【きさらぎ賞】前走0.5秒差Vは連対率62.5%! 素質もデータも満点、ここも突破だエアアネモイ
門田光生
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第62回きさらぎ賞
2022年2月6日に行われる第62回きさらぎ賞。昨年に引き続き中京競馬場で施行され、距離も1800mではなく2000mとなる(中京競馬場は芝1800mがないため)。
この日は連続開催の最終日(12日目)に当たるが、昨年12月にも3週間開催されており、2か月以上、ほぼ休みなく使われていたことになる。施行条件については昨年とほぼ同じとはいえ、その昨年のデータだけでは心もとないので、いつも通り近10回のレースデータを参考にして検証していきたい。
その前にきさらぎ賞について軽く触れておく。皐月賞へ直接向かうのか、それとも本番前にもうひと叩きするのか、時期的に難しい位置にあるレース。最近は短期放牧を挟んで本番という流れが主流となっており、ここ10年のきさらぎ賞1着馬で、皐月賞前にもうひと叩きしたのは2013年のタマモベストプレイが最後。
2014年以降の勝ち馬8頭中、5頭が皐月賞に直接向かって(2015年ルージュバックは桜花賞へ直行)、残る2頭は皐月賞に出走していない。また、ここから直接皐月賞に向かって馬券に絡んだのは、近10年では2016年のサトノダイヤモンド(3着)だけ。連対となると、1990年の皐月賞馬ハクタイセイまでさかのぼらなければならない。
ちなみに、近10年の平均出走頭数が10頭を割っており、少頭数になることが多いのも特徴。1~3番人気が6勝を挙げているが、6、7番人気も勝っている。いずれも8頭立てで、考えようによっては全馬にチャンスがあるレースといえるかもしれない。
☆所属と性別
では、データを見ながら検証していこう。まずは所属別。全出走馬92頭中、美浦所属馬は11頭だけ。栗東18連対(9勝)、美浦2連対(1勝)と大きな差がついても仕方がないところ。勝率、連対率でやや栗東所属が有利といった程度で、大きな差はない。
性別はもっと極端。牝馬の参戦は3頭しかおらず、馬券に絡んだのは2015年の勝ち馬ルージュバックのみ。ルージュバックは美浦所属馬だから、美浦の1勝、そして牝馬の1勝ともこの馬が記録したことになる。これを例外とみなせば、馬券の中心は栗東の牡馬と考えてよさそうだ。
☆キャリア
キャリア1~5戦までの馬から勝ち馬が出ているが、成績がいいのはキャリア2、3戦(ともに7連対)。結果が出ていないのはキャリア6戦以上の馬で、これに該当する12頭から連対馬は出ていない。
☆前走クラス
新馬、未勝利、1勝クラス、オープン、重賞組のうち、勝ち馬が出ていないのは未勝利組だけ(2着1回)。連対数が最も多いのは1勝クラス(500万下含む)の10連対(3勝)で、勝ち馬が多いのは重賞組の4勝(5連対)。
ただ、ここ2年だけで見ると、馬券に絡んだ6頭のうち、5頭が重賞出走組で、1頭が新馬組。中京で行われた昨年は前走重賞組が1~3着を独占。1勝クラスは、500万下から名称変更されて以降は馬券に絡んだ馬が出ていない。ここでは、昨年の中京が含まれる近年の傾向も重視して重賞出走組を上に取りたい。
☆前走距離
相性のいいステップレースはいくつかあるのだが、少頭数になることが多いだけに、いかんせんどのレースもサンプル数が少ない。前走のレース名はひとまず置いておき、代わりに前走距離に注目。同距離(6連対)、距離延長(6連対)、距離短縮(8連対)で、勝率と連対率も距離短縮組がトップとなっている。
ただ、今年も2000mで行われるので、距離短縮組は例年に比べると少なくなっている。
☆その他
そのほかで気になったデータを挙げてみる。まずプラスデータの方だが、ノーザンファーム生産馬が14連対(6勝)。勝ち馬と連対馬の半数以上を占めている。もともとクラシック路線に強い牧場だが、ここでも存在感を見せている。
同じくディープインパクト産駒も11連対(4勝)。昨年も2頭ずつ馬券に絡んでいるので、場所が変わってもこのデータは問題なく使えると思ったが、今年は参戦なし。前走着順だと、勝ち馬10頭のうち、9頭が前走3着以内。例外は2017年のアメリカズカップ。
この馬は8歳となった今年の1月まで現役で頑張っていたが、きさらぎ賞以降に勝ったのは4歳時のカシオペアSだけで、ともに道悪(重、不良)。例外とみなしてよさそうだ。また、前走をコンマ5秒差以上で勝った馬、そして前走2番人気以内だった馬の好走率も高くなっている。
マイナスデータとしては、連闘、もしくは中2週で出走した馬は3着以内に入線していない。また前走で1秒以上負けていた馬から連対馬が出ていない。
前走圧勝のエアアネモイに注目
きさらぎ賞のデータをまとめてみる。まず好走率が上がるデータはA「前走が重賞」B「前走から距離短縮」C「ノーザンファーム生産馬」D「前走3着以内」E「前走が0.5秒以上で勝利」F「前走2番人気以内」。
逆に勝率が下がってしまうのはG「キャリア6戦以上」H「連闘or中2週」I「前走で1秒以上負けた」。
今回の登録馬でプラスデータを3つ持っている馬は、エアアネモイ、セルケト、フォースクエア、メイショウゲキリン、リューベック、レヴァンシルの6頭。このうち、メイショウゲキリンは、1頭も馬券に絡んでいない中2週組ということで除外。
残る5頭のうち、エアアネモイだけがDEF、残る5頭はCDFのプラスデータ。登録馬でエアアネモイだけが該当するE「前走が0.5秒以上で勝利」は、連対率62.5%の超有力データ。連軸にふさわしい馬といえる。
残る4頭の順位付けをどうするか。プラスデータには入れなかったが、キャリアでは2戦の馬が勝率、連対率ともにトップ。ということで、それに該当するセルケトが対抗。続いて最も連対数が多い1勝クラス経由のレヴァンシルが3番手。リューベックの走った若駒Sからも勝ち馬が出ているので、これが4番手。
フォースクエアは1番人気で新馬戦を勝ち上がったが、過去に同じパターンの馬はすべて圏外に沈んでいる。1戦1勝で馬券に絡んだ2頭は、いずれも2番人気で勝ち上がった馬。ちなみに、◎エアアネモイは2番人気でデビュー勝ちだから、さらに隙がなくなった。
昨年の上位3頭はいずれも前走重賞組だった。今回の登録馬では5頭いるが、その中で最も着順がよかったダンテスヴューも加える。
◎エアアネモイ
◯セルケト
▲レヴァンシル
△リューベック
×ダンテスヴュー
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
1月から仕事内容が変わって、1日1万歩以上を記録することがほとんど。すぐに足が悲鳴をあげて、いつでも肉離れを起こしそうな状態でスタンバイしています。一度夜中につって、治るのに1週間かかりました。寝るのがこんなに怖いと思うのは、人生で初めてかも。
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