東大HCが「別定重賞」を徹底分析 4歳1月の55kgは“買い”だ!

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2つの別定GⅡ

今週の重賞は日曜のGⅡ2レース。中山では伝統の芝重賞・AJCC、中京ではダートGⅠ・フェブラリーSへの重要な前哨戦の一つ、東海Sが行われる。前者は菊花賞2着馬オーソクレースが出走、堅実派ポタジェは同コースのオールカマーを勝ったルージュバックを姉に持ち、この2強ムード。後者は連覇を狙うオーヴェルニュ、チャンピオンズC大敗から巻き返しを図るサンライズホープ、幅広い距離で健闘を続けるブルベアイリーデらによる混戦ムードだ。

2鞍とも過去の重賞成績によって斤量が変わる別定戦。重い斤量を背負う実績馬と数kg有利な上がり馬の取捨選択がキーとなる。先週の「ハンデ重賞」に続いて、今週は「別定重賞」をテーマに、狙いたい馬をデータで分析していく(データは2017年1月22日~2022年1月16日の重賞、別定戦)。

オーヴェルニュの連対は厳しい?

過去5年の別定重賞・斤量別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の別定重賞・斤量別成績>
50~51kg【4-1-2-10】勝率23.5%/連対率29.4%/複勝率41.2%
52~53kg【4-6-3-37】勝率8.0%/連対率20.0%/複勝率26.0%
54kg【52-66-56-658】勝率6.3%/連対率14.2%/複勝率20.9%
55kg【27-24-11-142】勝率13.2%/連対率25.0%/複勝率30.4%
56kg【120-112-129-1652】勝率6.0%/連対率11.5%/複勝率17.9%
57~58kg【45-46-51-315】勝率9.8%/連対率19.9%/複勝率31.1%
59kg【2-0-1-8】勝率18.2%/連対率18.2%/複勝率27.3%

まずは斤量別成績をチェックする。

最も目につくのは50~51kg。夏の重賞で3歳牝馬が背負うレアなケースで、昨年はアイビスSDをオールアットワンスが、キーンランドCをレイハリアがともに51kgで快勝し、ソングラインも関屋記念で3着に入った。過去5年で馬券になった7頭のうち5頭が1200m以下のスプリント重賞で、軽量を武器に快速馬が躍動している。

54kg・56kgはスタンダードな斤量で、該当例が多い。今週の2重賞に多い56kgのうち、全距離で4歳馬・5歳以上馬の間に1kgの斤量差がある1月のデータに絞ると、4歳馬が【1-3-0-2】複勝率66.7%でトップ。全頭2番人気と穴馬を含まないデータではあるが、執筆時点で出否未定のアサマノイタズラは出てくれば押さえておきたい。また5歳馬では2番人気以内で【5-0-0-1】と勝ち切っており、ポタジェやサンライズホープあたりの単勝も選択肢だ。

複勝率3割を超える55kgで、同じく4歳馬の1月に限定すると【3-2-3-11】複勝率42.1%と数字が上がる。このうち3番人気以内では【3-2-1-1】とほぼ崩れていないため、オーソクレースも信頼度は高い。

なお57kgを背負う6歳馬は【6-6-11-68】複勝率25.3%。このうち1月のレースでは【0-0-2-7】と好走例に乏しい。人気馬からはオーヴェルニュの評価を下げる。

ラストドラフト、3年連続の好走へ

過去5年の別定重賞・騎手別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の別定重賞・騎手別成績>
ルメール【29-17-10-62】勝率24.6%/連対率39.0%/複勝率47.5%
川田将雅【22-17-10-56】勝率21.0%/連対率37.1%/複勝率46.7%
M.デムーロ【20-17-6-58】勝率19.8%/連対率36.6%/複勝率42.6%
戸崎圭太【14-9-9-62】勝率14.9%/連対率24.5%/複勝率34.0%
松山弘平【8-7-6-61】勝率9.8%/連対率18.3%/複勝率25.6%

次に騎手別成績を確認する。

最多の29勝を挙げているのはルメール騎手。単勝回収率109%、芝に限定すると119%と妙味も十分。GⅡの2番人気以内では【10-4-2-8】複勝率66.7%、このうち継続騎乗では【6-3-2-3】複勝率78.6%。今年はなかなかエンジンがかからないものの、オーソクレースの快走でそろそろ本来の姿を取り戻す頃合いだろう。その他ポタジェに騎乗する川田将雅騎手もさることながら、単勝回収率106%・複勝率4割超えのM.デムーロ騎手も見逃せない。

AJCCで面白そうなのが戸崎圭太騎手。美浦所属の馬で複勝率5割、さらに乗り替わりでは【4-4-1-7】と連まで持ってくるケースが多い。直近の該当例ではエプソムCのサトノフラッグ(6番人気)、富士Sのサトノウィザード(9番人気)でいずれも2着。AJCCで2年連続3着のラストドラフトには過去以上の着順も見込めそうだ。

東海Sの松山弘平騎手も好走率は平凡ながら回収率は単複ともに90%台と水準以上で、ダートでは単勝:112%、複勝:120%と黒字だ。人気薄が想定されるデュードヴァンだが、昨年の同レースでは後方から猛然と追い込んで上がり最速、勝ったオーヴェルニュから0.4差の4着と適性はある。確実に買い目に入れておきたい。

過去5年の別定重賞・調教師別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の別定重賞・調教師別成績>
友道康夫【5-11-9-32】勝率8.8%/連対率28.1%/複勝率43.9%
池江泰寿【13-12-9-65】勝率13.1%/連対率25.3%/複勝率34.3%
国枝栄【5-14-3-36】勝率8.6%/連対率32.8%/複勝率37.9%
西村真幸【3-3-2-27】勝率8.6%/連対率17.1%/複勝率22.9%

最後に調教師別成績をチェックする。

友道康夫調教師は4割超えの複勝率。2番人気以内では【3-9-6-9】と3頭に2頭が馬券圏内だ。ポタジェに騎乗する川田騎手とのタッグでも【1-1-1-1】と好走例が多い。

その友道師を大きく上回る13勝を挙げているのが池江泰寿調教師。勝利数は14勝の音無師にわずかに及ばず2位だが、単勝回収率164%は出色。近年は不振が続いているものの、新星・横山武史騎手を配して臨むボッケリーニで厩舎浮上のきっかけとしたいところ。

関東の名伯楽・国枝栄調教師はさすがの好成績も、美浦所属の騎手で【4-11-3-23】複勝率43.9%、栗東所属の騎手で【1-2-0-12】と大きく差が開いているのが気にかかる。三浦皇成騎手のアンティシペイトはヒモに、池添謙一騎手のハヤヤッコは消しで勝負したい。またオーヴェルニュを管理する西村真幸調教師はGⅡで【1-0-0-9】と微妙。こちらも妙味を考えると評価を下げるべきだろう。

別定重賞での斤量55kg馬成績,ⒸSPAIA,インフォグラフィック


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開。

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