【阪急杯】トゥラヴェスーラの地力を再評価 4歳マイラーのグレイイングリーンらにも注目

坂上明大

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「直線一気の末脚」

春の芝短距離GⅠ・高松宮記念の前哨戦に位置づけられる阪急杯。スプリンターとマイラーが集うレースでもあり、今年も比較が非常に難しい顔ぶれが登録している。阪神芝1400mという適性が問われる条件でもあるだけに、適性面も含めて有力馬を整理していきたい。

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

【京王杯SC】
Bコース替わり初日で外有利のトラックバイアスは解消。週中の雨量も少なく、非常に速い馬場状態で競馬が行われた。レースはビオグラフィーが気風良く逃げて前後半3F34.3-34.3と流れたが、後続はついていかず2番手以降は35.0-33.6の後傾1.4秒。末脚の利く馬場状態ではあったが、さすがに「前有利」の展開であったか。

2着馬トゥラヴェスーラは後方待機から直線一気の追い込み。自身の上がり3Fは11.8-10.7-11.0程度と上位馬では抜けた数字を記録しており、もう少しスパート開始が早ければ差し切っていた可能性は高い。同じく32秒台の末脚を使ったシャインガーネットがシルクロードSで2着と好走したことからも、レース内容は本馬に最上位の評価を与えたい。

4着馬ミッキーブリランテは1着馬ラウダシオン、3着馬カイザーミノルの後を追う形。末脚も2頭と同程度であり、展開が向いた感は否めないか。

11着馬グルーヴィットは中団のインで脚をタメたが、直線で目立った脚を使えず。ダートもこなすパワー型だけに、ソフトな馬場状態の方が合いそうだ。

12着馬タイセイビジョンは行き脚がつかず後方からになったうえ、終始シーズンズギフトに外につけられてテンションは高目。臆病な馬であり、馬群を捌くのにも苦労。展開も向かず、消化不良の一戦であった。

「負けて強しの競馬だが…」

2022阪急杯の参考レース,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


【阪神C】
開催終盤の傷んだ馬場状態で時計は稍遅めだが、内外に極端な差は感じられず。レースはファストフォースがハナを取り切ってペースを落とそうとするも、他の先行勢が競りかけたことで中盤も緩まない展開に。前後半3F34.3-35.0の前傾0.7秒は直線向かい風を考慮すれば近年の阪神Cらしい落ち着いた数字だが、中盤もここまで緩まない流れならさすがに行った行ったの展開にはならなかった。比較的全馬が力を出しやすい展開だったといえるだろう。

4着馬タイセイビジョンはいつも通りの後方待機策。3~4角から促し始めてスパートをかけたが、400m手前で故障馬のあおりを受けて大きくペースダウン。不利を受けながらも、粒揃いのメンバーを相手に小差の4着馬は十分に評価できる内容であった。ただ、今の阪神芝の馬場状態、かつ先行馬の少ないメンバーで展開が向くかどうか。

「内有利のトラックバイアス」

【京都金杯】
京都競馬場改修工事のため中京芝1600mでの開催。12月のBコースからAコースに戻り、仮柵が約3週間ぶりに取り除かれる形。馬場の傷みが解消され、昨年ほどではないものの内有利の馬場状態でレースが行われた。レースはザダルが内から主張して、前後半3F34.1-35.1。ただ、集団馬群は前傾0.5秒程度と平均ペースの部類で、脚質の有利不利は感じない。

4着馬ダイアトニックは長欠明け2戦目で一変。上がり3F2位の末脚で4着まで追い込んだ。ただ、終始内々を回る形ではあっただけに、展開が向いた感は否めないか。

12着馬ヴィジュネルも最内枠からラチ沿いを回ってきたが、直線は余力が残っておらず。久々の1600m戦で距離がこたえた印象だ。

「GⅠ上位馬の地力を再評価」

高松宮記念4着馬トゥラヴェスーラの復帰戦。前走の京王杯SCでは久々の1400m戦も苦にせず、素晴らしい末脚を披露した。内回りコースなら前半で無理に体力を温存する必要もない。久々にはなるが、地力を再評価したい一戦だ。強い4歳世代のマイラー勢、グレイイングリーンとモントライゼにも注目。

注目馬:トゥラヴェスーラ、グレイイングリーン、モントライゼ


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。



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