【京都大賞典】芝転向で上昇一途のヴェラアズールに期待 穴は差し馬ディバインフォース

ⒸSPAIA
今年も差しが決まるか?
今週から始まった阪神開催は、昨年同様に年末のホープフルSまでの3開催連続、計25日の超ロングラン開催になる。このためコースの芝は昨年より広範囲のほぼ全面を張り替えられている。さらに野芝に洋芝オーバーシードを施し、クッション性確保のためエアレーション作業およびシャタリング作業を実施。日曜日の開催中に雨が降るようだが、晴れればかなり時計が出るだろう。
さらに京都大賞典が行われる阪神芝2400mは、発走してすぐ上り坂でテンが遅くなる上に1~2角が鋭角のため、内枠先行馬が有利なコースとなっている。また向正面は緩やかな上りで、3角下りからペースアップするので、外から押し上げが利きにくいというのも内枠有利に拍車をかけている理由だ。
ただし、これは下級条件でのこと。重賞レースともなると3角手前からペースアップして逃げ、先行馬が潰れることがある。マカヒキが勝った昨年のこのレースはまさにそれ。今年もできれば逃げ、先行をしたいスタミナ型の馬が揃っているため、昨年のようなレースになりそうな気がしている。

ⒸSPAIA
能力値1~4位タイの紹介
【能力値1位 ボッケリーニ】
新馬戦では6着に敗れたが、立て直されてその次走の未勝利戦を勝利。それ以降は掲示板を一度も外すことがない安定した成績を残しながら着実に成長し、一昨年の中日新聞杯で初重賞制覇を達成した。
昨年夏の中京記念では6着とデビュー戦以来の掲示板外の成績となったが、そこから休んで再び立て直されると、昨秋のアンドロメダSで2着。そこからは掲示板を外すことなく、前走の目黒記念で二度目の重賞制覇となった。
とにかく崩れない。こういった大崩れしないタイプは成績以上の潜在能力を秘めていることが多い。しかし、今回は前走の目黒記念を勝利してから、休みを挟んでの一戦。ピークのデキにはならないだろう。高い能力を持っていることは確かなので警戒は必要だが、本命視となるとどうだろうか。
【能力値2位 ディアスティマ】
好位からの競馬で新馬戦を勝利し、その後も先行策でエリカ賞3着、京成杯3着、大寒桜賞2着と好成績。ところが青葉賞では出遅れ、中団からの競馬で能力を出し切れず大敗した。
しかし、3歳秋を迎えて積極策、特に逃げる競馬をするようになってから成績が急上昇。3歳12月の2勝クラス、グッドラックハンデでは逃げて7馬身差の圧勝でオープン級の指数を記録すると、続く3勝クラス松籟Sでも逃げて重賞級の指数を記録して快勝しました。その後は札幌日経オープンも逃げて勝利している。
キレる脚はあまりないので待機策の競馬では持ち味が生きないが、逃げてスタミナを生かす競馬ならば強い馬だ。今回は1年以上の休養明けとなる一戦。特にスタミナ型の馬は叩かれながらスタミナが強化されていく馬が多いもの。よって今回は本来の能力を出し切ることは簡単ではなさそうだ。
【能力値3位 ウインマイティー】
3歳春に忘れな草賞を勝利し、オークスでも3着したスタミナ豊富な馬。しかし、3歳秋以降は前に行く競馬ができず、持ち味のスタミナを生かせずにスランプ状態になっていた。
ところが今年初戦の福島民放杯では大敗したものの4角では2番手の競馬、続くメトロポリタンSでは逃げて4着、そして前走のマーメイドSでは好位から伸びてマリアエレーナを撃破。自己最高指数を記録しての快勝だった。
本馬は本来の行きっぷりが戻り、スタミナを生かせる競馬ができるようになったことが復活の大きな理由だ。今回は前走のマーメイドSで目いっぱいの走りをしたところから立て直しながらの一戦。休養明けなのでスタミナも落ちてしまっているだろうし、次走以降に向けての叩き台の意味合いが強い一戦と見る。
【能力値4位 ヴェラアズール】
デビューからずっとダートにを使われてきた馬。ダートでは2勝クラスで目一杯に走って3着あたりまでという成績となっていた馬だ。ところが今年3月の2勝クラス、淡路特別で初めて芝を使われると直線では内の狭いところから抜け出して勝利。3着馬に7馬身半差をつけて、なかなか良い指数を記録した。
そこからは芝路線に転向し、安定した成績。そして前走の3勝クラス、ジューンSではオープン級の指数を記録して勝利した。芝路線に転向してからは全てのレースで上がり3F最速タイムの脚を使えているように、芝適性の高さ、芝に慣れながらの上昇度は著しい。
今回は休養明けになるが、芝での上昇度を考えればここでも十分に通用するだろう。この秋以降の芝重賞戦線で大きな期待ができる馬だ。
【能力値4位 レッドガラン】
デビューから少しずつ力をつけ、一昨年3月の大阪城Sを勝利し堂々のオープン馬となった。その後重賞ではやや物足りない成績が続いていたが、今年1月の中山金杯を優勝。5月の新潟大賞典も優勝し、一段階強くなった感がある。
前走の札幌記念は休養明けで9着。5月の新潟大賞典で優勝したところから立て直しの一戦だったことを考えれば、敗戦は評価を落とす材料にはならない。
ただ札幌記念は前が厳しいペースだったことを考えると差し競馬で9着だったのはやや不満。しかしながら今回の体調面は前走からの上昇が見込めるだけに、展開が向いてくれればチャンスもある。
穴馬は嵌った時の末脚が不気味なディバインフォース
昨年暮れのステイヤーズSの優勝馬。今春の2走はスタートが悪く、能力を出し切れないまま終わった。前走の札幌日経オープンは休養明けの一戦だったが、春2走よりはスタートが良くなり、レースの流れには乗れていたように、立て直しの効果が感じられた。
また前走時は出走メンバーの中では一番重い斤量58Kgを背負わされていた中で、最速タイの上がり3Fタイムを記録したあたりにも、復調気配を感じることができた。
今回の出走メンバーは逃げ、先行したいスタミナ型の馬が多いメンバー構成だけに、展開が向く可能性を感じる。ディバインフォースの長く脚を使う差しに警戒したい。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ボッケリーニの前走指数「-21」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.6秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
