【中山記念】ローエングリンやウインブライトなどリピーターが活躍! ベテランも意地を見せる中山記念の歴史

緒方きしん

中山記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA

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サイレンススズカやキングヘイローも制した一戦

フェブラリーSはカフェファラオが連覇を達成。東京で4戦無敗と府中巧者っぷりを発揮した。また、白毛馬ソダシは牝馬ながら3着と好走。桜花賞馬がダート適性を示し、これからの動向に注目が集まる。

今週は伝統の重賞・中山記念。1936年からの長い歴史を持ち、過去にはハイセイコーも勝利している。平成以降もサクラローレルやサイレンススズカ、キングヘイロー、さらにはジャスタウェイやドゥラメンテといった名馬たちがここを制してきた。

今年はパンサラッサやカラテ、ダノンザキッドらが出走を予定している。昨年の覇者ヒシイグアスは秋に天皇賞(秋)で5着、香港Cで2着と飛躍した。今年もその飛躍に比肩する馬は現れるだろうか。今回は中山記念の歴史を振り返る。

関東馬が好調、1番人気は連勝中

中山記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ2年は1番人気が連勝中。ダノンキングリー、ヒシイグアスと2年連続で2019年クラシック世代が人気に応えている。

とは言え、デビュー3連勝で共同通信杯勝利、皐月賞3着、ダービー2着と早くから頭角を現したダノンキングリーが年明け初戦で臨んでいたのに対し、ヒシイグアスはスプリングS5着、ラジオNIKKEI賞9着とクラシックには縁がなく、条件戦から(中山金杯の制覇を含む)3連勝で挑んだ中での勝利と、その過程は大きく異なっている。

2017年〜2019年の1番人気馬は、2019年ディアドラが6着、2018年ペルシアンナイトが5着、2017年アンビシャスが4着と、いずれも馬券圏外に敗れた。ここ10年間で中山記念の勝ち馬は9頭が関東馬だが、上記3頭はいずれも関西馬。ここ3年でも、上記の他にインディチャンプやスワーヴリチャード、エポカドーロといった関西の実力馬たちが敗れてきた。

2017年には、高い人気を集めた関西勢のアンビシャス、リアルスティールがいずれも馬券圏外となり、関東馬3頭での決着。2着に8番人気サクラアンプルールが食い込んだため、馬連は143.0倍、枠連も140.1倍と万馬券となった。ただしラッキーライラックは関西馬ながらも2019年、2020年と2年連続で2着に好走し、その実力をアピールしている。

種牡馬としても活躍したローエングリン

ラッキーライラックに限らず、リピーターの活躍が目立つ中山記念。カンパニーは2008年、2009年で連覇を達成しただけではなく、2005年に2着、2006年に4着と合計4回も掲示板に入っている。

バランスオブゲームも2003年に2着し、翌年の中山記念をスキップしつつ2005年、2006年と連覇を果たした。特に2005年はバランスオブゲーム、カンパニーという2頭の“中山記念マイスター”による決着でもある。

しかしそんなバランスオブゲームの連覇を挟み込むように、中山記念を2勝した名馬がいる。それが、重賞4勝馬ローエングリンだ。

ローエングリンは3歳シーズンに宝塚記念3着、神戸新聞杯14着、菊花賞16着といった戦績を残し、年末にはキャピタルS、ディセンバーSと中山のオープン競走を連勝。年明けに中山開催の東京新聞杯で2着し重賞初連対を果たすと、勢いそのままに中山記念、読売マイラーズCを連勝した。

6月に安田記念で3着となったローエングリンは渡仏し、GⅠのムーラン・ド・ロンシャン賞で2着に好走。年末には香港マイルで3着に食い込み、5歳になった2004年は初戦の中山記念で3着に入ると、読売マイラーズCや毎日王冠で2着、安田記念や天皇賞(秋)で5着など、年間を通じて活躍した。

その後ダート挑戦などを経て2005年に読売マイラーズCを勝利。ここからしばらく勝ち星から遠ざかっていたが、8歳になった2007年に中山記念を勝利。重賞4勝目を飾ったのだった。

2003年、2007年に中山記念を制したローエングリンは引退後に種牡馬となり、活躍馬を輩出。その代表産駒でもあるロゴタイプは朝日杯FSや皐月賞、安田記念を制覇するなど、父の届かなかったGⅠタイトルを複数獲得した。さらに中山記念にも4度出走し、2014年3着、2015年2着、2016年7着、2017年3着と3度好走。

こちらは父が得意としたレースを惜しくも勝利できなかったとも言える結果で、興味深い親子関係となった。また、ロゴタイプの初年度産駒ラブリイユアアイズは阪神JFで2着、京王杯2歳Sで3着など順調な滑り出しを見せている。

今年は同期決着が見られるか

近年は中山金杯組の頑張りも目立つ中山記念。昨年は1着ヒシイグアス、3着ウインイクシードが中山金杯からの参戦であり、さらに2着ケイデンスコールが京都金杯からの参戦だったため「金杯組」による1〜3着独占となった。また、2018年、2019年にはウインブライトが2年連続、中山金杯→中山記念のローテで連覇した。

ヒシイグアス、ケイデンスコールはどちらも5歳馬で同期決着となったが、他にも2018年ウインブライト、アエロリット(4歳)、2017年ネオリアリズム、サクラアンプルール(6歳)と、馬齢にかかわらず同期での決着も少なくない。

2016年にはドゥラメンテ、アンビシャス、リアルスティールにより4歳馬で1〜3着が独占されている。13番人気トーセンクラウン、12番人気テイエムアンコールによるワンツーとなった2010年も、3着ショウワモダン (5番人気)も含めて6歳馬による1〜3着独占となった。

今年はベテラン8歳馬からウインイクシード、ソッサスブレイが出走を目指していて、勢いに乗る4歳馬からはダノンザキッド、ワールドリバイバル、アドマイヤハダルが出走を予定している。今年も同期決着が見られるか、ご注目いただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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