【東スポ杯2歳S】気にしておきたいのは前走着順とキャリア 馬券作戦は個人馬主の市場取引馬狙い

佐藤永記

東京スポーツ杯2歳ステークスのキャリア別成績,ⒸSPAIA

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「前走着順」と「キャリア」に注目

11月18日に開催される東スポ杯2歳SはGⅠへの登竜門だ。直近10年では、後にGⅠ(障害を含む)を勝つ馬が13頭もいて、2歳GⅠレースと比較しても多い。さらに、現在最強と呼ばれるイクイノックスが一昨年の勝ち馬なのだから、「未来の最強馬」探しの場といっても過言ではない。ここでは、そんな東スポ杯2歳Sの傾向を前走着順とキャリアから探っていく。

東京スポーツ杯2歳S 前走着順別成績,ⒸSPAIA


まず注目したいのは、直近10年の前走着順別成績で、前走4着以下が一度も馬券になっていないこと。内訳を見ると前走1着馬が【9-8-7-53】連対率22.1%、複勝率31.2%と馬券圏内をほぼ独占している。2着馬は【1-2-2-8】連対率23.1%、複勝率38.5%と数は多くないが好走率では前走1着馬以上をマーク。3着馬は【0-0-1-7】複勝率12.5%とここから成績が落ち始める。もちろん、2歳馬はキャリアが浅いので前走負けの馬が少ないのだが、大きな負けを巻き返して結果を出すのは厳しい傾向にある。

東京スポーツ杯2歳S キャリア別成績,ⒸSPAIA


また、キャリア別成績では1戦【5-3-3-22】連対率24.2%、複勝率33.3%、2戦【2-6-5-21】連対率23.5%、複勝率38.2%とフレッシュな馬の好走が目立つ。4戦以上になると【0-0-1-20】複勝率4.8%と大きく成績を落としており注意が必要だ(今年は該当馬なし)。

特に、人気上位になりそうなシュトラウスなどはキャリア2戦ではあるものの前走着順が不安要素となっている。前走のサウジアラビアRCではスタートは後手もすんなり押し上げて4角では3番手。一旦は先頭に迫る勢いだったが、最後は2着争いの追い比べに敗れて3着という内容だった。登録馬の中で唯一の重賞3着以内とはいえ、好走データに反しており、他の新馬勝ち組に比べると魅力が落ちてしまうようにも感じる。意外な落とし穴となるかもしれない。


馬券作戦は個人馬主の市場取引馬狙い

今年は前走勝ち馬が8頭も登録している。キャリアと前走着順だけでは絞り込みが難しく、2歳戦ということもあり他の傾向データも使いづらい。そこで馬券作戦としては、ひとつヒネリを入れてみたい。

今回は「個人馬主の市場取引馬」を狙う。市場取引で売買された馬の大半は個人馬主の所有になるわけだが、重賞で好走すれば本賞金(1着から5着に入着した際に獲得する賞金)が馬主へと渡る。理想はGⅠ優勝だろうが、次いで賞金が高いGⅡで賞金確保を目論むのではないか。このような視点から、市場取引馬のデータを調べてみた。

東京スポーツ杯2歳S その他成績,ⒸSPAIA


市場取引馬は直近10年で【4-7-1-31】と、優勝馬は4頭、そして2着馬が7頭もおり、連対率は25.6%。今年は4頭の市場取引馬が登録しており、確率的には連対馬がここから出てもおかしくない。4頭とも妙味がありそうなのも魅力的だ。

なかでもセレクトセールで1億340万円で取引されたキズナ産駒のショウナンラプンタは高いポテンシャルを秘めていると感じる。前走の新馬戦では520kgの巨体で3コーナー付近から長く脚を使って外を回りながら快勝しており、上積みも期待できる。ただ、セレクトセールで1億を超えた馬だけあってファンの注目もあり、大穴とまではいかなそう。とはいえ、当日のオッズ次第では考えておきたい一頭だ。

前走新馬組からの市場取引馬としてはもう1頭、ミカエルパシャも面白い。新馬戦では好発からそのまま逃げて、直線に入ると軽く追っただけでそのまま後続を突き放してしまった。本馬自身はこのレースで2番人気だった。市場取引価格はセレクトセールで3,410万円と高額なわけではないが、1番人気で取引価格が2億4,200万円のラケダイモーン、3番人気で取引価格2億2,000万円のドゥマイシングらを相手に逃げ切っている。

逃げ馬があまり有利ではない東京1800mが舞台とはいえ、新馬戦の内容であれば控えても競馬できそうで、人気してしまう前の今回を狙いたい。

キャリアの浅い2歳重賞では人気が読めないため、ふたをあけてみたら2頭とも上位人気かもしれないが、「前走着順」や「キャリア」の面からも好データを満たすこの2頭に注目してみたい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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