【阪急杯】今年こそGⅠ獲りへクリノガウディー 東大HCが阪神芝1400mを徹底解析

東大ホースメンクラブ

阪神芝1400m内回り,ⒸSPAIA

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コース分析

今週は阪神芝1400mを舞台にGⅢ阪急杯が行われる。1着馬に春の短距離王決定戦・高松宮記念の優先出走権が与えられるトライアルレース。2年前の忘れ物を取りに行く古豪クリノガウディー、復活を期す実績馬ダイアトニック、京阪杯からの連勝がかかるエイティーンガール、リズムを取り戻したいモントライゼなど快速馬が中京への切符を狙う。

当該コースが舞台の重賞は3レース。グレード順に、GⅡは桜花賞トライアル・フィリーズレビュー、有馬週を彩る阪神C、GⅢ・阪急杯の3レース。今年も京都競馬場改修に伴う番組の変更を受け、GⅡスワンS、GⅢ京都牝馬S、GⅢファンタジーSの3レースも同コースで行われる。コースの特徴を過去のデータから分析していこう(使用するデータは特筆なき限り2017年2月26日〜2022年2月20日)。

まずはコース紹介。内回りが舞台で、向正面左に設置されたポケットがスタート地点。3コーナー地点まで400mほどはほとんど起伏のない道のりを進み、ここからさらに400mほど、4コーナーから最後の直線半ばまで緩やかな下りとなる。スピードに乗る残り200m地点で待ち構える急坂が曲者で、高低差1.8mの関門でタフさが試される。

小回りは内をすくえ

阪神芝1400m内回り・過去5年の枠別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝1400m・過去5年の枠別成績>
1枠【19-35-16-207】勝率6.9%/連対率19.5%/複勝率25.3%
2枠【28-14-27-224】勝率9.6%/連対率14.3%/複勝率23.5%
3枠【32-20-26-229】勝率10.4%/連対率16.9%/複勝率25.4%
4枠【25-21-25-245】勝率7.9%/連対率14.6%/複勝率22.5%
5枠【26-18-18-274】勝率7.7%/連対率13.1%/複勝率18.5%
6枠【20-31-35-270】勝率5.6%/連対率14.3%/複勝率24.2%
7枠【28-25-25-342】勝率6.7%/連対率12.6%/複勝率18.6%
8枠【16-29-23-372】勝率3.6%/連対率10.2%/複勝率15.5%

枠別成績では小回りコースらしく内寄りの枠が有利。回収率も内枠から順に高く、1枠は複勝回収率102%と黒字で、逃げ・先行に限ると【9-15-7-45】複勝率40.8%を記録。インでそつなく運べる馬は注意しておきたい。

重賞では【5-2-5-25】複勝率32.4%の3枠がトップ。近年でも21年フィリーズレビューのシゲルピンクルビー(8番人気1着)、21年阪急杯のミッキーブリランテ(10番人気2着)、20年フィリーズレビューのナイントゥファイブ(12番人気3着)などが高配当を演出した。3頭はいずれも4角7番手以内とある程度のポジションを取った上での激走だった。

8枠は外々を回される苦しい競馬を強いられやすく、GⅡでは【1-1-0-29】。前総崩れの珍しい展開で大外から差した17年フィリーズレビューのカラクレナイが唯一の勝利だ。阪急杯のメンバー構成を見る限り同様のケースは可能性が低く、ピンク帽は評価を下げたい。

阪神芝1400m(内回り)・過去5年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝1400m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【43-25-11-114】勝率22.3%/連対率35.2%/複勝率40.9%
先行【78-64-81-479】勝率11.1%/連対率20.2%/複勝率31.8%
差し【60-77-77-856】勝率5.6%/連対率12.8%/複勝率20.0%
追込【13-26-25-711】勝率1.7%/連対率5.0%/複勝率8.3%

脚質別成績は当然前有利。特に逃げは2、3着に比べ勝ち切るケースが多く、単勝に妙味がある。先行組まで含めても複勝回収率は収支プラスで、「前走先行かつ距離短縮組」が安定している。クリノガウディーはもちろん、京都金杯で大敗したヴィジュネルやスワンSで0.3差7着もあるのリレーションシップは面白い存在だ。

しかし重賞では逃げ:4勝、先行:4勝、差し:11勝、追込:2勝と後方勢の台頭が目立つ。ただ、外を雑に回しての差し切りは力の違いか展開の助けが必要で、差し・追込の13勝中9勝が5枠より内だった。6枠より外の4勝の内訳は前述のカラクレナイ、前崩れの阪急杯で勝ったスマートオーディンとベストアクター、昨年の阪神Cを制した実績馬グレナディアガーズ。外の差し勢は慎重に見極めたい。

阪神芝1400m(内回り)・過去5年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝1400m・過去5年の種牡馬別成績>
ロードカナロア【20-10-18-122】勝率11.8%/連対率17.6%/複勝率28.2%
ディープインパクト【16-13-19-114】勝率9.9%/連対率17.9%/複勝率29.6%
ダイワメジャー【15-20-15-115】勝率9.1%/連対率21.2%/複勝率30.3%
キズナ【5-6-6-38】勝率9.1%/連対率20.0%/複勝率30.9%

種牡馬別成績ではロードカナロアが最多の20勝。前走同距離組が熱く、該当馬は【8-4-8-33】複勝率37.7%、複勝回収率103%を記録している。ただ重賞では【1-1-2-24】複勝率14.3%と全体成績に比べ数字が落ちることは頭に入れておきたい。

ディープインパクト産駒もさすがの好成績。前走で上がり2位以内だと【7-7-2-25】複勝率39.0%、単勝回収率134%と評価でき、該当のベストアクターが20年の阪急杯を勝った。重賞でも【4-2-2-20】複勝率28.6%と成績が落ちず、阪急杯もグレイイングリーン以下複数の該当馬に注目だ。

その他複勝率3割を超えているダイワメジャーは母父ナスルーラ系が【3-7-4-14】と半数が馬券になっており、見かけたら馬券を仕込んでおきたい。キズナはダイワメジャーを上回る複勝率をマークしているが、2勝クラス以上で勝利がない。

阪神芝1400m(内回り)・過去5年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝1400m・過去5年の騎手別成績>
福永祐一【18-7-16-60】勝率17.8%/連対率24.8%/複勝率40.6%
藤岡佑介【4-5-12-55】勝率5.3%/連対率11.8%/複勝率27.6%
幸英明【11-8-9-99】勝率8.7%/連対率15.0%/複勝率22.0%

阪急杯にはサウジアラビア遠征中のルメール騎手、同日の中山記念でダノンザキッドに騎乗する川田将雅騎手が不在。同コースで複勝率5割超えを誇る2トップだが、今回はその他の騎手をピックアップする。

先日復帰を果たした福永祐一騎手は4番人気以内で【18-6-12-31】勝率26.9%、単勝回収率104%と人気馬で堅実。該当馬のうち前走から距離短縮組は【6-2-5-6】複勝率68.4%と通常の1番人気を上回る好成績となる。前走マイルCS大敗から巻き返しを図るクリノガウディーは好走確率が高い。

藤岡佑介騎手は20年阪神C1着、21年阪神C3着のダノンファンタジー、21年ファンタジーS3着のママコチャなど重賞でコンスタントに馬券になっている。鉄人・幸英明騎手は人気薄への騎乗が多い影響で安定感には欠けるものの、ここ一番の爆発力で単複ともに回収率が100%を超えており、一発大きい馬券を取りたいときにお世話になるジョッキーだ。

阪神芝1400m(内回り)コース,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開。新入部員は随時募集中。

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