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【きさらぎ賞】「先行力」「持続力」「荒れた馬場」 今の中京コースに合うのはストロングウィル、エアアネモイ

2022/02/03 11:00
三木俊幸
2022年きさらぎ賞馬場適性チャート,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

4角1〜4番手が7勝

近5年のきさらぎ賞からクラシックでの活躍馬は出ていないが、かつてはスペシャルウィークやネオユニヴァース、2016年には皐月賞3着、日本ダービー2着と春のクラシックで好走し秋に菊花賞馬となったサトノダイヤモンドを輩出している。昨年に引き続いて中京競馬場で開催される一戦を、馬場適性の観点から出走馬を占っていきたい。

昨年末の開催終了後に約2週間使われない期間があったものの、12月初めから使われ続けた馬場の内側には傷みが見られた中京芝コース。先週末からBコース使用となったが、それでも傷んだ箇所は覆いきれていない様子が伺えた。

1月29日、30日の2日間で合計9レースが行われたが、3着内馬の4角通過順位を見ると4角1〜4番手だった馬が7勝、2着2回、3着4回と健闘。差し馬の台頭も見られたが、直線一気が決まるほどの馬場ではなく「先行馬やや有利」だった。

タイム面では1200mの重賞・シルクロードSが1:08.1、2勝クラス・1600mの刈谷特別は1:34.5、同じく2勝クラス・2200mの茶臼山高原特別が2:12.7の決着だったということから、高速馬場ではないものの、極端に時計のかかるような馬場状態ではないことが見て取れる。

日曜日は73.3%が内から5頭目より外を伸びる

続いて、上がりタイムについても調べた。超スローペースで11.5-11.1-11.7(34.3)の上がり勝負となった3勝クラス・2200mの美濃Sは1着パトリックが上がり33.7を使ったものの、それ以外の2000m以上で争われた3レースの1着馬が使った上がりは、3歳未勝利・ハイコーストが34.9、2勝クラスの茶臼山高原特別・ロードプレジールが35.4、3歳新馬・ブラックブロッサムが35.4だった。

能力があれば瞬発力タイプでもこなせるかもしれないが、「持続力に秀でたパワータイプ」に向いた馬場だと言える。

そして最後に直線残り200m付近で3着内馬がどのコースを通って伸びてきたのかについても見ていこう。このデータについては土曜日と日曜日でやや傾向が違っていた。

Bコース初日となった土曜日は4レースが行われたが、内から6頭目、7頭目を通って勝利した馬がいた一方、最内と内から2頭目のインコースを通った馬も1勝、2着2回、3着3回と好走していた。

しかし日曜日になると最内と内から2頭目を通って3着内に入った馬はゼロ。5レース、15頭の対象馬のうち73.3%にあたる11頭が内から5頭目より外を通って伸びてきていた。日曜日の9R、刈谷特別は各馬が残り200mを過ぎたところまで内から約4頭分のスペースを開けて走っていた。

1日使われただけで少しずつ外が伸びる傾向に変わっていったことからも、今週も「外が伸びやすい馬場」になりそうだ。

「先行力」「持続力と荒れた馬場」ともに該当

2022年きさらぎ賞馬場適性チャート,ⒸSPAIA


今年のきさらぎ賞出走予定馬の顔ぶれを見ると、スピードが持ち味というタイプは少なく、ペースはあまり速くなりそうにない。先週末より差し馬の台頭も増える可能性はあるが、ある程度の「先行力」が必要で「持続力と荒れた馬場」の経験がある馬を重視してピックアップしたい。

【先行力からの注目馬】
新馬戦、未勝利戦ともに好スタートから好位でレースができているストロングウィル、スローペースで押し出される形となったものの、新馬戦を逃げ切ったエアアネモイを取り上げたい。

ストロングウィルは12月4日の阪神芝1800mでデビュー。大外11番枠からスタートし、終始外を回りながら3番手からレースを進めた。直線に向くと、持ったままの抜群の手応えで残り200m付近で撮影していた筆者は「勝った」と思った。結果、外にヨレたうえに切れ負けした感じで2着に敗れたが、1着ラリュエルの勝ちタイムは1:47.3でそこから0.1秒差でレースレベルは高かった。

エアアネモイは12月19日の阪神芝2000mでデビュー。1000mは1:05.9という超スローペースだったが、そこから徐々にペースアップしていき4角で後続を突き放しにかかると直線では馬場の真ん中へと持ち出され、3馬身差をつける快勝だった。能力は高く、番手に控える形になっても問題なさそう。

【持続力・荒れた馬場への適性からの注目馬】
荒れた馬場への適性という面でも先述のストロングウィルとエアアネモイが該当。ストロングウィルが初勝利をあげた12月18日は新馬戦時よりも馬場が悪化して、荒れた状態となっていた。3番手からレースを進め、直線では馬場の外を通って後続に0.2秒差をつける余裕の勝ちっぷり。外回りの新馬戦で上がり34.7、内回りの未勝利戦では35.3を記録するなど、持続力とパワーが求められる今の中京コースに合っている。

エアアネモイについては、ストロングウィルよりは瞬発力もありそうな印象だが、荒れた馬場の経験は今回のレースでもプラスに作用しそうだ。2頭とも先行して外を回る競馬で結果を残しており、今の中京コースの特徴である「先行して外を通る形」になっても全く問題ない。

【その他の注目馬】
想定以上に差しが届く馬場になっていた場合に押さえておきたい馬にも触れておく。東京スポーツ杯2歳Sで4着だったダンテスヴューは、今回と同じ舞台で2:00.9という好タイムで未勝利勝ち。荒れ馬場がどうかという面はあるが、力は上位だ。

マテンロウレオは新馬戦で直線狭いところをこじ開けてきた。またホープフルSでは3着とは0.1秒差の6着だったが、大外を回って伸びてきた脚は凄かった。そこからさらに0.2秒離された8着だったシェルビーズアイも中京芝2000mで新馬勝ちしているので、名前をあげておく。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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