【フェブラリーS】23年ぶり地方馬の快挙なるか 京大競馬研の本命は船橋所属のミューチャリー

京都大学競馬研究会

根岸Sと東海S組のフェブラリーS過去10年成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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問われるスピード。前哨戦でも好時計を出したい

2月20日(日)に東京競馬場でフェブラリーS(GⅠ)が行われる。ソダシがダート戦にもう一度リベンジに来たほか、JBCスプリント勝ち馬のレッドルゼルや昨年覇者カフェファラオなど出走全馬が重賞馬という好メンバーが集結。

4歳馬の出走はソダシのみと新勢力の台頭がないのは寂しいが、その分例年以上に高齢馬の多いレースとなった。是非ともベテランの意地を見せたいところだ。


過去10年フェブラリーS前走根岸S組好走馬,ⒸSPAIA


まずは過去10年、前哨戦の結果との関連性を調べた。前走根岸S組は【4-2-3-51】。最多の勝ち馬を輩出する影響力の大きいレースになっている。馬券になった9頭について精査すると、9頭全てが根岸Sで3着以内、2012年テスタマッタ以外は2着以内だった。また本番の勝ち馬4頭中3頭は、根岸Sでは1分23秒を切る好タイムで勝利しており、なおかつマイル重賞でも実績を残していた。

今年の勝ち馬テイエムサウスダンはマイル実績皆無で、速い時計の出た昨年の根岸Sは惨敗したように中央の時計勝負は苦手。勝った今年だが、内容、メンバーともに昨年と比べて平凡で、同じマイル実績が無い馬でもスピード勝負に強いレッドルゼルを上に取りたい。


過去10年フェブラリーS前走東海S組好走馬,ⒸSPAIA


前走東海S組(同時期の2012年平安Sを含む)は【3-1-1-17】。勝ち馬3頭は東海Sを1分51秒0以下で圧勝しており、スピードの違いを見せていた。中京1周と東京ワンターンでは性質が全く異なるため、東海S組については着差が好走のカギになりそうだ。スワーヴアラミスもマイルでの実績が無く、追走に苦労する馬であるため、ついて行けるか疑問だ。帝王賞向き。

今年は雨予報で時計は一段と速くなりそうだ。マイル実績と高速馬場適性を重視したい。


枠自体に大きな有利不利はないが、馬と枠の相性は重要

過去10年フェブラリーS枠別成績,ⒸSPAIA


次に過去10年の枠順別成績を調べた。勝ち馬が最も多いのは2枠で【3-1-2-13】。いずれも人気のマイラーが距離ロス無く横綱相撲で勝ったもので単勝回収率は54%と低め。距離不安のある馬、エアスピネルのようなイン突きをする馬はこの周辺の枠に入っておきたかった。反対に揉まれ弱い馬にとっては、他馬のテンの速さと兼ね合いになるが基本的には絶望的な枠になる。カフェファラオは2年連続で試練の枠に入ってしまった印象だ。

外枠で結果が良いのは7枠で【2-2-0-16】。2014年にコパノリッキーが大穴をあけたため単勝回収率は1386%、複勝回収率は196%あるが、それを除くと単勝回収率26%、複勝回収率32%しかない。中距離馬や、揉まれ弱いが能力の高い馬が走ってくる枠となっている。5枠は【0-2-5-13】と勝ち馬こそいないものの複勝率は35%と優秀で、競馬の組み立てやすい枠と考えられる。自在性のある馬が中枠に入った場合は要注目だ。


地方競馬は中央の二軍に非ず。3回目の参戦は超一流として

◎ミューチャリー
今年は遂にGⅠ馬としてここに参戦。地方重賞では無双状態だが、ダートグレードではコース形態と中央馬の能力の高さにより、良く伸びているが展開が向かないというレースが多かった。しかしJBCクラシックでは一転先行押し切りで勝利。東京大賞典も先行して4角先頭とここに来て馬が充実してきた。

中央ダートでは2年連続結果が出ていないが、自分の実力分は伸びている。距離短縮も問題なく枠も良好。先行策なら勝ち負けできる。同じ船橋所属で、2011年に惜しくも2着に敗れたフリオーソの無念を晴らす快走に期待する。勝てば1999年メイセイオペラ以来23年ぶり、地方馬によるJRA・GⅠ優勝の快挙となる。

◯エアスピネル
2年連続チャンピオンズカップでも印を打ったが、結果を見る限り現状マイル以下しかこなせないのだろう。マイルでは砂の深い内に突っ込んで自滅した南部杯以外では崩れておらず、東京へのコース替わりもプラス。上位人気が枠や展開面で注文のつく馬が多い中、当馬に関しては前があけば確実に伸びてくれる。しかし距離に融通の利かない今、大外枠は不安。外ぶん回しでは届かないため乗り方に工夫が欲しい。

▲サンライズノヴァ
前々走は不得意な距離で直線少し詰まりながらも良く伸びて5着。前走は明らかに距離が長くて参考外。元来東京ダ1600mは重賞3勝を含む5勝をあげる得意コース。フェブラリーSでは後ろ過ぎて届かずを繰り返しているものの、適舞台の距離・コースに戻ることは好材料。人気薄ゆえ他馬に気にされずに外に出せたら馬券内はある。しかし調教後の馬体重が550kgとかなり太いのは不安。能力を信じて3番手指名。

△レッドルゼル
JBCスプリントは内から突き抜ける快勝。陣営の誰もが言うとおり距離は1ハロン長く、正攻法だと垂れる。内枠をもらえたのはプラス。末脚上位で後ろからどれだけ差し込めるか。

×アルクトス
適性がスプリント寄りで2枠4番は絶好枠。2年とも敗因が明確とはいえ負けすぎで能力少し劣る。

×インティ
チャンピオンズCは隣枠との兼ね合いも抜群で単騎2番手が叶うノーミスの4着。これ以上は望めない。距離短縮はプラス。

×ソリストサンダー
揉まれ弱く、オープン入り後の好走時は全て外枠。根岸S大敗からの巻き返し例が無くデータ上は買えないが枠は良い。

消カフェファラオ
昨年は内枠だったがルメール騎手の好騎乗により、内でスムーズに運べたことが勝因。ムラ駆け傾向の強いAmerican Pharoah産駒で、揉まれにくい外枠なら能力以上に走るが、内枠だと全くダメ。テン乗りも不安で、引いた枠は3枠6番と最悪。

消ソダシ
前走はインティからハナを奪って逃げており、ダート自体は問題ない。しかし近2走は絶好の展開から伸びず、桜花賞時の根性を全く見せていないため、馬の精神面に問題がありそう。レースで馬が走る気配を見せるようになるまではどのレースであっても買いづらい。

カフェファラオが内枠に入ったことで大波乱の可能性も見えてきた。買い目については、人気薄ゆえどれが1着でも収支上勝ちが確定する◎◯▲の単複は買いそろえる。そのうえでミューチャリー軸のワイド、3連複、ラストチャンスに懸けるエアスピネルからのワイドも購入して大きく儲けたいところだ。(文:福山)

2022フェブラリーS 予想印
◎ミューチャリー
◯エアスピネル
▲サンライズノヴァ
△レッドルゼル
×アルクトス
×インティ
×ソリストサンダー

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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