増えれば【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%、増減なし【0-2-1-13】複勝率18.8%、斤量減【1-0-0-5】勝率、複勝率16.7%。斤量減で勝った16年トゥインクルは前走万葉S5着だった。ワンダフルタウンは前走57キロ。斤量を増やされるかどうか。

面白いのは前走白富士S【1-2-0-5】。開幕週芝2000mのリステッド競走はつながるイメージが薄いものの、ここを使って重賞へというのは分からないでもない。着順内訳にそれはあらわれており、9着以内【1-1-0-1】、10着以下【0-1-0-4】と分かれる。7着グランスラムアスクはこのパターンにハマる。逃げてスタミナ勝負に持ち込み、条件戦を突破した。体力なら負けない。

前走3勝クラスは【1-0-3-16】勝率5.0%、複勝率20.0%。前走中山芝2500mは【0-0-1-4】。3着に入った23年シルブロンはニシノレヴナントと同じグレイトフルSを勝った。負けた4頭のうち2頭はグレイトフルS1着だが、シルブロンは差し切りV、凡走2頭は逃げと先行だった。長距離戦らしく、前半でしっかり溜めた経験が生きる。ニシノレヴナントは中団から上がり最速33.9を記録した。好走パターンといえる。

ダイヤモンドSに関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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