【注目3歳馬(牝馬編)】2歳女王リバティアイランドが主役 オークス向きなのはドゥアイズ、ラヴェル

三木俊幸

注目3歳馬リバティアイランド,ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

牝馬クラシック候補を紹介

2月も終盤に入り、いよいよクラシック前哨戦の時期が近づいてきた。そこで今回は「注目3歳馬・牝馬編」として桜花賞、オークスで期待したい注目馬について紹介していく。

能力は一枚抜けた存在

牡馬クラシック路線は確固たる主役不在という様相だが、牝馬路線には最優秀2歳牝馬に輝いたリバティアイランドというヒロインが存在する。ライバル候補も阪神JFに出走していた組のレベルが高いとみている。

そのリバティアイランドは7月30日に行われた新潟芝1600mの新馬戦でデビュー。ラストのレースラップが10.9-10.2-10.9(32.0)という類を見ない数字が記録され、自身は7番手追走から上がり31.4をマークして後続に3馬身差をつける余裕十分のレースぶりを披露した。

それだけに2戦目のアルテミスSでまさかの2着となったことにはショックを受けたが、直線で外から蓋をされてのもの。最後クビ差まで迫った内容は悲観するものでなく、スムーズに抜け出したラヴェルの末脚も素晴らしかったと言える。

ここまでの内容からはスローペースの瞬発力勝負に特化したタイプにも思えたが、阪神JFは前半800mが45.2というハイペース。レースのラップがラスト11.1-12.5-12.5(36.1)かかる、過去2戦と正反対の消耗戦も全く苦にせず楽々と抜け出し、2馬身半差の完勝。現時点で能力は一枚抜けていると言わざるを得ない。

この後は前哨戦を挟まず桜花賞へと直行と発表されている。どんなパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみにしたい。

注目3歳馬リバティアイランド,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


オークス向きの素質をみせた阪神JFとクイーンC

阪神JFで3着だったドゥアイズは、オークス向きとして取り上げたい。

新馬戦から3戦目までは札幌芝1800mを使われ、2戦目のコスモス賞ではモリアーナ、3戦目の札幌2歳Sではドゥーラの2着に終わった。しかし、よりタフなレースとなった阪神JFでは12番手追走から直線では一旦進路がなくなり外に持ち出すロスもありながら3着。札幌で敗れたモリアーナ(12着)、ドゥーラ(6着)に先着している。

続くクイーンCはゴール前でハーパーにクビ差先着され、またしても勝ちきれない結果となったが、前後半46.2-46.9のある程度流れた展開で3番手からしぶとく粘った内容からも、距離延長でさらに良さが発揮されるタイプだ。同様のことはハーパーにも当てはまり、こちらも引き続き注目したい。

賞金加算に成功したことで桜花賞に向かうようだが、ペースが流れてタフな状況になれば上位に好走可能。逆にスローペースの瞬発力勝負になれば、案外の結果になることもあり得るだろう。

注目3歳馬ドゥアイズ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

阪神JFでは本来の力発揮できず

阪神JFでは11着に終わったラヴェルも、巻き返す余地は十分残されている。小倉芝1800mの新馬戦は中団追走からラスト11.7-11.3の流れを差し切り。アルテミスSではリバティアイランドの直後からレースを進めて、上がり最速の33.0をマークと、瞬発力勝負で強さを発揮した。世代上位の素質はすでに示している。

阪神JFはいきなり正反対の流れとなり後方2番手からレースを進め、直線では大外に持ち出したものの、本来の力を発揮することはできなかった。

スタートが速いタイプではないだけに阪神JFのような展開になると辛いが、一度そうしたペースを経験できたこともプラスに働くはず。持ち前の瞬発力が生きる展開なら桜花賞では上位争いに割って入るだろう。また、オークスで距離が延びることに不安はなく、対リバティアイランドという点において差は縮まると考える。

注目3歳馬ラヴェル,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

瞬発力勝負ならモリアーナの巻き返し

その他では阪神JFで2着となったシンリョクカも能力の高さを感じる。東京芝1600m・稍重の新馬戦はラスト11.0-11.1、ゴール前は流す余裕もあった。阪神JFはキャリア2戦目ながら内をロスなく立ち回って差してきた内容は評価したい。

阪神JFで6着のドゥーラは、スタートで出遅れて最後方からのレースとなったが上がり最速で追い込んできており、スタートを決めていれば上位に割って入れたと感じるレースぶり。札幌2歳Sを勝利するなど、この馬もマイル戦はやや忙しい印象もあるだけに、桜花賞よりオークス向きだろう。

モリアーナに関しては、新馬戦がラスト11.2-11.0-11.1の流れを上がり33.0で勝利したように、素晴らしい瞬発力を秘めている。阪神JFやクイーンCは案外な内容だったが、展開も不向きだった。桜花賞で瞬発力勝負になれば巻き返しがあっていい。

トライアルからオークスへ

「注目2歳馬」で取り上げた牝馬は、その後期待していたような走りを披露できていない現状。キミノナハマリアやバロッサヴァレーは1勝クラスの芝2000mで惜敗続き。ウェイビーとエメリヨンは東京芝2400mのゆりかもめ賞に出走するも、それぞれ5着、8着に終わった。ちなみにこのレースは2:24.8とかなり速いタイムの決着で、勝ち馬スキルヴィングは牡馬のダービー候補として名前があがってもおかしくない存在だ。

上記4頭が春のクラシック上位に入るのは現実的には難しそうだが、オークストライアルから本番への切符を掴み取ってくれることを期待したい。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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